「頼元 澪」
頼元匠と東野優希との間に産まれた
頼元家の長男
小さい頃から身体が弱く
ずっと入退院を繰り返していた
容姿以外は特に普通な男の子
伊織
(けれど兄さんの中で特別になったのはあの日から)
伊織
(あれは兄さんが息抜きに…と)
伊織
(こっそり家を出て)
伊織
(車で海に向かった日…)
伊織
(確か出発してすぐに)
伊織
(澪がこっそり着いて来ていて)
伊織
(車に隠れていたことを知ったんだったよな…)
あの日から、澪様は
兄さんの「特別」になった
周囲の者達が驚くほどの溺愛っぷり…
そして静香お嬢様の事件が起きた
そう…兄さんは子どもが大嫌いだった
自分の子になったからと言って
愛せるわけではない
伊織
(まぁ…澪様は違ったけれど)
兄さんは、静香お嬢様のことも
愛そうと努力していた
けれど
兄さんがいつも気にかけ
大切に大切に思っていたのは
澪様だった
優希様はそのことに気づいていた
執事長
優希様
優希
なに?
執事長
先程、旦那様が
執事長
お亡くなりになられました
優希
…
優希
そう
優希
あなた達
優希
執事長と話があるから
優希
下がってくれる?
執事
かしこまりました
優希
匠さんの弟であるあなたと
優希
話したいんだけど
伊織
はい
優希
俺は匠さんとは政略結婚だったけれど
優希
時間が経つにつれ
優希
彼を愛するようになった
伊織
…はい
優希
澪が生まれて
優希
幸せだった
優希
けど先に匠さんの特別になったのは
優希
俺じゃなくて、、
優希
澪だった
優希
悔しかった
優希
親失格だよな
優希
だから静香を連れて来た
優希
まぁそのせいで
優希
もっと仲が悪くなったけど
伊織
……
優希
くだらない嫉妬で澪に
優希
冷たく接した…
伊織
!
優希
それに匠さんも澪も気づいてた
優希
だから澪は俺たちから離れた
優希
そして結婚して……
優希
心配するふりをして、、
優希
何年も見て見ぬふりを続けてきた
伊織
…っ
優希
でもやっぱり
優希
自分の息子が弱っている姿をみて
優希
苦しくて、匠さんに言った
優希
そしたらまさか
優希
ずっと暴力をうけていたなんて
優希
思いもしなかった
伊織
そう…ですか、
優希
あの日あの動画を見たとき
優希
後悔した
優希
澪は、俺の名前を呼ばなかった
優希
俺に助けを求めなかった
優希
ほんと、親失格だよな
伊織
そうですね
優希
ふふ
優希
正直な人……
優希
匠さんが亡くなったって聞いて、
優希
もっと……後悔したよ
優希
俺は静香を連れて
優希
頼元家を出ることにした
伊織
!
伊織
それでは誰がこの家を…!
優希
あなたが継ぎなさい
優希
これは最後の命令
伊織
……はい
優希
匠さんの葬儀をしたら
優希
ここから出る
優希
それまでに全て引き継ぐ
優希
この家を
優希
頼むよ
伊織
はい…っ