はぁ、もう朝が来てしまった。
まだ事務所に入ってないけどもう帰りたい。帰って布団の中でぬくぬくしたい。
松野さんとどんな顔で会えばいいの。
いや、むしろ私はクビかもしれない
そうだよね。
松野さん「もういいから」って言ってたもんね。
あぁ、もし本当にそうならどうしよ!
担当した人を大スターに育てあげる私の夢もこれでおしまいだー!
何よりもう一度就活しなきゃ。
やっと見つけたやりたいことだったのにな
おそ松
さっきからなにしてんの?
莉心
え?ぎゃー!!!
おそ松
ぎゃー!!
おそ松・一ノ瀬
ぎゃー!!!
莉心
て、松野さん?!
おそ松
おー。すんげえ雄叫びだったな〜。
莉心
急に声をかけられたらどんだけ可愛い女の子でも野太い悲鳴をあげますよ!
おそ松
そんなことない!俺はもっと可愛いきゃーって悲鳴を期待してた!
莉心
そんなこと期待されても困ります!
おそ松
トト子ちゃんだったら俺の期待に答えてくれるんだろうなー。
莉心
うっ…(トト子先輩なら…するのかな、なら私も…)
おそ松
というわけで、テイク1いってみよー!
莉心
えぇ?!
おそ松
はい。後ろ向いてー、始めるよー、さっきから何してんの?
莉心
き、きゃー!
おそ松
ちっがーう!もっと可愛く!両手はグーにして、顔の下!悲鳴をあげる時は膝を軽く曲げる!
莉心
後ろ姿なのにそこまで求めるんですか?!
おそ松
うちのトッティのほうがもっとあざとくて可愛くできるぞ!
莉心
トッティって誰のこと?!あぁもうやりますよ!
おそ松
それじゃあテイク2!
おそ松
さっきから何してんの?
莉心
キャー!
おそ松
カーット!よし、合格!
莉心
ありがとうございます!…ってなんでこんなことしなきゃいけないんですか!
おそ松
なんでってそこに一ノ瀬がいたから。
おそ松
ついでに言うとトッティっていうのはうちの末っ子のトド松ね。
莉心
…6人もいると個性が凄そうですね。
おそ松
凄いったらないよ?まともなの俺しかいないからやんなっちゃうよねー。
莉心
(まとも…なんだろうか?)
莉心
(って、そんなことより松野さんに謝らないと。)
莉心
…あの、松野さん。
おそ松
ん?なに?
莉心
その、昨日は本当に、
おそ松
ごめんな。
莉心
え?
莉心
まつ、の、さん?
おそ松
俺、自惚れてたんだ。ずっと。自分はカリスマだと思ってたから。
おそ松
俺はさ、確かにみんなが言うようにニートだったわけ。
おそ松
家でゴロゴロしてさ、出かけるとしたらパチンコか競馬場。
莉心
まあ、そうですね。
おそ松
なんでそこ納得すんの?!
そこは違いますよ。とか言うでしょ!
莉心
いやだって!本当のことだから!私は嘘が付けないんです!
おそ松
そうだった。それで露店のおっさん泣かしたんだった。
莉心
蒸し返さないでください!
おそ松
で、あれ?なんの話ししてたんだっけ?
莉心
どうしてさっきのこと忘れるんですか?!松野さんの懺悔ですよ!ざ・ん・げ!
おそ松
え?俺そんな重い罪の告白をしてたっけ?
莉心
ちなみに自分はニートでパチンコと競馬しかしてこなかったダメ人間であることまで話してました。
莉心
続きどうぞ。
おそ松
え?!認めちゃうの?!
そこは嘘でもそんなことないですよって言うパターンのやつじゃ?!
莉心
…そんなことないですよ?
おそ松
なんで疑問形なんだよ!
おそ松
あー!もう!わーったよ!
おそ松
とにかく俺は世間知らずだったんだよ!俺こそが世界一のカリスマだ!って
莉心
ちょっと何言ってるか分からないですね…
おそ松
え?!何それ?!もしかして俺のこと嫌いなの?!
莉心
…好きです
おそ松
え?
莉心
友人として!
おそ松
…なんだよー!って、あ、それでねそれでね
おそ松
しかーし!突如としてパーフェクトモンスターあつしがあらわれた。
おそ松
俺は奴の攻撃を受け、奮闘虚しく倒れてしまう。
おそ松
1度諦めかけたカリスマおそ松だが、このままではいけないと立ち上がった。
おそ松
そしてカリスマおそ松は勇者おそ松へと進化し、モンスターと立ち向かうことにした!
莉心
あつしさんを悪く言わないでください!
おそ松
お前どっちの味方なの?!
莉心
っは!すみません…!
おそ松
ぐはぁあ!勇者に大ダメージ!
莉心
こうして、勇者の旅路は志半ばで途絶えてしまうのでした。ちゃんちゃん!
おそ松
終わらすなよ!俺に対しての扱いが雑!まあ冗談はこれくらいにしておいて。
おそ松
あつしに負けたのは単純に俺の実力が足りなかったせいだ。
おそ松
なのに、一ノ瀬に当たったりしてさ、チビ太にも叱られた。
おそ松
全部、俺が自惚れてロクに練習をしてなかったせいだ。本当にごめん!
莉心
ま、松野さん…
莉心
うわぁああああん!
おそ松
えぇ?!泣く要素あった?!俺、悪いことしたー?!あ、したわ、だから謝ってんだわ。
莉心
ううん。松野さんのせいじゃないです。
おそ松
あ?そうなの?なーんだ。謝って損した。
莉心
なんでそうやってすぐ真に受けるんですか!
莉心
言葉の真意をもう少し察してください!最低ですよ!うわぁあああん!
おそ松
え?!真意って何?!ねぇ?!ねぇ?!
莉心
ちょっとは自分で考えてぇええ!
莉心
うわぁあああん!
おそ松
ちょ…お願いだからいい加減泣き止んでくんない?
トト子
ちょっと。事務所の目の前で何を騒いでんのよ。
おそ松
トト子ちゃん!
トト子
どうしてこの子泣いてるの?
おそ松
トト子ちゃん、俺どうすればいい?
トト子
えー?おそ松くんが泣かせたの?サイテー。トト子知らなーい。
おそ松
えぇええ。そんなこと言わないでよー!
トト子
だって、泣かせたのおそ松くんでしょ?自分で泣き止ませないと意味ないわよ。
おそ松
うぅ。
莉心
うわぁああああん!
おそ松
なあ!頼むよ!泣き止んでくれよ、飴ちゃんあげるから!
トト子
大阪のおばちゃんか!
莉心
え?何味ですか?
トト子
なんでそっちも普通に聞いてんのよ!
莉心
私、りんご味がいいです。
おそ松
ざんねーん。りんご味は売り切れでーす。残りはハッカだけー。
莉心
…うわあああああん!
おそ松
泣くほどハッカきらいなの?!
トト子
もう!なにやってんのよ!せっかく泣き止んだのにまた泣かせて!
おそ松
えぇー?うーん…しかたない。
おそ松
一ノ瀬。
おそ松
一ノ瀬。俺の言葉を聞いて欲しい。
トト子
え?何その声。なんでそんないい声だしちゃってんの?
おそ松
そんなに泣いては君の綺麗な瞳が涙で溶けてしまいそうだ。どうか、泣き止んでくれないか?
おそ松
泣き止んでくれたら君にあるものを贈りたいと思うんだ。
莉心
ある、もの?
おそ松
これさ、前に君が欲しがっていたお守りだよ。
おそ松
この間、あの露店の前を通り掛かってね、そうしたらこれが光り輝いて見えたんだ。
莉心
でも、いただけないです。
莉心
私、松野さんにあんな態度とって…
おそ松
それはお互い様さ。だから受け取ってくれないか?君のためにチビ…じゃなくて買ったんだ。俺がね。
莉心
…///
トト子
いや、何に照れてんの?どこら辺に照れる要素があったの?
おそ松
さあ、どうぞお受け取りください。プリンセス
おそ松
(それにこの光景、見覚えがある)
莉心
(私たち…昔どこかで…)
おそ松
(会っていたんじゃないか?)
莉心
松野さん…///
おそ松
一ノ瀬…///
おそ松
ああ。どうして俺は忘れてしまっていたのだろう
莉心
私もです。でも、またこうして出会うことが出来ました!
莉心
私たちは結ばれる運命なんです!
おそ松
一ノ瀬!
莉心
松野さん!
トト子
……いい加減にしなさーい!
おそ松・一ノ瀬
(いいとこだったのに…!)
トト子
さっきから黙って聞いてれば、なんなのよ!その甘々展開!
トト子
しかもなに?!俺たち、実は昔!みたいなさ!だったら私とも会ってるはずでしょうが!
トト子
なのに2人だけの世界みたいなの作っちゃってー!なんで可愛いトト子が主役じゃないのよ!
莉心
ご、ごめんなさい!でもトト子先輩は私の頼れるお姉さんポジですから!
莉心
この後出る予定でした!
トト子
お姉さんポジかぁー。
なーんだ、それならまあいいわ。許してあげる
おそ松
なあなあ、俺の演技どうだった?なかなか良かったっしょ?
莉心
はい!雰囲気もすごく良かったですよ!思わずキュンとしちゃいました!
おそ松
…え、まじ?(ボソ
おそ松
い、一ノ瀬もよかったぜ!
莉心
ほんとですか?!わーい!褒められたー!
おそ松
だははははっ!俺の教育のおかげだな!
莉心
指導された覚えありませんけどね!
おそ松・一ノ瀬
あははははっ!!
トト子
あははははっ!じゃないわよ!こっちは急に乙女ゲーム展開を見せつけられて吐きそうになったわ。
…ん?トト子先輩、なんであんなに突っ込んできたんだろう?
莉心
トト子先輩…松野さんのことを…?
トト子
は?
おそ松
え?マジで?!
トト子
違うわよ!なんで私がこんなニートと!
おそ松
え?トト子ちゃん?
トト子
いや!違うって言ってんでしょ!何頬赤らめてんのよ!
おそ松
トト子ちゃん!ぜひ俺と!
トト子
石油を見つけてから出直して。
おそ松
はい…
トト子
全く。なんで私がこんなのに突っ込まなきゃいけないのよ。私の仕事じゃないっての!
莉心
…
おそ松
(あれ、一ノ瀬黙ってる)
おそ松
あ、そういえばお守りどうだ?
莉心
凄く可愛いです!ありがとうございます。松野さん!
デカパン
ホエホエー!皆大変だス!!