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瀬戸 蓮
大学の食堂。
昼時を少し過ぎ、閑散とし始めた窓際の席。
一人でカレーを啜っていた和真の前に、場違いなほどのオーラを纏った男が座った。
瀬戸蓮。和真と同じ経済学部の3年生。
整った顔立ち、180センチを超える長身、そして誰にでも分け隔てなく接する明るい性格。
おまけに特定の恋人は作らず、常に女の子たちに囲まれている
「歩く恋愛トラブルメーカー」だ。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸は屈託のない笑顔で、和真の向かいに置いたトレーを寄せる。
和真は心臓が跳ね上がるのを必死に抑え、無愛想を装った。
佐藤 和真
和真は自覚していた。
自分は「平凡」を絵に描いたような人間だ。成績は中の中、顔も普通。
瀬戸は「特別」の塊。そんな男がなぜか自分にだけは、妙に距離感近く絡んでくる。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸は和真の皿にある福神漬けをひょいとつまんで口に入れた。
その何気ない「間接キス」に、和真の耳が赤くなる。
瀬戸はそれを見て、楽しそうに目を細めた。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
和真は、瀬戸にとって自分が「恋愛対象外だからこそ、気楽に遊べる暇つぶし相手」なのだと言い聞かせた。
期待して、勝手に失恋するのはもう飽き飽きだった。
バイト先であるカフェに、本当に瀬戸が現れたのはその日の夜だった。
閉店間際。
カウンター席に座る瀬戸は、店内の女子高生たちから熱い視線を浴びているが、本人は気にする様子もなくスマホをいじっている。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
エプロンを外した和真がバックヤードから出てくると、瀬戸は待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。
連れて行かれたのは、路地裏にある隠れ家的なイタリアンバルだった。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸は慣れた手つきで注文を済ませると、和真にグラスを向けた。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
酒が進むにつれ、瀬戸の口調はさらに軽くなる。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
和真は、手元のワイングラスをじっと見つめた。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
佐藤 和真
和真の冷ややかな声に、瀬戸は一瞬だけ、真顔になった。
しかしすぐに、いつものヘラヘラした笑みに戻る。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸の「来る者拒まず、去る者追わず」な恋愛観。
和真はそれが一番恐ろしかった。 彼にとって、恋愛は遊びでしかない。
事件が起きたのは、それから一週間後のことだった。
和真は同じゼミの女子、木村さんから「ノートを貸してほしい」と頼まれ、学食で待ち合わせていた。
木村さんはおとなしい子で、和真とも気が合う。
木村
佐藤 和真
和真が少し照れくさそうに笑った、その時だった。
瀬戸 蓮
背後から、凍りつくような冷たい声が響いた。
振り返ると、そこにはいつもの笑顔を完全に消し去った瀬戸が立っていた。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸は木村さんを無視して、和真の腕を強引に掴んだ。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
木村
困惑する木村さんを残し、瀬戸は和真を半ば引きずるようにして、人気のいない旧校舎の裏へと連れて行った。
壁に押し付けられた和真は、瀬戸の気迫に圧倒された。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
佐藤 和真
佐藤 和真
和真が叫ぶと、瀬戸の瞳にどす黒い感情が渦巻いた。
瀬戸 蓮
瀬戸の声は低く、震えていた。
和真は息を呑んだ。あの「恋愛に執着しない」瀬戸蓮が、剥き出しの嫉妬をぶつけてきている。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸は和真の両手を頭上に固定し、顔を近づけた。
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
瀬戸の額が、和真の肩に預けられた。
瀬戸 蓮
和真の心臓が、耳元で鳴っているかのように激しく鼓動する。
佐藤 和真
佐藤 和真
和真が震える声で言うと、瀬戸は恐る恐る顔を上げた。
その表情は、今にも泣き出しそうな子供のようで。
佐藤 和真
佐藤 和真
瀬戸 蓮
佐藤 和真
佐藤 和真
和真の告白に、瀬戸の目が見開かれた。
次の瞬間、瀬戸の力強い腕が和真を抱きしめた。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸は、和真の首筋に顔を埋めて何度も「好きだ」と繰り返した。
その執着心は、和真が抱いていた「平凡な片思い」を遥かに凌駕する熱量を帯びていた。
それからの瀬戸は、まるで別人のようになった。
あんなに周囲にいた女子たちはどこへやら、講義の間も、昼休みも、バイトの帰りも、常に和真の隣を死守している。
ある日、また和真が別の生徒と立ち話をしていると、どこからともなく瀬戸が現れ、和真の腰に手を回した。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸は対面の相手に「こいつ、俺のなんで」と言わんばかりの冷たい視線を送ってから、和真を連れ去る。
佐藤 和真
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
佐藤 和真
和真が呆れたように言うと、瀬戸はふいっと視線を逸らした。
瀬戸 蓮
瀬戸 蓮
かつての余裕たっぷりな「モテ男」の面影はどこにもない。
和真を独り占めしたくてたまらない、余裕のない恋人がそこにいた。
和真は、そんな瀬戸の手をギュッと握り返した。
佐藤 和真
佐藤 和真
瀬戸は一瞬驚いたように固まった後、顔を真っ赤にして和真の肩に頭を乗せた。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
平凡な男子だったはずの和真は、今や大学一のモテ男を完全に飼い慣らし、いや、独占していた。
かつての「住む世界が違う」という諦めは、もうどこにもない。
二人の世界は今、誰よりも狭く、そして誰よりも熱く、重なり合っていた。
瀬戸 蓮
佐藤 和真
ハッピーエンドのその先。
二人の恋は、さらに深く、独占欲に満ちた甘い日常へと続いていく。