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ブクマ失礼します!
感情移入しすぎて泣いてしまいました😭😭 こんなに文章を書くのがお上手な方とはなかなかお会いできないです。本当に素晴らしい作品だと思います。 フォロー、ブクマ失礼します
ブクマ失礼します🙌🏻💓
夏も終わりですね
9月23日に夏は終わります
夏っぽい感動作を書きます
感動できるかはわかりませんww
それではどうぞ
・年齢操作 ・学パロ ・赤嫌われ ・桃赤
夏に溶けて、消えた 桃×赤
その言葉を言われたときに
一番最初に思い出したのは
君からの告白だった
お互いに頬を赤らめて
緊張して、話すのも必死だった
あの頃だった
桃
目を合わせて
そう伝えられた
赤
喧嘩もしてない
ちょっとした言い合いはしたことあるけど
毎回、すぐに仲直りするし
そんなことで、別れるほどの仲ではないはず…なのに
赤
だから、もうちょっとだけ待って
赤
桃
桃くんは謝ると
俺をおいて、どこかに 行ってしまった
赤
なんでなの
なんでこうなるの
俺が何したっていうの?
気づくと背中が冷たくって
頬には水が落ちてて
鼻の奥がツンと痛くなった
赤
なんで、なんて思っても仕方ないのに、それしか考えられない
好きな人できたとか?
きっと、俺より可愛くて素直で
優しい子なんだ
可能性なんて他にもたくさんあるのに
頭ではそれしか考えられなくて
おかしくなりそう
家に帰るまでのことなんて覚えてなかった
ただ、真夏の暑い夕日が
じりじりと肌を照らしていた
翌日、学校に行った
桃くんと顔を合わせるのが 気まずくて
休もうかと思ったけど、 テスト近いし
休むわけにはいかなかった
話さなければいいだけだし
自分のクラスの前まで来て
赤
そう思いながら
扉をあけると
赤
上から何かがふってきた
なにこれ、
赤
思ったことと同じをつぶやく
これ
黒板消し?
教室の中からクラスメイトの女子がさけんでいた
赤
俺だよね
何かしたっけ?
恐る恐る、教室の中に入ると
みんなが俺を睨んでる気がした
でも、目が合うとそらしてきて
赤
俺の机には
落書きがされてた
いじめ?でも昨日まではみんな、普通だったのに
無数の落書きの中で、一番はじめに目に入ったのは
死ね
この2文字だった
赤
振り向くと、クラスメイトが俺を囲んでいた
クラスの女子とは
ほぼ話した事ないし
目の敵にされるなんてことしたっけ…?
そう、怒鳴る
亜依里
多分あの女子が言ってるのは
さっきから泣いてる
姫川 亜依里さんのことだと思う
亜依里さんを殴るなんて
赤
はっきり言わなきゃいけないのに
情けない小さな声しかでなくて
なんで、こんなこと言われなきゃいけないの?
俺が何したの?
赤
必死に声を絞りだして、やっとでた大声は
逆効果だった
気づいたら俺は、クラスメイトに殴られて
ヒリヒリと痛む頬を手でおさえることしかできず
一時間目の授業がはじまった
授業が始まっても女子はこっちをジロジロ見てきたり
男子は俺の様子を伺ってる ようだった
休み時間だって物を隠されたり
それを探してる間に、嘲笑われて
休む時間なんてなかった
これが、いじめっ子たちのいじめだったのなら
俺は、まだマシの方なのかもしれない
何よりも辛かったのは、今まで仲良くしていた友達でさえ
俺から距離をとっている事だった
あらぬいじめの疑いをかけられて
クラスから孤立させられるなんて
赤
もう、笑うしかないんじゃない?
そんな、諦めの言葉しか頭では考えられなくて
この学校に、俺の居場所なんてない
そんなことは、もう
分かってたんだ
赤
授業が終わり、家に帰った
授業中も休み時間も無視されたり、叩かれたりして
全然休めなかった
黄
赤
双子の弟の黄くんに無愛想に返し
階段を上った
黄
部屋に戻っても
課題を進める気にはならなくて
ベットで寝ていた
赤
黄
にっこり笑いながら話しかけてくる黄くんを見つめながら
赤
赤
俺が黄くんだったら、あんなふうに虐められたりしないのに
なんて、どうしようもないのに
考えちゃうんだ
黄
黄
大丈夫なわけがない
大好きな恋人に振られて
いじめられて
いじめの濡れ衣着せられて
でも、言えなくて
赤
なんて、言っちゃって
黄
赤
そう言いながら、黄くんの背中をおして
部屋から追い出した
赤
桃くんのことは、いつか忘れることになると思う
きっと、これからもずっといじめは続く
なんで、俺なの?
何をしたって、言うの?
早く休みたくて、課題を終わらせ
ベットのふとんにくるまっていた
俺が廊下を通ると、別のクラスの友達がいつも通り手を振ってくれた
こんなだから
昨日のことは嘘だったんじゃないかと思ってしまう
それでも
バシャンッ!!
やっぱり現実で
バケツ1杯の水が
俺に打ち付けられた
顎からぽたぽたと水が落ちた
教室からクスクスと言う笑い声が聞こえて
苦しくなった
いじめられっ子って
毎日、こんなふうにいじめられてるのかな
これからも、続くのかな
きっと
いや、
絶対そうだ
赤
もってきてない
今日、ずっとこのままか
髪も服もびしょ濡れなのに
誰も気にしない
気にしてくれない
教室の窓に写った自分が惨めで
赤
自分にむけてなのか、クラスメイトに向けてなのかは分からないけど
誰かを罵倒した
俺の姿を見て、笑っているみんなが
悪魔みたいに見えて
怖かった
手が震えているのを隠しながら
机まで行った
行った
けど
そこに、俺の机はなかった
それはまるで
俺に
帰れ
って言ってるようで
不快だから
俺のことゴミだと思ってるんだろうな
一人の女子がそう言うと
みんな便乗した
タイミング良く、亜依里さんが話しに入ってきて
亜依里の言葉を聞いて
みんな、なんなの?
そう思うようになった
被害者ヅラして、意味分かんない
思いっきり殴られて、
後ろに倒れ込んだ
壁に打ち付けられて苦しい
クラスが荒れて先生が止めに入るくらいになった
でも
そう言われたのは
俺で
女子は嘘泣きして
男子は、ざまあみろとでも言うように笑ってくるだけ
誰も俺の言うことを信じてくれないんだって
自覚させられただけだった
そんな日が数日続いた
ある日
赤
桃くんを見つけた
逆に今まで会わなかったことの方が奇跡なのかもしれない
誰かと話しているはようだった
苦しくって
死にたくなった
眺めていると
赤
桃くんと目があった
話していたのは
亜依里さんだった
亜依里さんは俺をちらっと見たあと、
桃くんに何かを伝えた
きっと、俺に殴られたって嘘ついたんだろうな
だって、桃くんが
驚いたようにこっちを見るから
振ってよかったとでも思ってるのかな
ニヤニヤ笑いながら亜依里は俺を見ている
どんだけ俺を悪者にしたいんだろう
悔しいな
理由だって聞いてないのに
もう、二度と話せないんじゃない?
もう怖くなって
その日は一日中保健室にいた
テストまで時間が少ないのに
なにやってんだろ
もう、全員帰っただろう廊下を1人で歩いた
もう、学校行きたくない
机無いと思ったら、屋上にあったし
教室に入るたびに服汚されたり
毎日殴られて
体だって、痣だらけで
ボロボロなのに
誰も気づいてくれない
真夏なのに
7月なのに長袖で毎日毎日学校に行って
毎日毎日酷いことされて
頭おかしくなりそうで
謝ったってきっと
終わらない
こんなんなら
死んだほうがいいのかな
俺はやってない
でも信じてくれない
怖い
怖いよ
桃
目の前には桃くんがいた
廊下の真ん中に立って
俺を通すつもりがないらしい
赤
何を言っても信じてくれないん だろうな
桃
そう聞いてくる
怖くて顔は見れなかった
赤
どれだけ、嫌いなの?
赤
どうして、信じてくれないの?
亜依里さんのこと好きなの?
だから捨てたの?
桃
桃
赤
聞かないでよ
どうせ、
赤
これ以上、嫌われるのは怖いんだよ
赤
知らないくせに
今、俺酷い顔してるよね
桃
赤
桃くんの隣を 通り過ぎて
階段を降りる
俺の口からでた謝罪は
誰に向けてのものなんだろ
暑さにフラフラしたけど
こんな真夏に長袖を来てるから当たり前だと思った
蝉の声が、いつもよりうるさくて
頭に響いた
夏の夕日を全身で受け止めて
家に戻った
黄
黄くんを無視して
自分の部屋に入る
黄
名前を呼ばれても
声が出なかった
ドアを乱暴に閉めた
ドアノブを握りしめた手が、急に力をなくした
だらんと下がった俺の手が震えていた
あれ?
なんで、俺
赤
目をこすっても
涙はとまらなかった
心の奥で
ほんのちょっと、思ってた
俺は大丈夫だって
これはドッキリか何かなんじゃないかって
でも、そんな事はなくて
自分のことが嫌いになっていくだけだった
赤
白い制服にぽたぽたと涙が落ちた
惨めだな
誰にも信頼されてなかったんだ
頭が痛くて
全身が震えた
なんで?
なんでなの?
桃くんのことも
学校のことも
全部
全部なくなっちゃえばいいのに
もう、いやだ
コンコン…
黄
黄くんが扉をノックした
やば、
泣いてたのバレる
黄
言ってしまえば、 楽なのかもしれない
でも
信じてもらえないかもしれない
嫌われるかもしれない
赤
ただ、怖かった
ぎこちない笑顔で笑ってみせた
心配かけたないから
そう思った直後
頬が痛んだ
黄くんに打たれた
赤
黄
黄
赤
黄くんにはお見通しだった
黄
黄
俺を抱きしめながら、 そう言ってくれる
暖かくて優しくて
俺はひとりじゃなかった
赤
俺は声を上げて泣いた
俺に何があったかは聞かなかった
聞かないでくれた
赤
夕日が差し込む、窓の近くで
抱きしめあって泣いた
それだけだったのに
何故か
安心したんだ
あの日から何週間か経ち
夏休みになった
俺は不登校になっていた
久しぶりに外に出て、公園に来た
意味なく来たわけじゃない、
1通の手紙がきたからだった
誰からかはわからなかったけど
クラスメイトからだと思う
『今までごめんね。謝りたいから公園に来て』
と、書かれていた
正直、行くのは怖いけど
行かなかった場合も何されるか 怖いし、
学校で何かあったら黄くんにも心配かけちゃうから
あの子…かな?
俺の名前呼んでるし、そうだろうと思うけど
赤
この女子は俺の靴を隠したり、水をかけてきたり
他にもたくさん、悪意のあることをしてきた
謝られた
でも、許す気にはなれなかった
許せ、そう言わんばかりに俺を睨んだ
そう感じるのは俺が捻くれてるからなのかな?
赤
なんだか凄く怖くて
体が震え始めた
したら、突然笑い始めた
赤
嘘か…
まぁ、それもそうだよね
赤
ムカつく
そう言って
俺を突き飛ばした
‘’池に‘’
バシャンッ
そんな音がなって、 水しぶきがとんだ
全身に水が打ち付けられて
気づいたら俺は池の中にいた
赤
とりあえず足つく場所!!
赤
目が痛くて、息ができない
それに、冷たい
怖い
俺、…死ぬのかな?
それなら、もう…
それでいいや。
息ができなくなって、
目を閉じたら、
誰かの手が俺の腕を掴んだ
さっきの場所に引き上げられた
赤
口に入った水を吐き出す
苦しい…
誰かが、背中をさすってくれる
暖かい手で
赤
白くかすむ視界に
桃
彼が写っていた
赤
桃
そう叫ぶ
あぁ、こんなのきっと
幻だ
だって、俺あんなに嫌われてたんだもん
少しだけ目を開き
桃くんを見据える
桃
赤
赤
あのとき、疑ってた癖に
今更、なんで俺のこと心配するの?
そんな、泣きそうな顔で
見ないで……
そこで俺の意識は途絶えた
赤
黄
目が覚めると、真っ白な天井が見えた
赤
黄
病院?
赤
黄
そういえば
池に突き落とされたんだ
赤
周りを見渡すも、桃くんは居なかった
やっぱり…幻覚?
腕を見ると、身に覚えがない包帯が巻いてあった
多分、病院で巻いてくれたんだと思う
一息ついて、落ち着くと
さっきまでの事を思い出した
赤
一度でも、
生きることを諦めかけた自分が
怖かった
黄
真剣な声色でそう聞いてくる
赤
話そうとしたとき、
心配かける
そう思った
赤
赤
とっさに嘘をついた
黄
でもすぐにバレた
赤
黄
そう言われて、自然と頬をおさえた
黄
黄
赤
黄
赤
黄
俺の服をぎゅっとつかんで、呟いた
赤
黄
これ以上隠せなくなって
俺は、今までの事を話した
黄
自分でされたことを言うのもちょっとだけ怖かった
黄
赤
怒ってるよね、
黄
赤
黄
黄
黄くんは俺を見つめながら
きっぱりとそう言いきった
今度は怖いとか悔しいとか忘れて
赤
黄
泣き出した俺に焦る黄くんがいつも変わんなくて、
面白くて
赤
黄
赤
正直、黄くんが信じてくれたからって、お母さんが信じてくれるとは限らないし
黄
赤
俺を気づかってくれる… ほんと優しーな…
黄
赤
俺に背を向けて、扉に歩いてく
赤
黄
赤
黄
黄
その日は病院でスマホをいじったりして過ごした
その次の日に俺は退院した
ずっと黄くんが寄り添ってくれるから
まだ、ショックではあるけど
振られたことや、学校でのことも大分楽になってきた
そして
退院した日から
今までと変わったことがある
赤
黄
なんだか、黄くんといつもより距離が近い気がする
赤
ソファーに二人で座ってるだけなんだけど…なんか違うんだ
赤
近くない?と聞こうとしたら
ピンポーン
と、インターホンがなった
黄
赤
って言ったのはいいものの
あれから5分経ったのに 全く戻ってこない
宅急便とかにしては遅いよね?
俺のクラスメイトに何か言われたり…?
心配しすぎかなぁ…
赤
…気になる
見に行くくらいいいよね?
あ、俺は邪魔になるかも
赤
ちょっとだけ…見よう
赤
黄くんが話してたのは、 桃くんだった
桃
赤
桃くんが会いに来るような人ってこの家には俺しかいないじゃん
桃
なに、?なんの話?
黄
黄
俺のことを黄くんは知ってるから
警戒してる
桃
桃
何を言われるんだろ
やっぱり、亜依里さんのことかな
付き合いはじめたり、してるかな
だとしたら、嫌だ
俺には関係ないのに…
桃
赤
黄
赤
桃くんは俺達が話し終わるのをまってから
桃
赤
赤
俺たちは公園のベンチに座っていた
暑くて、蝉がうるさくて
子供が楽しそうにキャッチボールを楽しんでいた
赤
本来なら楽しかったはずなんだ
たくさんの課題を頑張って、部活で汗を流して
友達と遊ぶはずだったんだ
桃
赤
桃
赤
振ったとき? それとも疑ってきたとき?
桃
桃
そう言った桃くんは
悲しそうで、辛そうで
赤
そんな顔させたのが俺ってこと
俺も辛くって
あんだけ、許せなかったのに
矛盾したことしか考えられなくて
桃
桃
赤
声が震えて、かすれた声がでた
そんな顔して謝るくらいなら
赤
そう言いたかったけど、
俺もダメージくらっちゃうな
なんて、言えばいいんだろ
桃
桃
赤
桃
でも
桃
振られても疑われても
桃
酷いことされようが
嫌われようが
赤
唇をかみしめて、感情を押し殺す
なんで?なんでなの?
俺は謝られてる方なのに
なんで、
赤
なんでわざわざ謝りに来たりすんの?
なんで
なんで…
赤
あれは、幻覚なんかじゃない
池に溺れたときだってっ…!!
桃
なんで助けたりしたの…?
赤
一度は好きでいてくれたんじゃないの?
俺の気持ちは無視なの?
まだ、好きでいてくれてるんじゃないかなんて
思わせないでよ
桃
赤
桃
赤
なに、いってるの?
桃
赤と別れなかったら、赤をいじめる
そんな内容の手紙だったらしい
赤
赤
信じれないし
なんで、そんな
赤
初めから言ってくれたら
桃
桃
赤
だからって…
おんなじ事をされたら、俺もそうするかもしれない
そりゃ、桃くんは優しいから
俺を引き離すための演技だったのも理解できる
赤
赤
でも、
でもなんだよ
赤
赤
何なんだろう?
俺は、の次の言葉が出てこない
何が言いたいんだろ
赤
ばかは、俺なのに
桃
赤
桃
桃
真剣に言ってくれて、びっくりした
守る?
俺を…?
違う…そんなことしなくていい
ただ、
俺は、ただ…
赤
だから
今までこらえてた涙がポロポロと出てきた
いつかは桃くんのこと、忘れると思ってた
でも
本当は
赤
そばにいて欲しくて
ただ、寂しかった
黄くんと話すのも、楽しいけど
桃くんとは、一緒にいるだけで安心したんだ
桃
温かい風が吹いたのと同時
桃くんに抱きしめられていた
夏の蒸し暑さなんて、忘れていた
嬉しかった
もう少し、素直に
なれたなら
良かったかな
こども
そう、子供に言われた
こども
俺は何とも言えないこの涙を
笑って
赤
って言った
赤
黄
余程心配してたのか、
玄関の扉を開けると同時に黄くんがを飛びついてきた
赤
黄
黄
黄くんは、俺の目の下を指で指す
赤
黄
桃
何だか不穏な雰囲気になってきて、急いで止めた
赤
黄
赤
黄
桃
そんな会話をして今日が終わった
俺は冷房がきいた部屋で、最近書くようになった日記をつけていた
桃くんと連絡先交換したから、通話しながら
桃
赤
好きだなー、
あ、日記に桃くんと電話したこと書いちゃお…!
黄
赤
赤
桃
プツッ………
赤
黄
俺が日記を書き終えたとき、
黄くんが口を開いた
黄
赤
赤
黄
黄くん、心配だったんだな
赤
もっと、ちゃんとしなきゃ…
黄
やっぱり優しいな、
黄
こんなに迷惑かけても
嫌な顔しないでくれる
赤
でも、いつかは
言わなきゃいけないんだ
赤
お母さんに
黄
黄
俺はお母さんと黄くんだけの家族
お父さんは俺が幼いときに事故で亡くなったそうだ
赤
そう親戚は言ってたけど、実際にそうなのかは分からない
お父さんが死んだのは小学生の低学年のときだったから、
あまりお父さんを俺も黄くんも覚えてない
黄
黄
一週間後、か…
赤
仕事が忙しくて出張することとかよくあるから
その日くらいしか、言えない
って、わかってるのに
赤
不安になった
黄
赤
赤
一週間はすぐに過ぎた
赤
赤
今日の夜、
お母さんにすべて話す
言わなきゃいけないけど、
今日は仕事から帰ってほしくない
そんな事を考えてしまう
黄
赤
実際は心臓バクバクなんだけどな
緊張するな…
大丈夫…大丈夫だ!
黄くんも居るし
でも、
信じてもらえなかったら…、
家にも居場所がなくなったら…
ゾクッ
クラスメイトの表情を思い出して、怖くなった
俯いていると
黄
黄くんが話しかけてきた
赤
黄
赤
黄
黄
優しくそう、言ってくれる
赤
確かに、黄くんの言うとおりなのかもしれない
黄くんは優しい
だから、俺のことを思ってくれる
だけど
いつまでも逃げてちゃ駄目だから
大丈夫
俺とお母さんは
親子らしいことは食事ぐらいしかしてないけど
これでも、血が繋がってるから
きっと信じてくれる
赤
だから、笑って言った
うん。大丈夫だ!
黄
6時半、俺は3人で食卓を囲っていた
今まで出張でいなかったから、久しぶりの食事は緊張する
ずっと黙って食べている
このまま黙ってたら、
言いづらくなるよね…?
なら今から言っちゃったほうが…
でもタイミングいまなのかな…
母
赤
母
母
やばっ…見すぎたかも
赤
なんて言おう
実は学校でいじめられてます?
不登校になりました?
赤
中々話はじめない俺から視線を外し
箸でサラダを掴んだ
赤
お母さんは口に運びかけてた箸を置いた
母
赤
赤
お母さん、信じてくれるよね?
不安になりつつ、お母さんと目を合わせると
母
黄
黄くんは俺より先に声を出した
赤
母
赤
赤
俺も分からないよ
母
そんなこと?
黄
俺にとって辛かった日々って
お母さんにとっては‘’そんなこと‘’だったの?
母
『情けない。』
そんなの
そんなの…
赤
母
学校に行く
どうせ勉強に集中できないのに…
いやだよ
怖いよ
俺の口からはこんな言葉が飛び出した
赤
母
死にかけたことだってあるのに
毎日毎日、酷いことされて
桃くんの事も忘れられなくって
悔しくて、悲しくて仕方なかった
最初はちゃんと学校行ってたのに
それでも、情けないの?
母
母
そう、怒鳴る
赤
俺は、俺なりに頑張ったのに
母
何も知らないで、息子のことずっと放置してた癖に
赤
どうせ助けてくれないことなんて
でも、それでも期待しちゃったんだよ
赤
‘’親だから‘’
って、
家族なんでしょ?
親子なんでしょ?
だから
勉強とか、成績じゃなくて、
今だけでいいから
俺を見てよ
母
母
そう言われた瞬間、俺の中で何かが切れた気がした
やば……泣きそ…
黄
黄くんが声を荒げる
もう何も考えたくない
赤
赤
赤
母
何で何も言わないの?
赤
母
少し考えてから、そう言った
赤
赤
赤
赤
亜依里さんは何で俺がそんなに嫌いなんだろう
そもそも桃くんに届いた手紙ってなんだったの?
母
母
母
俺は何も言い返せなかった
今まで頑張ったことは 無駄だったこと、
助けを求めても意味のないことだったこと
この事実だけが俺の頭に残った
家を追い出されて、
財布もスマホも持たずに、どこに行こうか迷っていた
今日のうちにかえったら怒られそうだったから
赤
友達の家にはいけないし、
誰かに連絡することもできない
野宿しかないのかな…
赤
そんなに自分の息子に反論されるのが嫌だったの?
ポタッ……
目の前にしずくが落ちた
赤
ザァァァァッ…
雨…
俺は何も持ってないから
近くの公園で雨宿りをすることにした
赤
お母さん、心配してくれてるかな、?
そんなわけ、ないよね…w
俺が学校に行ったら、みんななんて言うかな
なんで来たの?って、絶対言うだろうな
そしたら、俺はなんて言うかな
何も言えないんだろーな
情けないな…
バカみたい
お母さんの言葉は違ってなかったのかもしれない
ポロッ………
あれ…ここは屋根があるのに
赤
頬に落ちて顎の先まで流れていく
あ、あぁ…
助けてくれなんてもう、言いません
だから
誰か…そばにいて_
赤
俺くらいだよね、
こんな雨の中、傘もささずに出歩いてるのなんて
近くの家のカーテンから電気の光が漏れていた
赤
きっと、家族みんなでご飯とか食べてるんだろうな
俺は一人なの?
家でも学校でも外でも
ずっと……一人なの?
雨はどんどん強くなった
赤
そう呟いた
この中歩いたら痛そう、w
今日、どうしよう
寂しくって、寒くって
しゃがみこんで自分を抱きしめた
知らない人でもいい
誰か俺を見つけて
そう、考えていると
土砂降りの雨の中から、俺の名前を呼ぶ
声が聞こえた
雨のせいでしっかりは聞こえなかったけど、
その声は
確かに、
桃
桃くんだった
赤
驚いた
考えたいことはたくさんあった
桃くんこそなんでいるの?
なんでこんな時間に、?
でも、そんなことよりも
桃くんをひと目見ただけで、
安心した自分が不思議で
桃
傘を放り投げて走ってくる桃くんが
今までにないくらい
格好良かった
桃
桃
そう焦りながら聞いてくれる
何かこたえないといけないと思う
でも、俺は答える前に
桃くんに
赤
抱きついた
自分の方こそ、桃くんのことあんなに疑ってたのに
弱音を吐いちゃうのは、わがままだ
わがまま、だって分かってるのに
体は動いてくれなかった
桃
赤
赤
俺のせいで、みんなに迷惑かける
黄くんだって、心配してる
なんで、俺ってこんなに馬鹿なんだろう
桃
桃
赤
桃
桃
気づいたら、苦しいくらい強い力で抱きしめ返してくれてた
嬉しかった
こんな、最低でバカな俺でも
桃くんは、
守りたいって言ってくれてたんだ
それが嬉しかった
嫌いだとか、
酷いこと言っちゃったけど
ホントは
桃
ほんとは……
赤
誰よりも大好きだ
カチッ
スイッチを押すと廊下の電気がついた
赤
桃
俺は桃くんの家に泊まらせてもらうことになった
赤
桃
ダメを押され、桃くんちのリビングに入る
赤
桃
赤
緊張する…急に抱きついたのも恥ずかしいし
なんて考えてたら
ピトッ…
赤
桃くんが俺のおでこに手を当てた
桃
桃
赤
今思えば好きな人とふたりきり…
しかもさっき熱烈な告白したような…
桃
赤
やばい、ほんとに緊張する
ちょっと前まで付き合ってたのに
いや、前まで付き合ってたからか…?
でも、この状況
意識してるのは俺だけ
赤
自分を落ち着かせながら、俺はお風呂に入りに行った
赤
俺は湯船からあがり、
脱衣場で体を拭いていた
そういえば、服どうしよ
服どころか、財布もスマホも持ってきてないし、
…桃くんの借りるか
そう考え、桃くんの服を引き出しから一着かりて着てみた
赤
ぶかぶか…
身長10センチは差があるし
当たり前なんだけど…
近くにあった鏡を見てみると
首元が空いてた
鎖骨あたりできた痣が痛々しい
殴られてできた痣だ
強く殴られたり蹴ったりされたから
薬を塗っても、長い日が過ぎてもあまり治らなかった
少し痛みは和らいだけど
それでもやっぱりほんのちょっと痛い
傷を見るたびに怖くて震えていたけど
桃くんの服はいい香りがして落ち着いた
赤
俺は風呂場から出た
赤
桃
桃
赤
桃くんに近寄ろうとしたら
桃
赤
桃
赤
桃
桃
赤
泊まらせてもらえるし、
お風呂も入らせてもらった
これ以上は流石に言えないよ
桃
赤
俺がついた嘘は全部、
桃くんにばれる
赤
きっと、殴られてできた傷だっていえば、
桃くんは、どうにかしようとしてくれるかもしれない
赤
笑って見せるけど
桃くんは、真剣な表情で
桃
そう言った
赤
だから、俺は隠した
桃
信じて
桃
桃
苦しそうにそう言ってくれて
赤
本当のこと話してしまった
桃
桃
赤
桃
それは、そうだけど
桃
赤
俺は無言で頷いた
ぶわっ……
俺の目からは涙が溢れていた
桃くんが、優しいから
赤
俺の何が悪かったんだろう
赤
赤
俺が何をしたのかわからなかった
気づけば
‘’何で‘’
そんな事しか考えられなかった
考えても、意味はないのに
クラスメイトはどうして簡単に信じたんだろ
女子は分かる
だけど、友達は何で信じてくれなかったんだろ
そう考えると、自分の信頼はそこまで少なかったんだって
分かってしまうだけだった
桃
優しく頭を撫でてくれるその手が暖かくて
俺は少しの間だけ、桃くんのそばで泣いた
桃
赤
鼻声でそう言う
俺が泣き止んでからは、
桃くんのもとに届いた手紙や、
クラスでの事を話していた
俺が話したいと言った
桃
赤
それともたまたま桃くんの件と俺の件がかぶって起きただけ、?
誰がやったんだろ
桃
分からないから、怖い
わかったところで問い詰めたりする勇気ないし
赤
悔しい
桃
赤
赤
もう12時になりそうだった
話は明日にして寝ることにした
次の日
桃
赤
色々と話し終えた後
俺はお昼に帰ることにした
桃
赤
なんて言いながら
俺は桃くんの家から出た
家に帰ってる途中
考えていた
お母さんは、俺を心配してくれたかな
きっと、してくれてないと思う
だって夜中に息子を追い出すんだから
それでも、ちょっとは期待してしまう
黄
赤
走って来たのは黄くんだった
黄
黄
ガシッと俺の肩を掴んでゆらゆらと揺らした
……野宿しないで正解だった…
赤
黄
黄
赤
赤
赤
黄
子供が自分の知らないところ寝泊まりしてるのに
心配もしてくれないの?
俺はもう高校生だし、
仕事を休めないのも分かるけどさ
赤
黄
黙った俺を見て、黄くんはゲームに誘ってくれた
赤
黄
赤
俺は笑顔で言った
手を丁寧に洗い、ゲームのコントローラーを手に取る
戦闘物のゲームをすることにした
黄
赤
俺は昔っからゲームが弱かった
好きではあるけど
黄
黄くんはゲームが強い
はじめてやるゲームでも簡単にやってみせる
赤
黄
赤
ほんのちょっとだけでも上手くなって黄くんのこと負かせてやる
赤
黄
そんなこんなで、俺は黄くんにゲームについて教えてもらった
赤
黄
赤
ゲームをし終わったら昼ごはんを食べて一緒にカードゲームをして遊んだ
夏休みは、気づけば残り一週間だった
俺は残りの夏休みを楽しんでいた
俺は焦っていた。お母さんの言う
‘’夏休み明け‘’が近づいてきているから
学校行ったら何されるかな
水かけられたり、?
また蹴られたりするかな
嫌だ
桃くんは守ってくれるって言った
でも、怖かった
まわりの人を巻き込んで
それでいいのかな
って、どうしても考えてしまう
足が震えた
黄
赤
黄
赤
今までのは全部
夢だった、なんて
妄想をしてしまう
黄
そう言ってくれる
嬉しかった
でも、
赤
黄
赤
そう言って俺は部屋に戻った
自分が思っていたよりもずっと早く一週間は過ぎた
でも、入学式に行く気にはなれなくて
それに、一度休んでしまったら
次、学校にホントに行きにくくなる
ずっと休んでを繰り返してた
今日俺は学校に行くことにした
黄
案の定、すごく心配されたけど
俺は、
赤
それに
今は桃くんもいる
赤
だから、そう言った
久しぶりに通学路を歩いた
いつも通っていたのに、懐かしかった
それくらい、通ってなかったんだな
他の生徒たちの視線が怖い
他クラスの人にも噂広がってるのかな
学校に近づけは近づく程
足が重くなった
桃
後ろから桃くんの声が聞こえて
振り返ると
ほんとに桃くんだった
桃
赤
赤
桃
にっこり笑ってそう言った
赤
俺がそう言うと、
‘’当り前‘’
と、桃くんは言った
赤
嬉しくって笑うと
そんな声が聞こえた
見たことない人だから、他クラスの人だ
やっぱり、広まってるんだ
やっぱり、帰ろっかな…
俺がいない方がみんな得するんじゃない?
かと言って休んだらお母さんまた追い出してくるよね…
学校で虐められる程度、大丈夫だ
家で居場所ないなんて 耐えられないよ
重い足を学校の下駄箱へと運んだ
赤
俺は無言で教室に入った
教室に入るのが嫌で嫌で仕方なかったけど、
廊下にいる人に睨まれて、居心地がわるかった
桃くんとは別のクラスで
あまり側に入れない
やば、
次々に聞こえる俺の悪口
耳をふさいでしまいたかった
赤
え、?
赤
夏休み中も外に出るのが怖くって、ずっと家に引きこもってたのに
知らない
知らないそんな話
赤
そっか、そういうことか
一回殴っただけで殺そうとしてくるのはおかしいと思った
何で、…
何で嘘つくの?
俺が何したって言うの?
そもそも夏休み中、顔も見てないのに
俺は、何もしてない
それなのに、
それなのにさ、…
何を言っても信じてくれない癖に
なんて言えばいいの、?
今まで何回、死ねって言われたかな
できることなら死にたい
…あれ、?
自分が死んだって
誰も悲しまない、よね
それなら、いっそのこと__
カチカチ……
そんな音がきこえて
前を見ると
カッターの刃を出した女子がいた
赤
あんなので切られたら、一生残るよ、?
俺は何もしてないのに
ずっとその傷と生きなきゃいけないの?
カッターの先を俺に向けてくる
クラスメイトは盛り上がる人と
流石にやばいと感じたのか焦る人にわかれた
刃を俺の腕に突き立てようとする
赤
痛みを覚悟して目を閉じたとき
何それ、
何それ、…
何で焦ってるの、?
俺は何もしてない、
それなのに
それなのに、被害者ぶって
バカみたい
グサッ……
赤
軽くカッターで刺された
不意打ちだったから皿に痛かった
俺の肩を思い切り押してその場から去った
血が制服にシミを作る
あ、…また黄くんに心配させちゃう
痛い、痛いよ……
クラスの皆が俺をあざ笑っていた
俺の親友もだった
辛い、怖い
そう考えると教室にいたくなくって
逃げるように教室からでた
赤
怖い
人の視線が怖い
家に帰りたい
でもお母さんが何ていうかわかんないし……
誰も俺の話を信じてくれないし、
保健室にいって手当してもらうのも怖い
俺って何処にも居場所なんてないじゃん…w
家にも帰れなくて学校にもいたくなくて
やってない
やってない
赤
もう、嫌だ、
学校なんて来なければ良かった
いいなぁ……楽しかっただろうなぁ…
俺も、色んなとこに出掛けたり遊んだりするはずだったのに
とん、
誰かが俺の肩に手をおいた
なにか言われるのかな、
やだ、…やだよ
桃
赤
桃
桃
桃くんが優しく俺に近寄ってくれた
でも、
でも、……
赤
桃くんまで 悪く言われるのは嫌だ
だから、俺は
桃くんの隣を小走りで通り過ぎた
階段を駆け上がって、屋上に出た
ここなら昼休みまで人はこない
だから、
ここにいても、誰も俺を責めたりしない
さっき刺された場所をおさえる
血が結構でていた
傷は深くてもっとちゃんとした治療が必要だと思う
だけど、俺は絆創膏を何重にも貼っ た
教室中から笑い声が溢れてる
俺は、いないほうがいいんだな
そう思い、フェンスをこえようとした
足をフェンスにかけたとき
ガチャッ
赤
桃
赤
俺は今から
飛び降り自殺しようとしてたのに
桃
フェンスの近くにいる俺にそう叫ぶ
赤
桃
桃くんは止めるわけでもなく、
俺を見つめていた
それが嬉しかった
赤
桃
赤
赤
桃くんは俺の隣でフェンスにもたれかかった
桃
赤
桃
赤
赤
桃
赤
赤
桃
ふふっと笑う
赤
桃
夏ってこんなに暖かいんだ
赤
俺は泣きながら微笑んだ
お母さんに
先生に
クラスメイトに
大好きな、黄くんに
別れを告げる
その声をはじめとして
次々に先生や生徒が叫ぶ
嗚呼
人って、誰かが死のうとしないと反応してくれないんだな、
ベランダから生徒たちが叫んでいる
焦ったのか、亜依里さんは自白した
学校中から怒鳴り声と叫び声が響いた
俺が死んだら、次は亜依里さんがいじめられるんだろうな
こうゆうのって負の連鎖だから
桃
ほんの少しの叫び声が小さくなったとき
赤
俺は
桃
赤
桃
俺たちが別れる前とおんなじくらい、
優しい笑顔で言ってくれて
ちょっぴり照れくさかった
俺は桃くんに勢いよく抱きついて
一緒に飛び降りた
最期に見たものが、
大好きな人の笑顔と
夏らしい青空で
俺は幸せでした_
夏に溶けて、消えた。
涼し気な風ふき、
木が揺れた
真夏の炎天下の下
一人の少年が恋人を待っていた
𝐸𝑁𝐷