間違えて中太チャットノベルの短編集に入れたけどこれ福乱だから ((何か、中太の短編が増幅してて余ってたから改造した))
てっぺんまで上った日が傾き始めた午後2時。
最寄りの公園で腰を休め、寄ってきた猫達と戯れていると国木田が乱歩を連れてやって来た。
福沢
国木田
国木田は青ざめた顔で吃りながら話す。
福沢
国木田
乱歩に目を遣ると目尻に涙を溜めて、達者な口をへの字に曲げて鼻を啜っていた
福沢
福沢
福沢
国木田は締まった声で返事をし、小走りで向こうに走っていった。
乱歩は私の隣でじっと桜の木に留まる鶯を見ている。
少し落ち着いているようなので野良猫に再び煮干しをやり始めた。
すると乱歩は私の袖をくいっと引き、震えた声で
乱歩
乱歩
っと。次第に目に涙を貯め始め、唇を震わせて息遣いが荒くなる。
違うと弁解しても泣き止むどころか更に
乱歩
乱歩
この有様だ。
私の着物に顔を当てて、時々社長の莫迦、僕のこと本当に大事なの?のような事を
乱歩は私の着物を涙で濡らしながら自分の不幸と自己嫌悪をを訴えた。
こんな風に泣きじゃくる乱歩は十年ぶりだろうか。
あの時、私は手のやり場に困り宙に置いてしまったが今は違うと、
私の胸でぽろぽろと大粒の涙を零す乱歩の頭に掌を恐る恐る置いてみた。
するとふと勢いよく顔を上げて、潤んだ目で私の顔を見つめてから再びううっと唸りながら泣き始めた
乱歩
乱歩
乱歩
乱歩
泣き喚く乱歩の顎に手を添えて、上に少し引き上げほんのり色づいた唇を塞いだ。
福沢
乱歩は顔に紅葉を散らしてまた泣き始めた。
乱歩
乱歩
乱歩
泣き過ぎなのか過呼吸気味の乱歩を落ち着かせるために背中を擦っていると乱歩は私の着物を掴んだまま眠っていた
福沢
泣いている時彼は普段言わないような不満(と云っても大体自虐)を吐き散らして本人は多少辛いだろうが少しは楽になっただろうか…
私の膝に乘った儘、胸の中ですぅすぅ寝息を立てる此の二十六歳児には手がかかったものだ…
否、此れからもきっとかかり続けるだろう。だが不思議と厭な気はしない。
福沢
公園の向こうから太宰達の声が聴こえてきた。
福沢
そう語り掛けると彼は微かに微笑し、寝言で『福沢さん」っと呼んだ。
えんど
福沢
福沢
福沢
福沢