俺はある一軒家の呼び鈴に指を かけていたが力は込めなかった (はぁ…電車に遅延があったからって説明しても、何か言われるんだろうなぁ) 幾ら田舎とはいえ人は通る何分も人の家の前で男が居たら怪しむだろう…しかたがない俺は意を決して押した ピンポーン
涼奈
開幕早々か…涼奈の暴言…付き合った当初は辛かったけど もうその感情は湧かなくなり代わりに "なんでまだ付き合っているんだろう" と言う虚無感だけが生まれていった
俺
涼奈
それより早く掃除してくれる?
ほら私体力ないしモデル仕事で疲れてるからさ
俺の彼女 綾川 涼奈(あやかわ すずな)は メジャーとはまだ呼べないものの密かに人気と知名度を伸ばしている 読モだ そんな彼女は一人暮らしをしており掃除が苦手な為今日みたいに定期的に俺が呼ばれる
俺
涼奈
私とアンタじゃ立場が違うのよ
ほんと物覚えが悪いわね猿なのかしら
あぁ…本当になんでこんな奴を 好きになって まだ付き合っているんだろう 分からぬかなってきた…
俺
涼奈
涼奈
他の部屋の扉とは違いピンクを基調とした様々な物が飾られている 涼奈の部屋の扉 ガチャ
俺
ベットの横に前はなかった机に乗るくらいの棚が置いてあり、そこに俺と涼奈が写っている写真や昔プレゼントした気がするアクセサリーが飾ってあった
涼奈
俺
涼奈
やっすいアクセサリーに写りの悪い写真なんて要らないんだけどね
俺
涼奈
今すぐ別れたい気分だわ
俺
埃にまみれてエゴサしたいなら別だけど
涼奈
ふん!じゃ、とっとと初めてくれるかしら
物の配置が変わると怒るから 慎重に掃除を行った 本来なら対して大きな部屋でもないし 時間が掛かるわけがないのだが 涼奈が出ていってから40分ほど経っていた
俺
俺
俺は一度部屋から出て定期的に俺が補充してるお茶のペットボトル一本を冷蔵庫から取り出し飲んでいた
涼奈
俺
涼奈
時間かかるのよ
俺
あぁ…心が死んでいく感じがする なんで俺自身が俺を罵っているんだ…
涼奈
俺
涼奈
俺
あぁーどうでもいい でも不機嫌になられるのも面倒臭い
俺
涼奈
チョーイケメンの人達を誘って
カフェに行く事になったの
彼氏の前で平然と言うか もういいや もういい 本当にもういい 高校の頃から好きだったけど もうどうでもいい 愛なんてとっくに尽きて 惰性とまた昔のように仲の良い恋人関係に戻れると思ってやってきたけど 今のでわかった
俺
涼奈
俺
家中を周り俺が関係する物を全て集めた アクセサリー 写真 昔買ったペアルック 旅行の時に買った記念品
俺
俺
あっ…まだ一つあった アイツが最初にくれた プレゼントの時計… そう今身につけているこの時計…
俺
ジョキ ジャギ
俺
物だなこんなにあったとは、並べると
テーブル埋めれちゃってるな
視界の先にある テーブルの上に並べられた 二人で撮った写真"だった物" 今は俺が写っている所だけ切り取った アイツが一人で写っている写真
俺
集めた物を空のドラム缶に入れ 上からオイルを流した後 火をつけた
バチバチと音を立てながら 俺にかかっていた枷が 解かれて行った
いつしか火の勢いは弱って 鎮火した
俺
元の場所に戻さないと
机の上に置いてある アイツ一人映る写真を 全て元の額縁に戻した
もう全てが終わった 鍵は持っていないだから 後俺がやるのはアイツが帰ってくるのを待ち 別れを告げてるだけ
涼奈
涼奈の声に起こされ外を見ると夕焼けが見えた寝ていたらしい
俺
涼奈
イケメンだし話は上手だし超楽しかった!
俺
涼奈
涼奈
俺
涼奈
涼奈
え?本当にどういうこと?え?
俺
涼奈
俺
写真だろうと私を捨てるなんて〜
とか言ってきそうだから1枚1枚丁寧に
俺の部分だけ切り取った
涼奈
ほ、他の写真もやったの!?
自分の部屋に走っていく涼奈 俺はその後をゆっくりと追いかける
涼奈
俺
ゴミなんだろ?捨てて何が悪い
俺に掃除を頼んだのはお前だ
涼奈
俺
無能な俺にそんな芸当できないよ
涼奈
データにも残ってないのに…
初デートのやつも…
私だけになっちゃってる
俺
涼奈
ど…こ?どこ…?
俺は庭に佇むドラム缶を指さした
涼奈
涼奈はドラム缶を覗き込み そのから灰を掬い出している
涼奈
涼奈
俺
涼奈
涼奈
俺
普段から別れたい別れたいって言ってるし無能付き合ってると自分の価値が下がるんだろ?
涼奈
涼奈
涼奈
俺
俺
そう言ってポケットから一枚の写真を取り出した
俺
思い出
涼奈
俺
俺
涼奈
俺
俺
ビリッ
涼奈
涼奈
涼奈
やら!やら!それ大事な奴!
涼奈は俺の腕にしがみつき 叫んでいる
涼奈
やめて!やめて!私達の思い出が無くなっちゃう!
涼奈
俺
涼奈
ビリビリッビリ
涼奈
涼奈
こんなのやだ
涼奈
私大丈夫だから
夢!夢!夢!夢!
俺
残りはない、メッセージアプリのトークも削除した。
涼奈
叫んだ後何故かキッチンに向かった 涼奈 別れの承諾を得てない俺は近づいた
涼奈
グサッ
涼奈
涼奈
涼奈
涼奈
涼奈
涼奈
だぁ〜いすき❤︎
涼奈
目の前が…白い真っ白だけど 端から…真っ黒に…なっ…て…く あぁ…涼奈と最初の時みたいに…仲良く…したかった
俺
涼奈
涼奈
私の体に入れるね
グジャッ
涼奈
涼奈
涼奈
グジャッ グサッ グザッ グシュッ カタンッ
涼奈
涼奈