テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
次の日 朝早くから家の中は慌ただしかった
ガタガタと乱暴に物音が響き、父親と母親の声が狭い家の中を飛び交う レウクラウドは部屋の隅で小さく座ったまま、その音を聞いていた
昨夜の痛みはまだ残っている 腕も、足も、熱を押し付けられた場所もじくじくと痛んでいた けれど、それ以上に胸の奥が重かった
“愛じゃない”
コンタミに言われたその言葉が、ずっと頭から離れない
今まで当たり前だったものが、少しずつ崩れていく その感覚が怖かった
父親
突然怒鳴られ、レウクラウドの肩が跳ねる 急いで部屋から出ると、玄関で父親が靴を履いていた
母親は鏡を見ながら化粧をしている
母親
レウクラウド
父親
レウクラウドは小さく頷く その言葉の意味を、もう知っていた
“買い物”
それは明日の朝まで帰ってこない日のこと 家に一人になる日 昔は怖かった 静かな家が、不気味で仕方なかったから
でも今は ほんの少しだけ、違う感情がある 海へ行ける コンタミに会えるかもしれない
その小さな期待が、心の奥で灯っていた
父親
父親
レウクラウド
母親
母親
レウクラウド
母親
くすくすと笑う声 それから二人はそのまま家を出ていった
バタン
扉が閉まる 静寂 レウクラウドはその場でしばらく動かなかった
本当にいなくなったのか確認するように、じっと耳を澄ませる やがて足音も聞こえなくなる
その瞬間 ふぅ……と小さく息を吐いた 肩の力が少しだけ抜ける
怒鳴り声がない 物を投げる音もない ただ静かな家
レウクラウドはゆっくり窓へ近づいた カーテンの隙間から空を見る 今日は晴れていた 青い空が広がっている
それだけなのに、少しだけ世界が違って見えた、少しだけ世界が違って見えた
レウクラウド
ぽつり、と名前を呟く すると胸の奥がほんのり温かくなる
昨日抱きしめられた感覚 “頑張ったね”と言われた声 頭を撫でられても痛くなかったこと 全部がまだ残っている
レウクラウドはそっと自分の頭に触れた あの時撫でられた場所 不思議だった
怖かったはずなのに、思い出すと少し安心する
レウクラウド
小さな願い
誰かに会いたいと思ったのは初めてだった いつもは“怒られないように”しか考えてこなかったから レウクラウドはゆっくり立ち上がる
身体はまだ痛い 歩くたび傷も軋む
それでも足は自然と海の方へ向かっていた 外へ出ると、潮風が頬を撫でる 海までの道を、レウクラウドは小さな歩幅で歩いていく
途中、親子連れとすれ違った 笑いながら手を繋いでいる レウクラウドはそれを見て、少しだけ目を伏せた
羨ましいのかもわからない でも、コンタミといる時の感覚が少し似ている気がした
怖くない 痛くない それだけで、十分特別だった
やがて海が見えてくる キラキラと光る水面 レウクラウドの歩く速度が少しだけ速くなった
いるかな 今日も会えるかな そんな期待を抱きながら、レウクラウドは海辺へ向かっていった
次回❤️1000
コメント
1件
**はる。だわ。** 今回のエピ、胸が苦しくなるところと温かくなるギャップがすごかった… レウが親の不在を“怖さ”じゃなくて“会えるチャンス”に変え始めてるところ、なんかグッときた。 「会いたい」って初めて思えたの、ちゃんと変化だよな。 海辺まで怪我した身体で歩くの、見守らずにいられなかったわ。 続き、コンちゃんに会えるといいな🔥