何でもない普段の日常
教室の隅で笑う女子と 真ん中で、はしゃぐ男たち
そんな音が騒音と化して 耳を突いた
僕はただ、本に目を通すだけ。
いつだって僕は地味で気が弱くて 運動なんてもってのほかで
暗い森の小人みたいだ。
魔法でも使えたら もっと自分を表現できただろうか
そんな幻想が流れ星のように 浮かんでは消えてった
そんな朝休み
そんな僕が君と出会ったのは
高くなった空と白い息が上る朝
小走りでツインテールを 踊らせる君だった
0時の鐘に急かされる シンデレラみたいだ
僕
不意に声が出たから
振り返る君が見えたから
とっさに喉が声を出した
僕
蚊の鳴くような小さな声でも ちゃんと届いたみたいで
君
僕に向けての笑顔付きで 返事をしてくれた
その笑顔は多分
魔法なんだ
僕の鼓動が鳴り止むことを 忘れてしまったから
廊下ではいつも君を探してる
教室ではいつも君を想ってる
読み進めた本も手につかないほど 君を想っては心が踊った
僕
君と会うには 君と話すには
考えたら変な声が出た
一ノ瀬 康介
僕
クラスの一人が僕に問いかける
滅多に無いので 名前を呼ぶことしかできない
一ノ瀬 康介
僕
一ノ瀬 康介
口調が似ていたので顔を上げると いたずらっぽく見つめる一ノ瀬さん
同性ながら あざとい…と思ってしまった
一ノ瀬 康介
僕
一ノ瀬 康介
弾けるような笑顔を見せる彼
ちょっとウザかったけど
僕
恋愛に詳しそうなので聞いてみた
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
一瞬、バカにしたような?
そんな顔をしたような 気もするが黙っておこう
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
適当そうな返答に不安と不満が募るが知らないふりをした
僕
僕
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
全く参考にならなかったのは 言わないでおこう
僕
下校時間
朝、印象的だった ポニーテールが見えて
校門をくぐりかけた マフラーを巻いた君に声をかけた
君
僕
僕
顔が熱い 声が縮まる 目線が足元に下がる
でも、何もしないより良いから
祈るように目を閉じると
君
君
柔らかい笑顔で君が言った
思わず閉じた目を見開いた
僕
君
雪のように儚い笑顔を作る彼女は やっぱり可愛くて
僕
君
僕
不思議な顔をしたので 素直に伝えると
照れたように目を逸らされた
君
僕
君
スポーティーなポニーテールに 半袖の君は
きっと似合うだろうと確信できた
僕
君
僕
君
君
弾ける笑顔を見せる彼女に安心する
僕
君
僕
僕とは程遠いけれど
明日から変わろうと決心した
僕
他人からの目線が痛い
だけど、変わった自分は 悪くなかった
短く切った髪をかきあげた僕は 昨日と同様、おはようを言う
君
君もビックリしているようで 言葉が途切れ途切れだった
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
とんでもない勘違いを 投げつける一ノ瀬。
というか、こんなに親しい 感じだったっけ…?
君
一ノ瀬 康介
僕
取り敢えず返すと クスクスと愛生さんが笑った
その笑顔は人形のように可愛い
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
愛生さんと顔を見合わせて 言う一ノ瀬
いや、知るかよ
学校で話してるの始めて見たぞ
そんな心の声を聞こうともせず 一ノ瀬は僕と肩を組んで
一ノ瀬 康介
ずんずんと昇降口を歩いていった
一ノ瀬から聞いた愛生情報←なんか呼び捨ての流れになった
1,虫が苦手 2,身長いじりは地雷(愛生は背が低i) 3,意外と繊細で泣き虫 4,爽やかな人が好み
などなど。
ちなみに同級生で 隣のクラスらしい←知らなかった
だけど、一つ問題がある
愛生は鈍感なのだ。
おはよう政策から1ヶ月経った今 特に何もなく日々を過ごしている
君にしか、挨拶してないのに
気づいてくれないのか それとも気づかないふりなのか
僕
僕
待て、なんでこいつに相談したんだ
1ヶ月前の あのアドバイスを学習しろよ
一ノ瀬 康介
僕
一ノ瀬 康介
僕
僕
照れ隠しの暴言を吐いた
一ノ瀬 康介
僕
僕
思いもよらない言葉に 脳がフリーズしたのか
反応するのに時間がかかって 大きめの声が出た
教室中の視線が僕に集まる
一ノ瀬 康介
僕
恥ずかしかったので おとなしく着席
そんなことよりも
珍しく真っ当なアドバイスに 困惑した
なんか変な物でも食べたか?
一ノ瀬 康介
僕
一ノ瀬 康介
ニカーっと笑ってスマホのディスプレイを見せつける康介
何というおせっかいを…!
僕
一ノ瀬 康介
一ノ瀬 康介
僕
一ノ瀬 康介
またもやニカーっと笑う康介
ちょっと不満は残るが 告白への一歩を貰った気がした
屋上扉からの日差しが眩しい
階段を登り切ると 既に君は待っていてくれて
僕
君
いつもよりぎこちなく会話が進む
時間だけが過ぎていくみたいで 居心地が悪かった
あと少しの勇気と
小さな深呼吸で
きっと言える
僕
小さく叫んだ声は意外と響いて
これで惹けた気をずっと僕に 留めておいてほしかった
僕
僕
無言でコクコクと頷く君
真っ赤な顔は林檎みたいで
魔法がかかったみたいに 胸の高鳴りは消えなくて
君
絹糸のように細い声が宙に舞った
君
童話の中のプリンセスみたいだ
そんなことを思うほどに
首を傾げてはにかむ君は どの宝石よりも綺麗だった
小さな杖の小さな一振りで 僕を魔法にかけた
そんな彼女は
僕と一緒に恋という魔法に かかっていたらしいです
ずっとこの魔法が 解けませんように。
コメント
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わぁお
表現がキ・レ・イ…!!! 魔法かぁ…私も使えるようになりたい!!←テストをなくすため
面白かったです! 初恋実るのってそんな確率なんですね、、(実ってる、、笑