小山らがこれからの行動を相談し合っている中、 自らを犠牲に囮になった歓奈達は、 桃色の草を掻き分け 逃げ回っていた。
彼女は怖がりだが、根性だけは人一倍ある。 今回の行動も、そこから来たものだった。
しかし、衝動的に囮を引き受けてしまった為、 これからどうすれば良いのか分からない。
何故か歓奈と一緒について来てくれた ツァイルとラミラも、後ろをチラチラと振り向きながら策を考えているようだ。
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
必死に声を張って、二人に問う。
すると、先程からナイフで応戦しているツァイルがちらりと此方に見るが、何も答えない。 そのナイフは、一体どこから持ってきたのか。
ラミラは余裕そうに前を走っているが、彼もまた、歓奈の問いかけには答えない。
歓奈は、困ってしまった。
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
世界が壊れかけているのか、 はたまた最初からだったのか、森の中は荒れ、桃色の空には亀裂が入っていた。
歓奈の体力もそろそろ限界で、世界も壊れかけているときた。しかし、彼女らはまだ、元の世界に戻る方法を見つけてはいない。
歓奈ーKannaー
ラミラ
ツァイル
___一方、その頃。
消愿さんの提案で、僕達は今、 あの小屋へと探索に来ていた。
扉を開けると、その先に広がっていたのは謎の空間ではなく普通の内装。
変な場所に飛ばされなかったことに安堵しつつ、 僕らは取り敢えず、状況を整理することにした。
向葵ーHimariー
パフ
小山ーOyamaー
空には亀裂が入り、 地面は崩れ、 桃色の世界はゆっくりと崩壊し始めている。
このまま此処にいては、間違いなくその崩壊に巻き込まれてしまう。 ピンクチャン達が言ったように、体がドロドロに溶け、死んでしまうかもしれない。
揺籃ーYurikagoー
秋霞ーAkikaー
揺籃ーYurikagoー
海人ーKaitoー
フレア
自ら囮になった歓奈さん達の方も、きっと地面や空が崩れ始めているだろう。
しかもピンクチャン・ピンククンに追われているため、僕らよりも危険なのだ。
僕らがこの部屋で脱出の手掛かりを見つけられたら良いのだが、生憎 疲労で体が動かない。
絶体絶命である。
揺籃ーYurikagoー
夏希ーNatukiー
ふと、揺籃さんが部屋の隅で立ち止まった。
腰を下ろし、その場にしゃがみ込む。 そして、何かを拾い上げた。
カシア
雪ーYukiー
それは、白色の本だった。表紙には何も書かれておらず、ただ白が広がっている。
皆、彼の近くへと集まった。 揺籃さんが、ページをめくる。
消愿ーSyogenー
花楓ーKaedeー
小山ーOyamaー
フレア
歓奈ーKannaー
グルグルと走り回っていたツァイルとラミラは、歓奈の驚いたような声で慌てて足を止める。
何事か彼女の方を見ると、そこには巨大な穴が。これも、世界の終わりが近付いて来ている影響だろう。
ジリジリと、双子が距離を詰めてくる。 もう、彼らに襲われるか大穴に飛び込むか、どちらかの選択しか残されていなかった。
ピンクチャン
ピンククン
懇願するような二人の声が、歓奈達に迫る。
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
「どうしましょう」と言いかけた歓奈の眼球に、刃物が突き刺さ………
…る、寸前の所で、ツァイルが護身用のナイフをピンククンの肩目掛けてぶん投げた。
ラミラ
称賛の言葉を述べるラミラも、懐から取り出したベビー用品をピンククンに投げつける。
勢いが付いたベビー用品はピンククンに命中し、刃物が彼の手から滑り落ちた。
歓奈ーKannaー
ツァイル
ラミラ
ツァイル
怯んだピンククンを庇うように すかさずピンクチャンが前へ出て、歓奈達へ突進しようとする。
後ろには大穴。前にはピンククン。 逃げ場などないこの状況で、
突然、 ラミラが歓奈とツァイルの手を握り、呟いた。
歓奈ーKannaー
ツァイル
ラミラ
消愿ーSyogenー
海人ーKaitoー
雪ーYukiー
花楓ーKaedeー
僕達が元の世界に戻る方法、それは そんな手順だった。
しかし、今この場所には歓奈さん、ツァイルさん、ラミラさんは居ないし、 ましてや特別な本なんて物もない。
方法が分かっただけで、 状況は良くなっているとは言えなかった。
パフ
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
秋霞さんの言うように、確かにピンクメッシュが消えてからは、体が軽くなった気がする。
あのメッシュに、僕達の行動を制限する力でもあったのだろうか。非現実的だが、状況が状況だから否定は出来ない。
向葵ーHimariー
揺籃ーYurikagoー
カシア
ラミラ
小山ーOyamaー
夏希ーNatukiー
突如背後から聞こえた、この場にいる筈のない彼の声に、僕は勢い良く振り返った。
歓奈ーKannaー
ツァイル
歓奈さん。ツァイルさん。ラミラさん。 自ら囮役を引き受けてくれた、勇気ある三人が、そこに立っていた。
フレア
歓奈ーKannaー
ラミラ
ラミラ
ラミラさんの言葉に、本を持っていた揺籃さんは小さく頷き、それを手渡す。
揺籃ーYurikagoー
海人ーKaitoー
海人ーKaitoー
青野さんの説明に、歓奈さんが何かに気が付いたように服の内側をゴソゴソと探る。
彼女が取り出したものに、僕は見覚えがあった。
花楓ーKaedeー
カシア
そう。“二つ目の扉の時”、出る前に彼女が手にしていた黒い本だった。
歓奈ーKannaー
消愿ーSyogenー
秋霞ーAkikaー
僕らは顔を見合わせて頷く。
この本の近くで、僕達全員が手を繋ぎ、帰りたいと強く念じれば、元の世界に戻れるかもしれない。
淡い期待が、胸の中で芽生えていた。
夏希ーNatukiー
ツァイル
雪ーYukiー
ラミラ
黒い本の3ページ目を開き、僕らは全員で手を取り合い、円の形を作る。
“帰ることが出来る”という期待に、 心臓の鼓動が高鳴っていた。
小山ーOyamaー
パフ
小山ーOyamaー
帰りたい。
家に帰りたい。
15人の思いが、一つになった瞬間だった。
突然、辺りを眩い光が包み込み、
視界が白く弾けた。
意識が飛ぶ、 最後に見た光景は
大粒の涙を流しながら、 こちらに手を伸ばす双子の姿だった。
花楓ーKaedeー
花楓ーKaedeー
向葵ーHimariー
花楓ーKaedeー
向葵ーHimariー
花楓ーKaedeー
向葵ーHimariー
花楓ーKaedeー
パフ
パフ
パフ
ツァイル
パフ
パフ
消愿ーSyogenー
消愿ーSyogenー
海人ーKaitoー
海人ーKaitoー
消愿ーSyogenー
消愿ーSyogenー
海人ーKaitoー
ラミラ
ラミラ
ラミラ
ラミラ
フレア
フレア
フレア
フレア
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
歓奈ーKannaー
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
秋霞ーAkikaー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
揺籃ーYurikagoー
カシア
カシア
カシア
カシア
カシア
カシア
カシア
小山ーOyamaー
小山ーOyamaー
眩しさに思わず顔を顰めて、 僕は重い体を起こす。
僕が寝かされていた場所は公園のベンチで、その公園は、僕がよく散歩しに来ている場所だった。
夏希ーNatukiー
雪ーYukiー
小山ーOyamaー
二人の姿に、僕の頭は一度思考を停止する。
暫くして動き出した頭の中で、「戻って来れた」という言葉が暴れ回っていた。
小山ーOyamaー
雪ーYukiー
小山ーOyamaー
どうやら、僕達があの世界にいたのは夢ではなく現実のことで、
こちらの世界では、 行方不明として、友人の中でちょっとした騒ぎになっていたらしい。
家に帰ったら怒られるだろうな、とどこか他人事のように思った。
小山ーOyamaー
夏希ーNatukiー
夏希ーNatukiー
雪ーYukiー
夏希ーNatukiー
小山ーOyamaー
背を向けて歩き出した二人の後を、 慌てて追う。
数歩後ろを歩きながら、僕はぼんやりと、双子の彼らのことを思い出していた。
彼らは、 あの世界が崩壊したら、自分達も消えてなくなってしまうと分かっていたのだろう。
だから、偶然迷い込んできた僕らの体を奪って、生き永らえようとしたんじゃないか。
きっと、死ぬのが嫌だったから。
小山ーOyamaー
そんな事を頭で考えながら、 僕はふと、空を見上げた。
果てしなく広がる空は、 あの世界の濁った桃色ではなくて、
小山ーOyamaー
酷く青い、空だった。
終
コメント
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うおーー!!!またまとめて読ませていただきました!!帰れたー!!(語彙力低下)可愛い双子達がかなり暴走してたからみんなどうなっちゃうのかなって思ったけど無事に帰れてよかった…双子達泣いただと…!?なんか双子達も可哀想になってきたぞ…私が身を差し出したくなりますわ…カシアが最後まで女の子LOVEなの最高すぎます!!!THEカシアって感じする めちゃくちゃ読むの楽しかったです!!完結お疲れ様でしたー!
きゃー!!ツァイルー!!ラミラくーん!!かっけぇぇぇ!! タイトル回収キター!!! すごい、最後は皆様のところの世界線に帰れたという…すごいです…! お疲れ様でした!楽しかったです!
完結お疲れ様!! 勧奈大活躍で嬉しいです(号泣) 口に出しちゃう小山くん可愛い 皆が無事でよかった、おいしいおやつにぽかぽかごはん食べてください