口には何もせず 疲れきったその身体の力を一息ではいた
勢いでビラを引き剥がしたが
その後、あの自称地下アイドルが 俺をどう見送ったのかなんて 想像もしたくなかった
忘れて…
忘れて…なにがしたい
別に菜々香も、あの地下アイドルも 俺に何か危害を加えてきた訳では無い
無論、俺が何かをした訳でもない
思い出せない
どんなに思い出そうとしても なぜ自分が男性に恐怖を感じるのか それだけが、ただ分からない
脳が、思考が その部分だけ抜き取られたみたいだ
どちらにせよ 菜々香が俺にとって最後の女だった
と言っても遊び回っていたのには変わりない
たった一夜、関係を持っただけの女は沢山いた
一応、例外もあり 数人だけ繰り返しあって ある程度関係を持った者は居た
ただそれも、菜々香が最後の一人となっていた
他の女はほとんど本命をつくった 一部は別れたともきいたが どうだっていい
おかげで今の俺はほぼ もぬけの殻
男性恐怖症という大きな問題を除けば 行くという以外に 選択肢はなかった
退屈というものはどうも人を狂わすらしい
物は言いよう、大丈夫だ どうせ直接触れたりなどはしない
そう自身を言いくるめた
不覚にも昨日この場所であのビラを受け取ったばっかりに
受け取ったからには 行かなければならない
というか、申し訳ない
きっとあのアイドルの印象には少なからず残っただろう
あんな対応をとったのだから 当たり前だ
地雷女や頭のおかしそうな中年が そこら中から湧いて出てくる
硬いコンクリートの上でスマートフォンに向かい 踊り狂う
心底呆れた
そうしているうちに 小型のライブハウスらしき場所に着いた
なぜこんな場所にライブハウスがあるのかを 問いたいが、
人に聞くことが出来なければ、 対面すらできない自分には無理な話
きっと、ここは若者のファンがよく集まるのだろう
そう勝手に解釈をして ライブハウスに足を踏み入れた
コメント
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最近jpttハマってるから嬉しい💕