君と犬と恋の神様

早く出たいのかシッポを振り 急かすように吠える

「カチャ」っと ぷくまるにリードを繋げる

リードを握り スっと立ち上がると ドアノブに手をかける

お散歩に しゅっぱーつ！！

ワンッ！！

外に出るとふわっと お祭りの匂いが漂ってきた

恐らく鼻のいいぷくまるが 興奮していたのは この匂いが原因だろう

甘いりんご飴の匂い 屋台の焼きそばの香ばしい匂い

そして、遠くから聞こえてくる 楽しそうな音楽

私の家の近くには「白河神社」という 恋愛成就がメインの神社がある

年に一度 神様が現れ その時に神様に日頃のお礼をする というお祭りがあるらしい

けど、来るのは大体 自分勝手なカップルに SNS映えを狙った人、、、

すると、手の中が 急に軽くなる

何かを察し 手元をゆっくりと見ると リードの金具が外れていた

その瞬間 ぷくまるは 自由になったことをいいことに 神社の方に猛スピードで走る

精一杯声を出すが届くことはなく 遠くに走り去ってしまう

神社の鳥居を潜り 人混みの中に紛れる

いつの間にかずっと避けていた 白河神社にたどり着いてしまった

ここは恋愛の神社 来るとしても 男女や友達同士 明らかに自分が場違いなのは分かる

こんな所に入りたくは無いが このままだと、ぷくまるが 更に遠くに行ってしまうか

誰かに誘拐されるか分からない 大切な家族を見放すほど 心は腐ってはいない

ここなは決意を決め 鳥居に丁寧にお辞儀をして 階段を駆け上がっていく

神社の階段を登ると やはり境内に居るのは カップルや どっかのインフルエンサーしか 居なかった

薄々感じでいたが やはり、本来の目的で 来る人は少なく

「恋愛」をいい用に乱用 する人しかいなかった

ドンッ！！

ぶつけた所を軽く触る

これは、また 珍しい客人だねぇ〜

顔を上に向けると 綺麗なピンク色の髪の毛を 風でなびかせている

どんな景色や宝石に劣らない あまりの美しさに 咄嗟に声に出してしまう

優しく微笑み 手をここなに差し出す

思っていたものの 第三者からの「場違い」という言葉が 地味に心に刺さる

周りの人達を迷惑そうな目で 眺めている

大空ここな 16歳 ナンパでも変質者でもない

自称神様？に 絡まれました