リン
あの日から、一体どこに行ってしまったのでしょうか…
リン
アルネ様…あの日、絶対帰ってくるといってから、もう10年も経ってしまいました…
リン
この10年間毎日、あなたを想っては泣いていました…毎日、あなたを呼んでいました…
リン
いくら泣き叫んでも、あなたは帰ってきてくれませんでしたね…
リン
ア、ルネ、様っ…私を置いて、どこへ、いってしまったんですかっ…!いつまでも一緒って…いってくれたじゃないですかっ…!
リン
…でも、
リン
でも、そんな日ももう終わりです…
リン
これからも…アルネ様に会えないなんて…辛すぎます…
リン
両親を失った私には…アルネ様しか…いなかったのですよ…
リン
アルネ様がいないなら…私は…両親に…会いに…いきます…
アルネ
……ろ!
…ろ、リ………ス……
…は……こ……
リン
あぁ、アルネ様…10年間、こんなことは一度も無かったのに…とても、懐かしい、
リン
アルネ様の、声が、聞こえる…
リン
あはは、もうアルネ様の幻聴が聞こえるぐらい、おかしくなっちゃった…
アルネ
……は!ア……ノ……!
こ……い……!早……!
リン
アルネ様、あなたは天に、いるのですか?早く、こっちに来いと、いっているのですね…
アルネ
……う!
リ………!く……っ!
リン
わかりました…アルネ様に助けてもらったこの城が墓場になるのなら…私はそれで、満足です…
人間の体が宙に放り出された。リューゲンベルグの住人は、その人間を、静かに眺めていた。
アルネ
くそっ…!
リューゲンベルグの住人は見逃さなかった。赤い月から猛スピードで降りてくる、
アルネ
リン・ラインヴァイス!目を開けろ!
リン
え、アルネ、様…?
アルネ
そうだ、俺だ!早く、この手を掴め!
リン
…アルネ様っ!
リン・ラインヴァイスと呼ばれた人間と、最凶の吸血鬼は、お互いの手をつかもうとしていた。
アルネ
…よし!
リン
アルネ様の手…あったかい…
アルネ
何のんきなこと言ってるんだ、アホ・ラインヴァイス…ちゃんと掴まってろよ!
リン
…はい!
そして、人間と最凶の吸血鬼は、紅く輝く月のところまで昇り、しばらくその場にいた。リューゲンベルグの住人は、地面から遠い場所にいるその2人を見守っていた。
アルネ
それにしても、お前は一体何をしようとしていたんだ…
リン
そ、それは…いや、それより、アルネ様、10年間もどこに行っていたんですか!
アルネ
あぁ…ちょっといろいろあってな……待て、リン・ラインヴァイス、お前、俺の近くにいてなにも気づかないのか…?
リン
えっ…?…そういえば、アルネ様、こんなに長い時間、大きい姿でいられましたっけ…?
リン
もしかして…アルネ様…9つの心臓、全て、取り戻したんですか?
アルネ
ご名答。我は、ついに、やり遂げたのだ…
リン
…あれっ?てことは、人間の私は病気に…
アルネ
そうだな、俺とここまで近くにいるんだ、病気になってもおかしくはないな
アルネ
ただ、お前はラインヴァイスの人間だ。純粋な白は、他の色に染まることはない…
リン
血の契約の時みたいな現象…ですか?
アルネ
そうだな、簡単に言えばそうだ。血の契約を結び、お前は見事舞台に舞い戻ってきた…しかし、お前は吸血鬼にはなっていなかった。お前は、特別な人間なのだ。リン・ラインヴァイス。
リン
そうなのですね…でも、残念ながら、私は既に白ではない色に染まっているんですよ
アルネ
…なんだと…?
リン
私は、既に…
リン
アルネ様色に、染まっているのですよ