春海暗
春海暗
春海暗
春海暗
赤
高校生。世間一般的には思春期と呼ばれる頃。
俺たちの日常は、小さく音を立てて崩れていったんだ。
高校までのいつもの通学路。1年半通い続けているこの道の景色は何も変わらなくて、ただ、退屈だった。
突然、頭痛に襲われる。
桃
視線を上げれば、どんよりとした空が広がっている。
太陽も今日はやる気がないみたい。そんなやる気のない太陽を雲は親切に隠している。
だから、俺も、隠すんだ。
青
桃
青
桃
青
隠してるつもりなのに、すぐに気づいてくれる俺の親友。心配をかけたくなくて、意識して口角を上げた。
桃
青
桃
青
少し悲しそうな表情で見つめられる。全部、見抜かれてるみたいだ。
それでも、俺の親友は無理に聞き出そうともしないけど。
赤
桃
青
俺たちよりも一つ下の君。距離が近くて、甘え上手とでも言うのだろうか。
今だって俺の親友に腕を組んで歩いている。
桃
青
青
赤
結局2人で歩いてくる2人。かくいう俺も、足を止めて2人を待っているけど。
こんな、何気ない3人の時間が俺は大好きだ。
赤
桃
赤
桃
ちらっと親友の方に目を向ける。いつも3人で帰っているし、どうするかと、アイコンタクトで聞いた。
青
桃
赤
元気よく廊下を走っていく君。この時は、ただの相談事だと思っていたんだ。
赤
放課後、夕暮れの中で告げられた言葉に固まる。
口を開けても、息すら出てこない。
桃
喉から引っ張り出した声は、酷くかすれていた。
この感情は、驚きと言っていいものだろうか。驚きとは違う、何か不安のようなものを感じる。
赤
桃
もし2人が付き合ったら、俺はどうなるんだろう。 君が振られたら、俺はどうしたらいいんだろう。
そうか、俺は、この関係が終わってしまうのが怖いんだ。
3人の平和な時間が大好きだった。大好きだから、壊したくないんだ。
赤
でも、大切な君の願いも叶えてあげたい。だから
桃
俺の想いを、また、隠したんだ。
青
桃
昨日と同じ教室、昨日と同じ放課後、今度は親友が衝撃的な一言を放った。
相談がある。なんて珍しいことを言われるから何かと思ったのに。
青
青
苦しそうに言葉を紡いで、俺に近づいてくる。あんな顔を見たら、逃げるなんて思考にはなれなかった。
俺よりも少し大きい体に包み込まれる。
青
青
親友に。そう小さく呟いた。
俺に拒否権なんてなかった。
ゆっくりと服を脱がされる。割れ物を扱うかのようなその手つきは、恐る恐る俺の体に触れた。
お互い家には親がいるから、いつも授業を受けているこの教室で
青
返事もせず、肩に手を回した。目の前の整った顔にはふんわりとした笑顔が浮かんでいた。
細くて、長くて、大きい手が俺の視界を覆う。唇に、なにか触れた気がした。
青
明るくなった視界には、先程よりも幸せそうな親友の顔。
でも
ガラララッ…(扉)
青
桃
その顔は、すぐに焦りに染っていって
赤
何かが、壊れる音がした。
青
言い訳をしようと口を開いた親友を無視して君はこっちに向かってくる。
振り上げられた手
バチンッ…
その手に叩かれたのは
桃
俺だった。
左の頬がじんと痛む。何が何だか分からなくて、何も、言えなかった。
赤
青
赤
青
しんとした教室。孤独感が俺を襲った。
さっきから左胸が痛い。何が小さく音を立てて、少しずつ壊れていくような気がした。
桃
結局、全部俺のせい。
あいつが俺を好きになったのも、 君のことを裏切ってしまったのも、俺たちの関係が壊れたのも
突然、頭痛に襲われる。
桃
窓から見える景色。
雲ひとつない、晴天だった。
コメント
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え、ここでおわる!?ってなりました 続き待ってますはるしゃん^^