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けぺ
扉を開くと「おかえりなさいませ」と素っ頓狂な応対が飛んでくる
メイド服姿の店員に軽く会釈し、顔は動かさずに視線だけで店内を見渡した
ギフン
ファンシーな装飾の裏から顔を覗かせた男に思わず口元が緩む
サンウ
ギフン
ギフン
パタパタとスカートを翻しながら近寄ってくる男は、古くからの顔なじみのギフン兄貴だ
ギフン
バシバシと肩を強く叩きつつ、茶化すように言う
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
じゃあこっちに、と兄貴が手を向けた席に座る
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
慌ただしく兄貴はキッチンへと走り去っていった
始めはあの兄貴がメイドカフェで働く、なんて聞いて信じられなかった
何を血迷って大の大人の男がメイドカフェなんかに……と呆れたものだ
しかし、一度物珍しさに店を訪れたとき、兄貴が一般の客に口説かれているのをみた
そのとき感じた気持ちはなんだったのか、未だに分からない。断じて愉快ではなかった
サンウ
サンウ
サンウ
そこまでいいかけて口を固く閉じる
この言葉を口に出してしまったら、その気持ちが本当になるような気がした
サンウ
しばらく待っていると、いつものオムライスが運ばれてきた
ギフン
サンウ
ギフン
ギフン
一瞬考えて、オムライスに視線を落とす
しごと おつか
サンウ
サンウ
兄貴は少し申し訳なさげに「れ」を書き足し、ケチャップの蓋を閉めた
ギフン
ギフン
ぽん、と頭に手を置かれる
それと同時にドクリと心臓が高鳴った
サンウ
サンウ
サンウ
そう思うとどろりとした黒い独占欲が滲むのを感じたが、オムライスを口いっぱいに頬張りそれを封じた
ギフン
他の客に呼ばれた兄貴が離れていく
その華奢な後ろ姿を自然に目で追ってしまう俺は、もしかしたら
サンウ
成人男性には少なめのオムライスはすぐ食べ終えることができた
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
冗談ぽく兄貴が笑う
その顔にまた心臓が握り潰されるように苦しい
サンウ
慣れた手つきでハートの片方を片手で形作っている兄貴の肩を抱き寄せた
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
カシャ
サンウ
フラッシュに思わず目を閉じてしまった
サンウ
ギフン
ギフン
黒かった写真が段々と色を取り戻していく
たしかにそこには固く結ばれた口元に半目の自分がいた
サンウ
ギフン
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
嫌な客だな、と笑う兄貴にまた変な気持ちが顔を覗かせる
サンウ
チェキを見返すと、俺の横に映る兄貴にチェキを撮ってよかったななんてふと思った
自分でも気持ち悪いが、兄貴のメイド姿が家でも見れるのはちょっと嬉しい
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
ギフン
兄貴に急かされるままに出入口に向かう
けぺ