ぴぴぴ ぴぴぴ
夢とうつつの間で漂っていた私の意識を目覚まし時計のアラームが刺す
私は布団を頭から被り冷たい電子音から逃げようとした
華乃 夜甘
華乃 夜甘
華乃 夜甘
寝返りを打ち、耳を塞ぐように布団に潜り込む
ぴぴぴ ぴぴぴ
華乃 夜甘
華乃 夜甘
華乃 夜甘
華乃 夜甘
突然アラームが止む。 そして布団の上に何かがのしっと乗っかった。
白猫
私はふにゃふにゃと答えた
華乃 夜甘
華乃 夜甘
華乃 夜甘
白猫
華乃 夜甘
白猫
呆れたようにそいつは言う
白猫
二学期。
その言葉が重たい石のように私の胃にのしかかる。 私は抵抗した。
華乃 夜甘
華乃 夜甘
白猫
白猫
かすかに笑う声
白猫
白猫
華乃 夜甘
私は布団から顔を出す。
白い毛並みの猫が、ブルーアイを光らせて私を見ている
白猫
言われてみると確かにお腹がすいている。
私は渋々ベットから這い出してリビングへ向かった
寝ぼけ眼を擦りながら冷蔵庫の中を漁る。
冷蔵庫の中にはトマトとレタスのサンドイッチが入っていた。
私のお母さんはどんなに忙しい時でも私の為に朝ごはんを作って行ってくれる
白猫
白猫
華乃 夜甘
私がじろりと睨むと白猫がおどけて舌を出す
食器棚にあったカップスープの素をマグに開けるとポットのお湯を注いだ。
スプーンでかき混ぜ1口分を小皿に取る
それから、サンドイッチの耳の所とチーズを少し、彼のために取り分けた。
椅子に腰掛けて
華乃 夜甘
を言う。
1人と一匹。返事は無い。 いつもの事だ
もそもそとサンドイッチを食べ、スープを飲むと、すっかり目が覚めてしまった
今更ベットに戻る訳にも行かない
私はため息を着くと洗面所に向かった
鏡には、不機嫌そうな顔をした女の子が映っている
細い眉の下の、猫みたいな目
暗い色の瞳。 ツンととがった小さな鼻 少しへの字の口 肌の色は白く、この年頃にしては小柄な部類に入るだろう
しばらくそれを睨んでいたら洗面台に白猫が飛び乗ってきた
白猫
華乃 夜甘
白猫
華乃 夜甘
華乃 夜甘
華乃 夜甘
冷たい水で顔を洗い、歯を磨き、長い髪を丁寧に櫛で梳く 私の髪は柔らかく、直ぐに癖がついてしまうのだ
隣では白猫が毛繕いをしている。 前足を舐めて、顔を何度も撫で付ける
自分の部屋に戻り、パジャマから、白いブラウスと黒のジャンパースカートに着替える
ランドセルを用意してリビングに行くと、猫は窓辺で外を見ていた。
華乃 夜甘
白猫
彼は耳だけを器用にこちらに向けた。
こっちを振り返らずに言う。
白猫
華乃 夜甘
白猫
華乃 夜甘
私の冗談を無視して、黒猫は虚空を見つめている
華乃 夜甘
白猫
華乃 夜甘
白猫はようやくこちらを向いた
私が肩を竦めてみせると、ニヤッと笑う
玄関で靴を履き、ドアを開ける
元気よく飛び出して行く白猫。
私は振り返ると
華乃 夜甘
といった
それは無人の室内にこだまして消えた
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コメント
1件
雰囲気好きです! 応援します!