白猫ヤマト
白猫ヤマト
白猫ヤマト
好きな奴が居た
優しくて、いつもニコニコしてて、 事ある毎に褒めてくれて、
ふんわりと笑う顔も
サラサラとして触り心地の良い 亜麻色の髪も
どこか安心してしまう少し低い声も
全部
全部好きだった
自分より身長の高いアイツに 抱き着くのが好きだった。
ちょっと驚いて『どうしたんですか』 と頭を撫でて微笑んでくれた。
少し抜けているアイツに 悪戯をするのが好きだった
いつもちょっと怒ってから すぐ一緒に笑ってくれた
見た目よりよく食べるアイツと 飯を食べに行くのが好きだった。
飯に誘うと、いつも ちょっと呆れた様な顔をして 『何処にします?』と言ってくれた
読書好きなアイツが 本を読む顔を見るのが好きだった
静かな部屋で良く集中していて、 俺に気づくと 『いつから居たんですか!?』 と驚いていた
アイツと一緒に 庭で昼寝をするのが好きだった
寝ているアイツの周りには 何故かいつも蝶が集まっていて 息を飲むほど綺麗だった
アイツの部屋で、アイツが 入れてくれる紅茶を飲むのが好きだった
いつもミルクをたっぷり入れてアイツの亜麻色の髪と同じ色を作っていた アイツは『ミルクティー好きなんやね』と言い笑っていた
ミルクティーも好きやけどな
俺はお前が好きやったんや
エーミール
アイツは軍の幹部で参謀だった
幹部の中でずば抜けて頭が良く その上人柄も良かったから みんなから信頼されてた。
エーミールは非戦闘員で 普通なら戦争に出ることは無かった
でも
あの時は違った
敵国が他の国と水面下で手を組んでおり2カ国との同時戦争になり、 やむを得ずエーミールも前線に立つことになってしまった
俺たちは戦争に勝てた
勝てたのは奇跡と言っていいほどに 戦力差があった
俺たちが勝てたのはエーミールが状況を上手く逆手にとった作戦のおかげだ
この戦争の1番の功労者は間違いなく アイツだ
でも
アイツは生きて帰れなかった
インカム越しに小さく響いた アイツの断末魔が
今でも鮮明に聞こえて来る
アイツの遺体を見つけたのは
俺だった
心臓から真っ赤な血を流して 力無く倒れているアイツを見つけた時
見慣れている筈の赤色に酷く混乱して
もう既に息を引き取っているアイツの身体を揺さぶり、声をかけ続けた。
泣きながらアイツの名前を呼び続けて 起きてくれと必死に叫んでいた
起きろ!!エーミールッ!! ……起きてくれ!!
ゾム…!!もう辞めろ!! エミさんはッ…エミさんはもう……!!
っ嘘や!!エーミールは!! ……エミさんはっ…!!
まだっ………
どうしようもなく悲しくて
戦争が終わり、いつもの日常が戻っても
俺はエーミールの面影を探し続けた
アイツがいつも仕事をしていた アイツの部屋
いつも一緒に飯を食った 食堂
アイツがよく見ていた 資料室
アイツと一緒に昼寝をしていた 庭
アイツがよく本を読んでいた 書物庫
もう居るはずの無いアイツを
ずっと探していた
ゾム
エーミール
ゾム
ゾム
ゾム
ゾム
ゾム
すぐ
逢いに行くから…
速報です
我々国軍幹部のゾム様が 軍の敷地内にて亡くなっているのが 発見されました。
警察は自殺とみて捜査を続けています
ゾム様の自室には遺書が遺されており
遺書には
『アイツに逢いに行ってくる』
とだけ書かれていたそうです。
白猫ヤマト
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コメント
3件
初コメですかね、?失礼します🙇♀️ストーリー本当に好きです!!今までで1番心に残りました🥲
こういうのいいよな、、(´ཀ`」∠)