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半透明の手紙。
ピッ ピッ ピッ
カキカキカキカキ
病室にペンが走る音と、ヘッドサイドモニターの音が響き渡る。
私は毎日、毎日、彼に手紙を書いた。
読んでくれなくてもいい、
捨ててもいい、
グシャグシャにしてもいい、
ただ彼に手紙を書いて、想いを伝えたい。
そう、思った。
ya
yuki
俺は、毎日、毎日、彼女に会いに行った。
無愛想でもいい、
嫌われたっていい、
めんどくさがられたってもいい、
ただ彼女に会いに行って、言葉で想いを伝えたい。
忘れて欲しくない。
そう、思った。
yuki
スッ
ya
彼は、
毎日、毎日喜んでくれた、
それを見れて、私は嬉しかった。
彼女は、
毎日、毎日手紙をくれた、
手紙を読んで俺は嬉しくなった。
ya
ya
yuki
手紙には、感謝の内容が書かれている。
俺もすかさず感謝をする。
そうすれば、彼女は嬉しそうに笑ってくれる
手紙を読んでいる彼はとても嬉しそうで、
とても、笑っている。
だから、
自然とつられて、私も
笑顔になれる。
だから毎日手紙を書く。
だから毎日会いにいく。
でも、
時々心配になってしまう。
彼女が目の前で消えてしまいそうで、
そう思うと、胸が苦しくなる。
だから、
彼女の手を握りしめる。
消えていかないように。
消えて欲しくない、
俺の前から、、
毎日
毎日
そう願う。
数ヶ月後。
ピーーーーーーーーーー…
心肺停止の音が、
病室いっぱいに響き渡った。
俺は、大粒の涙を流した。
彼女が最後にくれた手紙には
『大好き』
それだけ、
たったそれだけの一言。
それだけで俺は胸がいっぱいになった。
ya
ya
それだけ言って、手紙を握りしめた。
完