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サトコロ「僕は君と幸せにはなれない」

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サトコロ「僕は君と幸せにはなれない」

1 - サトコロ「僕は君と幸せにはなれない」

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2021年11月03日

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この物語はある小説を参考にさせて頂いたものです。

ご本人様とは一切関係ありません。

通報やアンチコメントは辞めてください。アンチコメントは見つけ次第削除させていただきます。

少し暗い内容やBL要素等がありますので、見る場合は自己責任でお願いします。

それではどうぞ

「僕は君と幸せにはなれない」

ゴクゴクゴクッ…

コロン

……はぁッ…

僕は吐息を漏らし、振り返ってテーブルの上を見た。

そこには白いビニール袋が置いてある。

その中身は洗濯ロープだ。

僕は紐を探していた。適度な長さがあり、丈夫な紐だ。

そうして見つけたのが、この洗濯用ロープだった。

清楚感を漂わせる鮮やかなブルーは、使い道を考えると少し不似合いな気がしたが、他に適当な紐が見当たらなかった。

コロン

…取り出すか……

僕はおぼつかない足取りでテーブルの前に行き、洗濯ロープを出した。

長さはざっと5mある。あまり太くはないが、僕一人の体重が掛かったぐらいでは切れないだろう。

コロン

えっと…

室内を見回した。どこかに、このロープを掛けられるような突起は無いだろうか。僕の体重に耐えられるだけの頑丈なものでは無いといけない。

ぐるりと一度顔を巡らせた後、小さく頭を振って椅子に腰を下ろした。

コロン

そんな都合のいい突起なんてあるはずないよね…

少し考えれば分かるはずだった。

紐を入手することだけで頭がいっぱいだった自分の迂闊さに、改めて嫌気がさした。

コロン

……本当に何1つまともに出来ない…ッポロポロ

コロン

僕は本当に生きている価値のない人間だッ…ポロポロ

ぼんやりとリビングボードの上に目を向けた。

小さな写真立てに入っているのは何年も前に撮ったサトミくんとのツーショットだ。それをずっと飾り続けている。

僕は昔からずっとそうだった。

何をしても上手くいかず、誰とも良い人間関係を築けなかった。

近ずいてくる男の人は多かったけど、どの人も最低だった。

コロン

あッ…ドアノブ…ッ…

そう言えばドアノブに首を吊って亡くなったミュージシャンがいた。

自殺か事故かは不明ということだが、死ねるということは確かなようだ。一体どうやったのだろうか。

コロン

そうだッ…ドアノブにロープの一端を結びつけてッ…

さらに残りのロープをドアの上に通し、反対側から引っ張って見たところ、びくともしない。

コロン

これなら大丈夫だ…ッ

垂れ下がっているロープを結び、輪を作った。解けないよう、結び目を何重にもした

椅子をドアの前に移動させ、その上に乗り、ロープの輪を首に通した。

そこでピタッ…と止まった。

コロン

サトミくん…今、何してるんだろうッ…

ふと彼の事が気になった。

コロン

サトミくん…昔からモテてたし、彼女とか…もう結婚してても可笑しくないか。何年も前だもんねッ…

コロン

…もう全部がどうでもよくなってきた。

コロン

よしッ…死のう。

バッ…と、再び椅子の上に乗り、死のうとした。

プルルルルルルッ…

コロン

…ふぁッ…!

携帯の呼出音に驚いてしまい、椅子がガタンッと音がして倒れた。

コロン

いッ…

運良く尻もちをついただけだった。

コロン

…死ねなかった……。

プルルルルルルッ…と、まだ携帯からは呼出音が鳴っている。

多分会社からだろう。欠勤することを今日は伝えていなかった。

電源を切ろうと思い、スマートフォンを手にした。表示されているのは、知らない番号だった。

何となく気になり、出てみた。

コロン

…はい。

あ…もしもし、コロンさんでしょうか。

男性の声が尋ねてきた。低いが、良く通る声だ。

コロン

……そう…ですけど。

答えながら、胸騒ぎを覚えていた。聞いた事がある。この声の主を自分はよく知っている。

……ッあの…

……サトミです。

はい、と僕は答えた。心臓の鼓動が速くなっている。

サトミ

…どうしても話したいことがあります。会っていただけませんか。

コロン

ッ…

電話を握り締めながら、ドアノブに目をやった。

まぁ、死ぬのはまた今度でいいかもしれない。

コロン

……別に良いですけど。

サトミ

……良かった。なら_

指定された場所に来たけど、まだサトミくんは居ないようだ。

一応鞄にはいつ死んでもいいように洗濯ロープやカッターが入っている。

カッターで死ねると思わないが、何かあった時のためだ。

サトミ

…あッ…コロン…さん。ニコッ

コロン

……サトミさん…。

数年ぶりに会う彼は優しい性格は何ら変わっていなかったが、顔立ちは少し大人びて見えた。

コロン

…久しぶりですね…あれから何年も経ちましたけど、結婚とかはされていないんですか。

サトミくんはガタッ…と椅子を引いていた手を止めた

サトミ

……まぁ、一応。ニコッ

そう言った彼の薬指には指輪がはめられていた。

コロン

…そうですか。

やはり、僕なんかと違って、幸せな道を歩んでいるんだ。

コロン

……どうぞ、座ってください。

サトミ

…あぁ。どうも。ニコッ

コロン

…あの。話ってッ…?

サトミ

……単刀直入に言わしてもらいますけど、

サトミ

…コロン。自殺とか考えてるでしょ。

コロン

ッ…!?

何でッ…?誰にも言っていないし、相談などは以ての外だ。

サトミ

…ごめん。驚いたよな。

サトミ

なんか…別れを切り出したあの日、コロンすっごい青ざめた顔してたし、もしかして死のうとしてるんじゃって心配になってさ。

コロン

…でもッ…サトミくんだって家庭があるんでしょッ…?僕の事なんてッ…

サトミ

……頭から離れなかったんだ。

サトミ

いつも俺に向かって太陽みたいな笑顔で接してくれてたお前が。

コロン

ッ…!ポロポロ

サトミ

……コロン、死ぬなよ。絶対に死ぬな。

サトミ

もし死んだりしたら、俺が絶対許さないかんなッ…!ニコッ

コロン

…ッ…うん…ポロポロ

サトミ

……コロン。

ワシャワシャッ…

サトミ

……あの日、死のうとしていた俺を助けてくれてありがとう。

サトミ

お前が居なかったら、俺…今見たいな家庭を築けていないと思う。

サトミ

だから、今度はお前が幸せになれよ。

サトミ

…じゃあな。ニコッ

コロン

ッ…馬鹿ッ…!ポロポロ

コロン

サトミくんッ…ずっとずっとッ…大好きだったよッ…ポロポロ

サトミ

ッ…!

サトミ

ごめんなッ…ポロポロ(ボソッ)

コツコツコツ…

コロン

ッ…わぁぁぁあッ…

僕は周りの目なんて気にせず大声で泣き、

ただただサトミくんの遠ざかっていくばかりの優しい後ろ姿を見つめていた。

僕じゃサトミくんを幸せにはしてあげられなかった。ということだろう。

僕は君と幸せにはなれない

❦ℯꫛᎴ❧

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