飴谷
飴谷
飴谷
飴谷
サッカーが出来たなら
どんなに楽しいだろう.
地面を蹴って
力の尽きるまで
ボールを追い掛けられたら.
小さな頃
神社に居た
黒髪の子.
黄色のインナーカラーが
特徴的で.
毎日折り紙だけをしていた私に
サッカーを教えてくれた.
彼は
"かいぶつ"
と言う名の友達を持っていて
いつも一緒に
サッカーをしていた.
傍から見れば
1人で蹴っているようにしか
見えなかったけれど.
? ?
? ?
こちらに体を向けた
彼の口から溢れるのは
ネガティブな言葉のみ.
誰かと一緒にいる時とは
大違いだ.
そのせいか
明るい服とは対照的に
彼の顔は
心做しか暗く見える.
そんなことないよ 、と
決まって声を掛ける私.
たまにふらりと現れて
苦しみや心の内を明かす彼は
疲れ果てているようだった.
丁度縁側から見える
サッカーのフィールドを模した
広めの公園.
彼が使用していたのは
幼少期のみ.
たまに学校から帰る姿が
見えるのだけれど.
彼はつまらなそうに
天を見つめていた.
まるで
つまらないとでも
言うように.
恐らく彼は
あそこに向いていない.
"あそこ"と言うのは
従来のサッカーチーム.
一塊となってプレーするより
彼は独立してサッカーをする方が
向いている.
素人の言うことじゃ
無いかもしれないけど.
もう彼の前から
姿を消した
私には
言えない事かとは思うけど.
嗚呼 、
私が男で
サッカーが
出来たなら.
そう思いながら
今日も体で
鞠を弄ぶ.
? ?
そう思っていた矢先.
___私の家に
一通の手紙が届いた.
母
母
麗
母
瞬間 、机に叩き付けられる
何かが書かれた
一枚の紙.
麗
目に飛び込んで来たのは
私の名と共に並ぶ
"強化指定選手に選出されました"
という字.
麗
母
母
母
母
母
母
麗
麗
麗
母
母
母
麗
母
母
母
麗
母
母
母
麗
母
麗
母
母
母
どうして 、
という言葉を
ぐっと堪える.
反抗したら
傷付くだけ.
我慢よ麗.
母
母
麗
なんで私
こんな厳格な家に
生まれたのかな.
母
母
小声で呟く母.
聞こえてますよ.
意図的なのか
分からないけれど.
嗚呼 、
この雰囲気だと
指定日にも行けないんだろうな.
私だって
こんな偏見ばかりの家に
生まれたくなかったよ.
ここから
状況が一変したのは
1週間後 、
あの二人が
家にやって来たから.
飴谷
飴谷
飴谷
飴谷
飴谷
𝙉𝙚𝙭𝙩 . ෆ200
(一応)
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