あなたがいなくなってから随分経ちました。私の気持ちは届かぬまま…
どうかこの気持ちを…届けてください…
私は今でもあなたを……
ユリカ
ねぇ、カコ!

カコ
はい

ユリカ
願いが叶う噂知ってる?

カコ
願いが叶う……?
何それ

ユリカ
え!?知らないの!?
この願いが叶う噂って言うのはなんでも願いが叶うんだってさ。

カコ
へぇ〜
どうやってそんなの叶えてもらうの?

ユリカ
それはこの学校の旧校舎あるじゃん?

カコ
うん

ユリカ
その旧校舎の美術室の片腕のないデッサン人形にお供えをして自分の叶えたい願いを声に出して読むんだって

ユリカ
カコさ…今でも忘れられないんでしょ…叶翔のこと…

カコ

カコ
忘れたよ……

ユリカ
そんなの絶対嘘だ。
顔に出てるよ。叶翔の座席を見てるのもいつも悲しい顔してるのも…

カコ
ユリカには関係ないよ…

ユリカ
関係なくなんかないよ!
私はカコの親友だよ?関係なくなんかない

ユリカ

ユリカ
ねぇ…カコ

ユリカ
この噂をさ利用してみない…?

カコ
は?何言って…

カコ
あんなのただの噂に過ぎないんだよ!?

ユリカ
分かってるよ!
でも試してみないとわかんない!

ユリカ
それに……

ユリカ

ユリカ
カコのそんな悲しい顔なんて見たくないよ…

カコ

カコ
ごめん…

ユリカ
だから…試すだけ試してみよ?

カコ
…………

カコ
うん…

ユリカ

ユリカ
じゃあ…明日放課後旧校舎前に集合ね

ユリカ
じゃあ行こう…

カコ
うん…

旧校舎は木造建築で歩く度に
ミシミシと床が軋む。
薄暗く視界も悪く
それが一層怖さを倍増させる…
ユリカ
着いたね…

カコ
うん…結構怖い…

ユリカ
だ…大丈夫だって…

ユリカ
じゃあ…開けるよ?

カコ
うん…

キィーッと薄気味悪く扉が唸る
中は埃っぽく使われていない
デッサン人形や卒業生徒の作品
などがしまわれてある
カコ
中は意外と大丈夫だね…

ユリカ
うん…

ユリカ
あ、そうだ
お供え物は持ってきた?

カコ
あ…うん、一応

ユリカ
多分あの隅に置いてあるデッサン人形だよ…あれにお願いするんじゃない?

カコ
だね……やってみる…

カコは持っていたお供え物をデッサン人形の前に置き願いを込めた…
カコ
(叶翔に…もう一度会えますように…)

カコ
もう…大丈夫かな…

ユリカ
そうだね…

カコ
何も……起きないね…

ユリカ
やっぱただの噂だったのかな…

カコ
きっとそうだったんだよ…
こんな願い叶うはずないし…

カコ
もう、戻ろっか…

ユリカ
そうだね…ごめんね…

カコ
なんでユリカが謝るの?

ユリカ
だって………

カコ
全然気にしてないから!
早く戻ろ!

ユリカ
うん…
