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主
主
主
主
こちらの作品はirxs様のnmmn作品です BL要素が含まれますので苦手な方はご注意下さい また、コメント欄では 検索避け(例:🦁くん、黒くん)の方 よろしくお願いします ※ご本人様には一切関係ありません
主
黒
俺の歌声が ライブハウス中に響く
ギター
ベース
ドラム
そしてメンバーたちの 演奏と共に一つの音楽に なっていく
ホンマに最高のメンバーたちや
黒
バンドメンバー全員
思いっきり来てくれた 客に感謝を告げる
そして、俺たちは舞台袖に捌けた
黒
ギター
仲間とお互いを労い合う
ほぼ毎週様々なイベントに出て、 少しずつ知名度を上げていっとる
ベース
黒
バイトを何個も掛け持たへんと 生活ができへん
俺たちはまだまだ 有名でもないバンドや
もちろんバンドだけで 食っていけるように なりたいけど、 世の中はそう甘くない
ドラム
ギター
黒
ベース
別に有名なわけはない 俺らのことをずっと 見に来てくれとる
そんな彼のおかげで 俺らはまた頑張れる
ギター
黒
そして俺たちは ライブハウスを出た──
黒
ソファに倒れ込むと、 日々の疲れから すっかり動けなくなる
練習して、バイトして、 帰って寝ての繰り返しや
夢を求めてバンド活動を 続けとるけど、 そろそろ潮時なんかな…
メンバーとも何度も話し合った
やけど今も活動を続けとるんは あのファンの人がおるからや
あの人に支えられとる ところがたくさんある
あんだけ熱心に毎回 見に来てくれとる人が おるのに、
夢半ばでバンドをやめる 気にはなれへんのや
黒
俺はあの人のことを 思い浮かべながら 自分に喝を入れた──
黒
黒
夜も回り、 もうすぐシフトも終わる頃
俺は店内を軽く見渡す
時間も時間やし、お客さんは さっきの人が最後でおらへん
黒
実は今日でこのバイトを 辞めるんや
数年前、とある大手音楽事務所の プロデューサーに声をかけられた
それからその事務所に所属し、 メジャーデビューを果たした
今ではすっかりそこそこ 知名度があるバンドになった
まだ完全にバンド一本では 食ってけへんけど、 かなり安定した収入を得れとる
数年前の不安定な 生活が嘘のようや
夢を叶えたと言っても ええやろう
やけど俺たちはここで 止まらへん
更なる夢を求めて邁進しとる
ウィーン
もう退勤時間やな、なんて 思っとったらドアが開く音がした
黒
最後やし、いつもより 気合を入れて挨拶する
この時間帯のお客さんは 大体晩飯を買いに来とる
今来たお客さんも 同じようや
黒
順番にレジを通していく
あれ、結構食べるんやな…
そう思いながらお客さんの 顔をチラリと見てみる
黒
黒
黒
黒
まさかこんなところで 出会えるなんて、、、
ちゃんと実在しとるんやって わかって嬉しくなる
黒
黒
そっか、こうやって レジ打ちするんも 今日で最後なんか…
なんか感慨深いな…
黒
黒
黒
黒
黒
黒
黒
黒
勢いに任せて言ったけど 了承してもらえてよかったわ
黒
ピンク髪のお兄さんが 出ていくのを見守り、
すぐにバックヤードに戻った
黒
やっぱ想像通りの 優しそうな人や
安心しながら 話を進める
黒
黒
黒
黒
桃
黒
えらい珍しい名前やな…
でも不思議としっくりくる
黒
桃
桃
黒
桃
黒
桃
黒
黒
桃
黒
黒
黒
きっとないこさんがおらんかったら 俺らは今頃バンドを 辞めとったと思う
諦めへんで続けられたんは ないこさんのおかげや
黒
黒
黒
深々と頭を下げる
感謝してもしきれへんぐらいや
桃
桃
桃
黒
桃
少し恥ずかしそうにしとる ないこさん
実際に話してみると 人の良さが伝わってくる
桃
黒
桃
そう言ってないこさんは 少しずつ話し始めた
俺が大学生の時の話です
たまたまその日は帰るのが 遅くなってしまって、
ヤンキーに 絡まれてしまったんです
ヤンキー
ヤンキー
桃
身に覚えもないことを 言われ、揶揄われてしまいました
俺は怖くて足が震えて 動けなくなってしまったんです
ヤンキー
桃
ヤンキー
ヤンキー
きっとお金を渡さなければ 酷い目に遭う
でも、ここで渡してしまったら ただでさえ少ないお金が なくなってしまう
八方塞がりでどうすることも できませんでした
しかも運悪く銀行から 下ろしたばかりで、 かなりの額を持っていたんです
もしこれを持って 行かれてしまったら 今月の家賃が危ぶまれます
桃
ヤンキー
ヤンキー
桃
ヤンキー
そう言ってヤンキーは 俺に殴りかかりました
俺は思わず目を瞑りました
パシッ
桃
俺が想像していた痛みは やってきませんでした
そして目を開けるとそこには──
黒
ヒーローの姿がありました
ヤンキー
黒
黒
ヤンキー
俺が言いたかったことを 全部言ってもらえて スッキリしました
でもこれではさらに 怒らせてしまうのでは…
と心配になりました
ヤンキー
案の定憤怒して悠佑さんに 思いっきり殴りかかりました
黒
黒
悠佑さんは余裕そうに 軽やかにパンチを避けて 華麗な蹴りを放ちました
その姿に俺は 見惚れてしまいました
ヤンキー
どこかで聞いたような 捨て台詞と共に ヤンキーは去っていきました
かなりボコボコにされていました
黒
桃
黒
桃
桃
黒
黒
そう言って走り去っていく 後ろ姿を見て、俺はしばらく 立ち尽くしていました
桃
黒
確かに言われてから 思い出した
数年前にヤンキーに カツアゲされとった 大学生を助けたことがあった
まさかその時の大学生が ないこさんやったとは…
桃
桃
桃
黒
俺のことわざわざ 探してくれたんや…
桃
桃
面と向かって褒められると なんだか気恥ずかしい
やけど、めちゃくちゃ嬉しい
桃
桃
さっきまでより 真剣な目をするないこさん
その真剣さに身構える
黒
桃
黒
お、俺のことが好き!?
信じられへん…
でもないこさんの目は とても真剣で嘘やないって 直感的に感じた
桃
桃
きっと俺がないこさんのことを そういう目では見てへんことに 気づいとるんやろう
そんな俺を困らせへんように 気遣いの言葉を言ってくれる
どこまでも優しい人や
桃
黒
桃
桃
ないこさんが一息つく
次何を言われるんか 予想がつかんくて 戸惑う
桃
桃
桃
どう思った、か
驚きがほとんどで 特に他は何も思わんかった
まぁ、そのまま伝えよう
黒
黒
黒
桃
人から好意を抱かれて 嫌な気持ちにはならへん
特にずっと感謝しとったしな
桃
桃
桃
黒
桃
桃
そう言ってないこさんは 颯爽と夜道を駆け抜けていった
よくわからへんけど 俺を惚れさせる気らしい
俺が男に恋をする…
どうも想像できへんかった
黒
お客さん
お客さん
数年前までは考えられへん お客さんの数
どれだけ俺らのライブを 楽しみにしてくれとるかが わかる
それがとてつもなく嬉しい
黒
俺の声がどんどん響いていく
お客さんもそれと同時に 盛り上がっていく
黒
桃
桃
たまたまないこさんと 目があった
微笑み返されてしまい 少し動揺する
あの日、ないこさんに 告白されてから数ヶ月経った
前よりも応援に 熱が篭っとる気がする
前からグッズの販売会には 来てくれとったけど、
最近は毎回、しかも 差し入れまでくれる
ちゃんと俺らの好みを 把握した上でお菓子や アクセサリーをくれる
これが毎回センスが良くて メンバーみんな楽しみにしとる
ないこさんと目が合うたびに 変に意識してまう
メンバーにも 揶揄われるぐらいや
黒
黒
お客さん
今日も楽しい時間は あっという間や
一瞬でライブが終わってもうた
少しづつお客さんが 帰っていく
それと同時に俺らは 片付けを始めた
ドラム
黒
ベース
ギター
黒
ドラム
片付けも終わり、 楽屋に戻ってきた
ライブ終わりのメンバーと 話す時間が好きや
反省点やら良かったところやら 話し合いながら差し入れを食べる
ベース
ギター
黒
今回もめちゃくちゃ美味しそうや
黒
黒
ドラム
俺好みの優しい甘さの フィナンシェや
バターが効いとって 最高や…
ベース
黒
ベース
黒
ギター
黒
ベース
黒
ベース
ベース
ドラム
素直になるって、 別に俺はないこさんのこと 好きやないし…
いや、ホンマにそうなんやろうか
自分の気持ちに気づかへん ようにしとったけど、
やっぱ俺…
黒
ギター
ドラム
ドラム
黒
ずっと待たせてもうてるし…
黒
ギター
ベース
黒
ひたすらに夜道を走る
きっとまだないこさんは そう遠くへ行ってへんはずや
黒
黒
桃
桃
桃
黒
黒
桃
ちゃんと、伝えるんや
やっと気づけた俺の想いを
黒
桃
桃
黒
黒
桃
桃
良かった…
伝えられた、、、
前からないこさんだけが 妙にお客さんの中で 特別に見えとった
それはきっと好きやったから
ずっと自覚してへんかったけど 一度気付けばいろいろ腑に落ちる
コンビニでないこさんに 気づいた時、衝動的に 声をかけとった
きっと他のファンの人やったら 絶対にせんかったと思う
桃
黒
桃
桃
黒
桃
黒
桃
黒
黒
恥ずかしい…
でも、胸がポカポカする…
そうか、これは恋なんか
桃
黒
桃
黒
桃
黒
確かに俺の方が年上やけど、 普段呼ばれへんから変な感じや
まぁ、特別感があるしええか
黒
桃
桃
黒
桃
黒
桃
黒
ただ、手繋いどるだけやのに
なんでこんなにも恥ずかしいんや…
桃
黒
認めたくない…
手繋いだごときで 照れとるなんて…
桃
桃
なんかそれは それで腹立つな…
桃
黒
桃
黒
桃
黒
デートの話をしながら、 俺らは手を繋ぎながら 駅まで向かった
今は真冬のはずやのに、 寒さは全く気にならんかった
きっとこれは、 恋の魔法や