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カタン…カタン…カタン…
hr
俺はヒロ
画家だ
それ以外の長所はない
主に景色や風景を描いているが
どうしたものかこれが売れない
別に売れて欲しいわけではない
ただ売れて欲しいだけだ
……今のは冗談だよ
次は◯◯〜…◯◯〜…
hr
hr
都会では俺の絵は売れなかった
都会そのものの景色が良くなかったせいだろう
それなら見る景色を変えてみればいい
そう思い俺はこのなんの変哲もない町へ訪れた
海が綺麗と話題だったものなので
折角ならば海の絵を描きたい
hr
俺は期待に胸を馳せ
イーゼルを固く持ち直した
ザザ〜……ザザ〜…
hr
海岸線沿いの海か…
悪くないな
丁度時間帯が夕方
夕日のオレンジは青い海によく合った
描くなら今がうってつけだろう
hr
カチャン…カチャ…
砂とも言えない砂利は
俺のイーゼルを倒そうと足場を悪くする
仕方がないタオルを…
ur
hr
驚いた…
いつの間に後ろに…
後ろにいたのは青年だった
茶髪にピアスといかつい装飾だが
顔は尋常じゃないほど整っていた
人間とは思えないほどに…
hr
ur
夕日に反射して彼の瞳が光った
ゴールデンオーカーの瞳がその名の通り
光に照らされまた美しい
ur
hr
hr
ur
綺麗だな…
ur
hr
ur
イーゼルの下に彼がタオルを敷いてくれた
おかげでパネルが安定した
彼は今俺の隣にいる
何やらパレットに興味があるらしい
hr
ur
hr
ur
俺のパレットは固まった絵の具で溢れかえっている
これは純粋に洗っていないだけだ
彼に一つ嘘をついてしまった
ur
hr
ur
彼は自身の足を砂につけ
首を傾げて俺を見た
ur
hr
海があったから
登山家のような事を言ってしまうがその通りだ
ただ単純に
海を描こうとしている
あれだけ都会の景色は駄目だと
点をつけた俺は海を眺めている
……これは
本当に俺が描きたかった
hr
ur
ur
hr
ur
…何故不貞腐れているのか
別にどっちでもいいだろう
ur
hr
ur
hr
hr
hr
ur
彼の顔が分かりやすく曇った
空は嫌いなのだろうか…?
確かにこうして海を見れば海が好きな気持ちも分かるが…
それ以上に海を照らす日を超えるものはない
俺はそんな空が好きなんだ…
それなのに…
ur
hr
パシッ
彼が俺の手を握った
ur
hr
空へ連れて行くと言って
ur
hr
ガタンッカタ…
イーゼルが倒れた
彼のせいだ
ur
タッタッタッ……!!!
hr
彼は真っ直ぐ海へ走っていく
俺の手を離そうとしない
一瞬だった
バッ!!!!!
スルッ…
海へ飛び込むまで
時間はそこまで遅く
バッッシャアァンッッ!!!
かからなかった
続く…