この作品はいかがでしたか?
75
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ひらひらのレース、ふわふわな夢見心地のドレス
可愛いげな、という一言では済まされないような程可愛いモノ
整ったシルエット、腰まで伸びた誰のものでもない髪の毛
全部、全部
ぼくのアイデンティティー
湊
湊
湊
湊
でもこのアイデンティティーは自分のものになりきれていなくて
皆の前じゃ隠さなければいけないんだ
へぇー
男のくせにそんなの好きとか
…気持ち悪いな
今でもやっぱりフラッシュバックはしてしまうんだ
教室で誰も見ていないと思って、休み時間に可愛い服を調べていたら
担任の先生から言われた言葉
湊
湊
クラスメイト
クラスメイト
湊
湊
クラスメイト
クラスメイト
保健室の先生
保健室の先生
湊
ベッドに寝転んで天井を見つめる
クラスの子優しかったな…とか考えてみる
担任の先生には理解してもらえなかったけれど、もしかしたらクラスの子達……少なくともさっきの子とかには理解してもらえるかもしれない
打ち明けた方がきっと楽になれるはず
…なのにやっぱり打ち明けられないんだ
“気持ち悪い“
ただその一言が怖くて
だからずっと、ずっと匿ってきて
ずっと鍵を掛けてきたっていうのに
あのときぼくがイヤホンなんて付けていなければ_____
湊
コンコンコン
入るわよー
扉を開けたときの風が入った時点でもうダメだった
湊の親
湊
思わず目の前の蔑んだかのような目を見つめてしまった
湊の親
湊の親
最初は趣味を認めてもらえたならいっか、とか甘いことを考えていた
でもやっぱりダメだった
湊の親
湊の親
呆然として立ち尽くすぼくをよそに、親は部屋から出ていった
しばらくは驚きが勝っていたのか、ただただつっ立っていることしか出来なかった
でも、しばらくしてから震えが止まらなくなってきて視界が滲み出して歪んできて
気付いたらもう床は水溜まりになっていた
でも、ぼくの右手には確かに握られていた
唯一ヒトを信じられる場所
コメント
1件
現実じゃわりと受け入れられない趣味だからつらいよね