テラーノベル
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立ち入り禁止の階段は、
思ったよりも暗かった
電灯は付いてるのに
光が届いていないみたいで
…それでも、足は止まらなかった
依田
ここで引き返したら、
宇佐美は本当に”戻れない場所”へ
行ってしまう気がして
階段の踊り場で彼は座り込んでいた
壁にもたれて
膝を抱えて
まるで
「咲く前に折れた花」みたいに
宇佐美
宇佐美
顔をあげた彼の目は、
ひどく疲れていた
怒りも、絶望も、もう使い切った後の目。
依田
凛太郎
和栗
保科
和栗
和栗
.
.
.
保科
.
保科
.
保科
.
保科
依田
依田
彼は黙ったまま
続きを待っている
和栗
和栗
和栗
一瞬、彼の瞳が揺れた
和栗
和栗
宇佐美
小さな声
でも、否定じゃない
和栗
和栗
和栗
宇佐美はずっと正しかった
誰かを傷つけないように。 空気を乱さないように。 自分の痛みは、後回し。
宇佐美
宇佐美はそう言う
宇佐美
保科
保科
彼の指が、ぎゅっと握られる
爪が白くなるほど
和栗
その瞬間。
張り詰めていた何かが
音もなく、ほどけた
宇佐美
宇佐美
宇佐美
それが、闇の正体だった
悪意でもない、狂気でもない。
「失望される恐怖」
依田
和栗
宇佐美
沈黙
長くて、静かな沈黙
やがて、彼はゆっくりと
立ち上がった
宇佐美
宇佐美
保科
宇佐美
宇佐美
それは命令でもなく
依存でもなく
助けを求める声だった
凛太郎
宇佐美
夕方の校庭
花壇の前で彼は足を止める
宇佐美
前と同じ言葉なのに
声が違う
宇佐美
夕焼けの中、花は揺れている
完璧じゃない
でも、確かにそこにある
宇佐美翔平はまだ完全に救われていない
闇が消えた訳でもない
それでも。
――彼は、闇から
一歩だけ戻った
それで、十分だった
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