大切なもの
だから壊す
夕方くらいにロワちゃんが来た
シニガミ先生
…
奏
次の授業?
シニガミ先生
…いや、今回は1人で行く。
奏
(珍しいな…)
僕は夜に目を覚ましてしまった
奏
(最近色んなことがあったからな…)
みんな消えてく
奏
(僕は生きてていいのかな…)
奏
ちょっと外出てこよ
僕は近くの公園に向かった
奏
(夜の公園って中々来ないから新鮮だなー)
奏
あれ…誰かいる。子供…?
10歳くらいの子が砂場で遊んでいた
その子は砂でつくっては壊し、 つくっては壊しを繰り返していた
奏
(何で壊しちゃうんだろ…?)
奏
(とりあえず声かけないと!)
奏
君、大丈夫?
奏
何で壊しちゃうの?
一桜
…上手に出来たから!
奏
(テンション高いな…( ̄▽ ̄;))
一桜
僕、一桜っていうんだ!
おにーさんは?
おにーさんは?
奏
ぇ!?あぇーと…
奏
僕は奏…
一桜
奏くんもやる?
奏
いや、いいよ…
奏
それより、こんな時間に1人は危ない
から家まで送るよ…?
から家まで送るよ…?
一桜
…帰りたくない
奏
お母さんやお父さんも心配するから、ね?
一桜
…
テクテクテク…
奏
一桜君は兄弟いる?
一桜
…
一桜
…いたよ、妹。
一桜
だけど病院でタヒんじゃった
奏
!!ごめんッ
一桜
いいよ。大切なものって
いつかは無くなっちゃうから
いつかは無くなっちゃうから
奏
…
奏
でも無くならないものもあるんじゃないかな?
奏
妹ちゃんと過ごした思い出は
無くならないでしょ?
無くならないでしょ?
一桜
…そうだね
一桜
ここ。
奏
ここ…
奏
(僕の家の隣なんですけど!?)Σ(*oωo艸;)
一桜
どしたの?
奏
いや…なんでもない( ̄▽ ̄;)
奏
(隣にこんな子住んでたんだ…)
一桜
ガチャツ
一桜
お母さん達に会ってきなよ!
奏
いやいいよ。流石に寝てるよ
すでに日付が変わっていた
一桜
いいから、いいから!グイグイツ
奏
え!?ちょツ!?
バタンツ!!
奏
(は、入ってしまった…)
一桜
今、電気つけるね!パタパタ…パチッ
パッ
奏
え…?
一桜
僕の家族!
そこには明らかにタヒんでいる 彼の両親がいた
奏
ッッ!!何で…
一桜
僕ね決めたんだ
一桜
妹がタヒんでから
一桜
大切なものはいつか無くなる
一桜
なら、
その前に壊そうって!
一桜
だから砂遊びは好きだよ!
何回も作って壊せるから!
何回も作って壊せるから!
奏
だけど…
一桜
違うと思う?
一桜
奏くんは目の前で命が消えるのを見たことある!?
一桜
命ってカンタンに消えちゃうんだよ!!
一桜
…大切だから
一桜
いつか無くなるのが怖いんだ
奏
…一桜君
ギュッ
奏
大丈夫。
奏
…大丈夫だから
ポロポロツ…
奏
…ツッ
一桜
…どうしたの?何で…泣いてるの?
奏
…つらいねッいおくんっ
一桜
何で?僕は
幸せだよ
一桜君はカッターを取り出した
奏
!!!!
奏
一桜君!?
一桜
ねぇ、奏くん
一桜
僕、大切なものひとつ増えたかも
カッターを持った腕を振りかざした
奏
ーえ?
バッ
奏!
一瞬、僕の大切な「誰か」だと思った
シニガミ先生
大丈夫か!?奏!
奏
あ…
シニガミ先生
何でお前ここにいンだよツ!!!!
奏
えっと…その…
シニガミ先生
…今回はヤバい奴だったから
連れてくるのやめておこうと思ったんだよ
連れてくるのやめておこうと思ったんだよ
一桜
…そっかぁ
一桜
もう…奏くんは誰かの大切なものだったんだね…
奏
一桜君…
一桜
…
一桜
…僕も誰かの大切なものになれたら良かったな
そう言って
一桜君は自分の首を○った
奏
一桜くんツ!!!!
止められなかった
奏
ツッ…
奏
君が…
奏
君が大切だと思った人達は
みんな君が大切だったと思うよ
みんな君が大切だったと思うよ
一桜
!…
いおにい大好きだよ!
一桜
…
一桜
うん
ザッ
一桜君の魂は黒かった
奏
黒い…
シニガミ先生
人を2人○してるからな
奏
…
奏
…僕は大切だと思ったよ
過ごした思い出は無くならないでしょ?
奏
僕が言えることじゃないか
奏
…僕が大切だったものは
奏
何だったんだろ
大切なものはいつか無くなる
霧雨 一桜 12 (キリサメ イオ)