太宰治の無痛無汗症

重力操作を使い果たし、 立っていられるのも やっとだった。

それでも俺は走り続けた。

あれから何れだけ走っただろう。

幾ら話し掛けても 太宰の返事は返ってこない。

ｽﾞｷｯ

突然腹に鈍器で殴られた様な 激痛が走る。

痛みに耐えられず、思わず 蹲ってしまった。

蹲り体制を崩してしまい、 太宰を降ろしてしまった。

手を伸ばそうとしたが もう腕と脚に力が入らない。

突然の吐き気に 耐えられなかった。

ｺﾂｺﾂｺﾂ

カクカクシカジカ

ｺﾝｺﾝ🚪(←ノック)

ｶﾞﾁｬ🚪

ドアの方に目をやると、 銀が中也さんを姫抱きして 入って来た。

ｷｰ ﾊﾞﾀﾝ🚪

中也検査中｡｡｡

重い瞼を開けると、 そこは首領の治療室だった。

中也君へ 中也君は胃腸炎に掛かっている。 私は今太宰君の手術を しているから、君は安静にして いなさい 森鴎外

思い返せば正直、 少し前から体調に 異変はあった。

吐き気程ではないが、 辛かったのを覚えている。

ふと、医務室にあった 地図を手に取り 手術室を探す自分がいた。

俺は急いで手術室へと向かった。