コメント
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ほんとに奇跡ですね、感動がヤバイです!
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 花魁パロ
主
主
主
19,再び咲く華
裏座敷に閉ざされて幾日か。
絶えず続いた看病の甲斐あってか、すちの呼吸は徐々に整い始めていた。
顔色はまだ冴えないものの、頬にわずかな血色が戻り、声もか細くながら言葉を紡げるようになっていた。
翠嵐
布団から半身を起こしたすちは、掠れ声で呟いた。
みことが慌てて支える。
黈羽
黈羽
翠嵐
翠嵐は唇を震わせ、しかし目の奥に光を宿していた。
翠嵐
その言葉に、座敷の空気が張り詰めた。
なつが静かに息を吐き、扇を閉じて言った。
紅鶴
すちは頷いた。
翠嵐
翠嵐
その夜。
花鏡楼の廊下に、世話役たちの囁きが広がった。
彼らの目には恐れと畏れが混ざっていた。
病は移る。
だからこそ忌み嫌われる。
だが、それを押してまで客を呼ぶのは――翠嵐が確かに華だからだった。
座敷の支度が整う。
紅を引き、白粉を塗られるたび、翠嵐の頬がわずかに紅潮した。
弱々しい身体を支えるのは、裏で支える仲間たちの存在だった。
らんが言った。
桃李
桃李
翠嵐
すちは短く答え、髪を結い上げられる鏡に目を落とした。
そこには、かつての「花鏡楼の華」が、まだ息を吹き返しているように映っていた。
いるまがその肩に手を置き、囁く。
茈月
茈月
すちは小さく笑った。
翠嵐
翠嵐
夜の座敷。
障子の向こうから三味線が響き、客の笑い声が重なる。
呼ばれた名は――翠嵐。
襖が開き、灯りに照らされた彼の姿に、座敷の空気が一瞬止まった。
囁きが広がる。
翠嵐は微笑み、扇を広げて舞い始めた。
足取りはまだ覚束ない。
だが、舞うたびに袖が翻り、灯りを受けて煌めく。
まるで、その場に咲き誇る大輪の花のように。
黈羽
裏座敷からそっと覗く六人は、息を呑んで見守った。
咳を堪え、震える体を押さえ、それでも舞い続ける。
その姿は、命を削ってでも「華」であろうとする花魁そのものだった。
夜が更け、客が去った後。
座敷に残ったのは、汗に濡れたすちと、駆け寄る仲間たちだった。
桃李
らんが呟く。
翠嵐
すちは苦しげに笑った。
翠嵐
なつが扇で口元を覆い、瞳を細める。
紅鶴
紅鶴
こさめは脈を測り、深く頷いた。
蒼霞
蒼霞
みことが涙ぐみながら手を握る。
黈羽
すちはその手を握り返し、細く答えた。
翠嵐
その頃、廊下を歩く世話役たちの囁きが再び漏れた。
噂は瞬く間に楼内を駆け巡り、翠嵐の名は再び輝きを取り戻し始めた。
だが、その光は――儚く、脆いものだった。
19・了
主
主
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡200
主
主