爆豪 勝己
ン
爆豪 勝己
黙って食えや
テーブルに置かれたそれは
黄色い卵に包まれた、オムライス
痛無 鈴
私の…大好物だ…!
痛無 鈴
どうして…?
爆豪 勝己
ア?
爆豪 勝己
出久に聞いたんだわ
痛無 鈴
いずく…?
痛無 鈴
あ、
痛無 鈴
デクさんのこと
爆豪 勝己
るせェ
爆豪 勝己
なんか文句あっかよ
痛無 鈴
無いです
痛無 鈴
でも
痛無 鈴
デクさんに聞いてまで、私の好きな物作ろうと
爆豪 勝己
…
痛無 鈴
爆豪さんって以外と優しいんですね
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
黙って食えやァ…
痛無 鈴
ヒッ
まるでヴィランのような形相をしている 彼に驚きつつ
いただきます と言い
手料理を口にした
痛無 鈴
…
爆豪 勝己
…
テーブルを挟んで向かい側に座っている彼
右肘で頬杖をつき、窓の外を眺めている
痛無 鈴
何か、話して下さいよ
爆豪 勝己
ア?
爆豪 勝己
話すことなんざねェ
痛無 鈴
…
痛無 鈴
じゃあ何でウチに来たんですか
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
何でだろうな
痛無 鈴
…
長く感じた数分間の沈黙を
最初に破ったのは 彼だった
爆豪 勝己
…辛ぇ時
痛無 鈴
え?
爆豪 勝己
ヒーローが辛ぇ時
爆豪 勝己
誰がヒーローを守ってあげられるか
痛無 鈴
…
爆豪 勝己
知り合いの言葉だ
彼は、何かを懐かしむように
ポツリ、ポツリと言葉を並べた
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
出久もそうだった
爆豪 勝己
何でもかんでも
爆豪 勝己
1人で抱えちまう
痛無 鈴
…
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
偉かったな
痛無 鈴
偉い…?
爆豪 勝己
自分から連絡寄越せて
痛無 鈴
…っ
痛無 鈴
褒めないで…下さいよ…っ
大切な人を失った、それは
自分のせいだと
爆豪 勝己
お前、今辛ぇだろ
痛無 鈴
…
爆豪 勝己
1番身近な奴が居なくなった
爆豪 勝己
だから俺が
痛無 鈴
…
痛無 鈴
…
痛無 鈴
…うっ
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
…泣きてぇ時は泣けや
痛無 鈴
…うぁっ
痛無 鈴
あああああああ…っっ
大人になった、つもりだった
プロヒーローだから
誰かに縋るのは、大人じゃ無いと思った
誰かの前で泣く事は、子供だと思った
暖かいご飯に、暖かい言葉
それが何よりも嬉しくて、辛かった