テラーノベル
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夏の夕暮れ、キッチンの窓から差し込む光が、彼__ゆあんの横顔を淡く照らしていた
ya
差し出された皿にはふわふわのオムレツ
俺は笑顔で受け取る
ur
ya
彼はにっと笑った
その笑顔は、世界中のどんな宝石より眩しかった
俺たちはもう、ずっと一緒にいた
付き合い始めて5年_いや、もっとかもしれない
毎日が自然で、当たり前のように隣にいる時間だった
休日は映画を見たり、カフェに行ったり、夜の川沿いを手を繋いで歩いたり。夜空に吹かれながら、彼はよく俺の手を繋いでくれた
ya
そう言われると、なんだか恥ずかしくて、でも嬉しくてつい笑ってしまった
ya
ur
ya
その日、俺は心から思った--何も変わらなくていい。ずっとこのままでいい。と
でも、小さなことが2人を引き裂くなんて、その時はまだ知らなかった
ある日の夕方に些細な喧嘩をした
ur
ya
言葉の端々に苛立ちが混ざり、声は自然と荒くなっていった
彼は黙って、ふっと息をつき、そして出て行った
ya
その瞬間、胸が痛くて、声も出なかった
次に見たのは--信号無視の車、飛び出す影、 そして胸が締め付けられるような衝撃
ur
声は届かず、彼はもういなかった
喧嘩さえしなければ。
ur
その夜、俺は布団に潜り込んで、俺は泣きながら呟いた
あれから3年、俺はあの事件から動けないまま
友達とも会わず、仕事も手につかず、ただ日々をやり過ごすだけ
彼のいない世界は、色も音も温度も失われたみたいで、灰色だった
ある日、何となく街を歩いてると、路地の奥に小さな書店を見つけた
「余白堂」___木の看板にそう書いてある
中に入ると、静かで落ち着いた空気が漂っていた
カウンターの向こうには、マスクとメガネで顔をほとんど隠した店主が立っている
店主
俺は、思わず立ち止まる
ur
意味が分からない。記憶を忘れる?どういうことだ?
店主
俺はしばらく黙ったまま、店内を見渡す
背表紙に書かれた文字たちは、淡く光る生命のようで、触れれば何かが伝わってきそうだった
それから、俺は毎日のように「余白堂」に通うようになった
最初はただ、痛みを消したくて仕方がなかった
思い出すたびに胸が締め付けられるあの日のことを、全部押し込めてしまいたくて
でも、店の奥に立つあの人--名前も知らない店主--と話すうちに、忘れたいだけじゃない何かを求めてる自分に気づく
店内は静かで、棚に並ぶ本はどれも淡く光っているようだった
手を触れると、まるで息をしてるみたいに温かい
店主
その声は低く、でも遠くに響くように澄んでいて、耳に残る
俺は少し息を呑み、答えを探す
ur
店主は無言で頷く
その仕草だけで、心の奥まで理解されている錯覚に陥る
俺は、ゆあんとの日々を話した
ur
ur
店主は無言、でも目でずっと俺を見ている
マスクとメガネで表情は分からない
でもその存在だけで、俺は少しずつ心を預けられる気がした
「余白堂」に通い初めて1ヶ月程度たった日、俺は思わず聞いた
ur
店主は静かに答えた
店主
ur
店主
その言葉に胸が締め付けられた
その日の夜、店内は柔らかな光に包まれていた
俺は決意する
ur
本に手を置くと、思い出が指先からページの中に吸い込まれていくようだった
でも胸の奥で囁く声があった__
やめろ、痛みごと抱いていたい。
あの日、ゆあんくんを失った痛み--その痛みさえ初めて抱いていたいと思った
俺は手を止め、深く息をする
ur
ur
店主
マスクの奥で、微かに笑った気配がした
愛は残すことでも、消すことでもない。
大切なのは、相手がいなくても、その人を思えた自分を受け入れること。
その後、書店を出た
店主はいつもどうりカウンターの向こうでたっていたが、何も言わない
ただ、静かに俺を見ているだけだ
ur
声が少し震えた
店主はゆっくり頷くだけで、手を振らない。でも、その静かな見送りに、胸の奥がギュッとした
書店の扉が閉まる音と共に、風が路地裏を通り抜ける
店主(ya)
うりが入ってくるたび、胸が張り裂けそうになる
痛みを消させる訳には行かない。でも、前に進ませたい
名前も呼べず、手を差し伸ばすこともできない
でも、ただ静かに見守ることで、うりの痛みと愛を全部受け取ることは出来る
うりはまだ、あの日の自分を責め続けている
でも、少しずつ前に進める気配もある
それを感じられるだけで、俺はこの世界に戻ってきてよかったと思えた
店主(ya)
ur
歩き出すと、外の風が冷たくて、でも心地よかった
街の匂い、車の音、人の声--全部久しぶりに感じる
ur
店主に向けて、そう呟いた
新しい恋に進むことも、ゆあんを取り戻すこともない
ただ、ちゃんと生きる--それだけを選んだ
数年後、俺はふと思い立って「余白堂」に向かった
でも、そこにあったのは空き地だった
アスファルトの割れ目から、雑草が生えている
近所の人に「余白堂」について尋ねても、首を傾げるだけ
.
立ち尽くす俺の足元に、1つの青紫色の花が咲いていた
勿忘草
花言葉は__「私を忘れないで」「真実の愛」「希望」
儚く、でも確かにそこにある
痛みを抱えながらも前に進むことを、静かに教えてくれるようだった
俺はそっと花に手を触れ、深く息を吸い込む
そして、歩き出す
もう、後悔の中に閉じこもらない
ただ、ちゃんと生きる--それだけを胸に
最後まで見て頂き、ありがとうございます!!
中2の頃、授業中に妄想していた物語を言語化してみました٩(ˊᗜˋ*)و♪
やっぱり私は切ない恋が好きです
これからもこういう物語ばっかだと思いますが、ぜひ読んでください✨
コメント
4件

るのさんほんとに言語化が上手くて尊敬です… 2人のやり取りのすれ違いに感情移入してしまいました。 これからも作品楽しみにしています߹ ߹*
もう語彙力ありまくりすぎてほんとにだいすきです ... 😖💘 切なくて甘酸っぱくて取り戻せない恋 最高すぎます !!!! るのさんの描く小説の世界観すきすぎて 🥹🥹