菊江楼

ロケ車内 , 収録中 。

今俺達が向かうのは , 例の旅館 ____ 『 菊江楼 』 。

ホラー企画の一環として , 其の旅館に一日泊まる事になってしまった 。

ぷりの言う通り , この記事の最終更新は10年以上前 。

そんな古のネット民の書き込みなんて , 信じないのが得策だろう 。

運転席から , まぜの文句が聞こえてくる 。

ご尤もすぎる , その文句

けちゃの声で窓の外に目をやれば , 石造りの , ランタンで明かりが灯された旅館が目に入る 。

ガチャリ , と少し重たい戸を開けると , 正面に正座で座る女将の姿が 。

如何にも旅館です , という感じの出迎え方で少々肩身が狭くなる 。

女将が目をやった先を追えば , 縦長のホワイトボードが 。

『 貸し切り AMPTAKxCOLORS御一行様 』 と書かれている所を見るに , スタッフさんが貸し切ってくれたのだろう 。

ぷりが鍵を受け取ると同時に , チリンと音が鳴る 。

音の出処を見遣れば , 薄茶色のコートを身に纏った長身の男性が 。

帽子を被っているのも相俟って顔が見えなく , 少しばかり不気味に思える 。

俺等と女将を同時に見て , 不思議そうに首を傾げる 。

あの男性の違和感を気の所為だと飲み込み , 俺達は部屋へと向かった