深い深い森の奥
僕
ここは…どこだ…?
僕
なんだあれ…
そこには大きな洋館が
僕
入ってみよう…
トントントン
ガチャ
僕
誰かいませんか…?
(歩く音)
少女
いらっしゃい
少女
待ってたよ
僕
(…?)
僕
すみません勝手に入って
目の前に立っていた少女は
それはそれは美しい顔立ちで
どこか沈んだ顔をしているような気がした
まるで大切な人をなくしてしまったような
少女
よくここへ来たね
僕
あ…
僕
なんでこんなところにこんな綺麗な建物が
少女
まぁそんなことは気にしないで
少女
他のお話しよ!
少女はいろんな話をしてくれた
少女
この森はね
少女
とっても広いの
少女
どこへ行っても
少女
終わりがないの
少女
早く抜け出したいんだけどね
僕
…
少女
あちこちにあるおっきな木
少女
とっても綺麗じゃない?
少女
私がここへ来た時にはまだ小さかった
少女
私の背丈ぐらいしかなかったんだよ?
僕
そんな小さな木が数年でこんなに大きくなるものなのか?
少女
…
少女
数年じゃ
少女
ないけどね
僕
…?
他にもたくさん
この森について話してくれた
僕
なんでこんなに森に詳しいんだ?
少女
ずっとここにいるもの
それからもずっと2人はこの洋館に住み続けていた
そうしているうちにも
だんだんと2人は惹かれあっていた
月日が立つにつれて
僕は違和感を覚えた
僕
そういえば
僕
ずっと…
僕
見た目が変わらないというか
僕
初めて会った日と同じ
僕
美しいまま
少女
…
少女
大好きなあなたに
少女
嫌われないように
少女
綺麗なままでいる…だけ
僕は薄々気づいていた
少女は「綺麗なまま」ではなく
歳をとっていないと
数十年後
少女
ベランダへ出てみましょう
少女
今日は満月がとても綺麗
少女
綺麗ね…
僕
ああ、まるで君のように
そうして僕は
微笑みを浮かべながら
静かに息を引き取った
少女は泣き崩れた
少女
なんで私は…
少女
成長しないの…
少女
早くこの森から出たい
少女
できることなら
少女
死にたい
少女
でもまた迷い込む男の子がいるもの
少女
その子たちのために
少女
私は生き続ける
少年
ここは…どこだ…?
少年
なんだあれ…
少年
入ってみよう…
少年
誰かいませんか…?
少女
いらっしゃい
少女
待ってたよ