『本命。』

投げられてきたのは、綺麗にラッピングされたチョコ。

つまり、市販のチョコだ。

2人は楽しそうにリビングを出て行った。

思わず不満を漏らしながら、袋からチョコを取り出す。

そこには、手紙が挟んであった。

彼氏なのに、と再び呟く。

そんな不満を抱えながら、飲み物をとるためにキッチンへ行った。

スタスタ…

キッチンの上は、いつもと違って散らかっていた。

散らばったチョコ、丸められた紙、ボウル、様々な物が置いてあった。

1人で文句を言いながら、冷蔵庫を開ける。

そこには、不器用にラッピングされたチョコレートがあった。

一応、そのチョコを手に取ってみる。

すると、後ろから足音がした。

すごい顔で見てくるから、かなり驚いた。

突然早口になって、頭が追いつかない。

引きつった顔で笑いながら、ファンタを渡してくる。

ころんは、しばらく考えた顔をして…また、黙った。

嘘をつくのが下手な可愛い彼女に、わざと詰め寄る。

まぁ、こういうのが面倒臭いんだってことは分かってる。

でも…どうしても、挙動不審なころんを見ると、浮気なんじゃないかと思ってしまう。

不安なんだ。

ころんが目を合わせてくれなくなって、本当に浮気かもしれないと思った。

照れるくらい言いたくないのに、嘘をつこうという考えがないのか。

可愛すぎだろ。

顔を赤くして俯く彼女。

はい可愛い。

俺の大好きなころん。

料理上手なのに、俺に作る時だけ緊張しちゃうところも。

震える手で、小さく『大好き』と書いてくれるところも。

自信が無いくせに、わざと自信ありげにチョコを渡してくる姿も。

俺が、『美味しい』と言った時の安心しきった顔も。

全部、大好きだよ。

その頃…

1人待たされている、るぅとくんであった。