テラーノベル
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治は昔から“天才”と呼ばれてきた。
大げさでも何でもなく――本当に、ずば抜けていた。
授業を聞かなくても分かる。
参考書を一度読むだけで内容が全部頭に入り、忘れない。
問題を見た瞬間、答えが“浮かぶ”。
自分でも分かる。
自分が“少し変だ”ということを。
けれど。
太宰
理由は、とても単純で、どうしようもなかった。
中也
太宰は呆けたように中也を見つめていたらしい。
問いかけられて、はっと我に返る。
太宰
中也
その笑顔は、昔からまるで変わらない。
太宰
中也は“天才”でも“特別”でもない。
授業では平均。
喧嘩は強いけど、勉強はそこまで得意じゃない。
テストで60点を取って、むしろ嬉しそうに笑うことすらある。
けど――
太宰
計算も、記憶力も、要領も、未来予測も、全部太宰の方が上なのに。
でも、
“心”だけは中也がいつも、太宰のはるか先を行っていた。
太宰
昔からそうだった。
太宰が強がるとすぐ気づく。
太宰が泣きそうになると、誰よりも早く寄ってきた。
太宰が怒る前に、理由を当てる。
太宰が悩む前に、気づく。
中也
腕を引っ張られる。
その力は強いのに、どこか優しい。
太宰
天才なんて呼ばれても、
特別扱いされても、
勝てないものは勝てない。
太宰
今もこうして胸が苦しいのは、
恐怖でも罪悪感でもなく――
中也の笑顔ひとつで、全部ひっくり返されてしまうから。
太宰
逃げると決めたのは自分。
中也を選んだのも自分。
その選択をさせたのは、中也。
中也
太宰
中也
太宰
中也には敵わない。
その事実が、今は少しだけ――心地よかった。
コメント
6件
眠さ限界の中読みました、、、明日には忘れてるかもしれん。遥かに太宰の方が上なのにどう足掻いても中也には勝てないってのが好き
太宰さんほかのみんなには勝ってるのにちゅーやには敵わないのまじ最高すぎますぅ🥺
またまた1!取ります!笑