わたし、屋上で靴を脱ぎかけた時に
帽子をかぶった先客に、声をかけてしまった
蝶
ねぇやめなよ
夢花
⁉
口をついて出ただけ
蝶
(ホントはどうでもよかった)
蝶
(先を越されるのが、なんとなく癪だった)
帽子をかぶった子は、語る
蝶
(どっかで聞いたようなこと)
夢花
……運命の人だった
夢花
どうしても愛されたかった
蝶
(ふざけんな!)
そんなことくらいで私の先を越そうだなんて!
蝶
欲しいものが手に入らないなんて
蝶
奪われたことすらないくせに!
夢花
話したら楽になった
って帽子をかぶった子は、消えてった
さぁ、今日こそは と 靴を脱ぎかけたらそこに
ピアスをした男の子また声をかけてしまった
蝶
どうしたの?
イザナ
⁉
ピアスの子は語る
イザナ
無視されて、奪われて居場所がないんだ
蝶
(ふざけんな!)
そんなことくらいで私の先を越そうだなんて!
蝶
それでも、家では愛されてあたたかいご飯もあるんでしょ?
イザナ
!
イザナ
なんかお腹がすいた
と泣いてピアスの子は消えてった
そうやって、何人かに声をかけて
蝶
やめなよ
蘭
えっ……
蝶
ーーーーーーーーー?
竜胆
!
追い返して
私自身の痛みは誰にも言えないまま
蝶
(ノД`、)
初めて見つけたんだ似たよな悩みの子
何人目かに会ったんだマスクをした男の子
蝶
どうしたの
春千代
………………家に帰るたびに、増えるあざを消し去ってしまうため
春千代
ここに来た………
口をついて出ただけ ホントはどうでもよかった
思ってもいないことても声をかけてしまった
蝶
ねぇやめてよ……
春千代
無理だよ。そんなこと言われたってもう我慢ができないんだ……
死なせてくれ……
死なせてくれ……
蝶
(あぁどうしよう…この子は止められない)
蝶
私には止める資格がない
春千代
なら……
蝶
それでも、ここからは消えてよ
蝶
きみを見ていると苦しいんだ
春千代
……………じゃあ今日はやめとく
目を伏せたまま消えてった
蝶
今日こそは誰もいない
蝶
私ひとりだけ
蝶
誰にも邪魔されない
蝶
…………邪魔してはくれない
カーディガンは脱いで、一つ縛りをほどいて背の低い私は
蝶
今から飛びます!
夢花
まって…
イザナ
なんで……
春千代
俺我聞したのに……
蘭
うそだろ……
竜胆
やめて……