テラーノベル
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橙桃
名前伏せないです
ドッキリかけてる的な感じ
部屋の中には、エアコンの風がゆるやかに流れ、 机の上にはゲームコントローラーが二つ転がっていた
休日の午後。普段と変わらない光景
光景。だが、俺の胸の内には、 いつもの日常とは少し違う企みが潜んでいた
視線を机の端に置かれた小瓶に向ける
無色透明の液体が、光を受けてかすかにきらめいた
それは、ただの水にしか見えない
けれど、俺にとっては“ちょっとした秘密兵器”だ
ジェルの無防備な顔を思い浮かべると、 口元が自然と吊り上がる
いつもからかってくる側である相手を 今日は自分が翻弄してやる。 そんな子供っぽい悪戯心が、胸を躍らせていた。
台所から声をかけると、ソファに寝転がっていた ジェルの気の抜けた返事が返ってきた
その調子のよさに、さとみは内心でほくそ笑む
何も知らずに、仕掛けられた罠に 足を踏み入れようとしている獲物
そう考えると、気持ちが高ぶって仕方がない
小瓶の蓋を開け、ペットボトルの水に数滴を垂らす
液体はすぐに混ざり合い、跡形もなく消えた
完璧
匂いもなんともない
自分でもわかるくらい、声が愉快に漏れていた
準備を終えると、グラスに注ぎ、 何気ない顔を作ってリビングへ戻る
彼の指がグラスを包むのを見届け、 さとみは心の中でカウントダウンを始める
喉を通る水音がやけに大きく聞こえる
ほんのわずかに口角を吊り上げる 俺は何食わぬ顔でジェルを見守った
何も気づかない様子に見える。 けれど、数分もすれば。
数分も経たないうちに、ジェルの様子に変化が現れ始めた
ゲームを続けていたはずの彼が、 コントローラーを置いて額に手を当てる
頬を紅潮させ、呼吸が荒くなっていく
首元をかきむしるようにして、汗がこめかみを伝う
心の中で歓喜した
普段どれだけ余裕ぶっていても、こればかりは抗えない
赤く染まった頬、潤んだ瞳 その姿は、俺の優越感を大いに満たしてくれるものだった
言葉と同時に、そっとジェルの肩を抱く
いつもは強気に笑っている相手が、今は弱々しく身を寄せてくる
そのギャップに、心臓が高鳴った
普段の彼を知っているからこそ、 この無防備さは格別だ
支配している、掌の中に収めた
そんな感覚がどんどん酔わせていく
覆いかぶさるように身体を近づけ、 耳元に熱を吹きかけた
その瞬間
低く響く声が、耳を打った
見下ろしたはずの視線が、 いつのまにか真っ直ぐに射抜かれていた
ジェルの瞳は潤んでいるはずなのに、 その奥に潜む光は鋭い
ぞわりと背筋を撫でるような感覚が走った
頭が真っ白になる。 じゃあ、さっきまでの反応は。
にやりと笑った瞬間、 世界が反転するように身体がひっくり返された
ソファに押し倒され、手首を掴まれる
熱を帯びた声が耳をくすぐり、逃げ道を塞ぐ
必死にもがくが、力の差は歴然だった
潤んだ瞳が、獲物を捕らえた 肉食獣のように細められる
その視線に射すくめられ、心臓は早鐘を打った
腰を押さえつけられ、耳元に熱が吹きかけられる
ぞくりと背筋が震え、抗議の声が喉に詰まる
指が首筋をなぞり、唇が頬をかすめる
身体は否応なく反応し、呼吸が荒くなる
優越感に浸るはずが、逆に追い詰められる
主導権を握られるこの感覚は、 屈辱と同時に妙な熱を呼び覚ましていた
囁きとともに、ジェルの唇が重なった
抵抗の言葉は、熱に呑み込まれ、溶かされていく
結局、狩られるのは自分の方だった
熱を孕んだ肉体がぶつかり合うたび、 ソファが軋み音を立てた
ジェルの腰は容赦なく動き、深く深く突き入れる
的確に弱点を抉られるたび、視界が揺れ、息が乱れる
身体の奥から突き上げる快感が、 羞恥も抵抗も押し流していく
耳元で囁かれ、ぞくりと全身が震える
ジェルの熱がますます激しくぶつかってきて、 理性が完全に吹き飛んだ
限界は一瞬だった
強烈な波が押し寄せ、視界が白に弾け飛ぶ
絶頂に合わせるように、 ジェルの熱も奥へと注ぎ込まれる
全身が痙攣し、しがみつく腕が強くなる
汗と涙でぐしゃぐしゃになった顔を、 ジェルが優しく撫でてくれた
余韻に震える身体を抱きしめ、 乱れた髪に口づけを落とす
からかう声に、悔しさで唇を噛んだ
けれど、その胸に抱かれている心地よさは 否定できなかった
ジェルは少し笑って、囁いた
強く抱きしめられ、心臓が跳ねる
悔しい、けれど胸の奥は満たされていた
そう心の中で呟きながら、 ジェルの腕の中で静かに目を閉じた
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