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徠梦
「図書館に潜む影」
月曜日の昼休み
教室のざわめきから抜け出し、徠梦は静かな図書館へと足を運んでいた
表向きは成績優秀な彼女の居場所
だが今は、心を落ち着けるために必要な避難所でもあった
あの夜の余韻はまだ胸の奥に残っている
あの優雅な笑み、鋭い眼差し
そして、自分を「合格」と評した声
心臓が妙に騒がしくなるたび、徠梦はページをめくる手を強く握りしめていた
朱侑梨
声に振り向けば、そこには朱侑梨が立っていた
制服姿に揺れるリボン
誰が見ても“完璧な優等生”の先輩
けれど徠梦は、夜に見せた彼女の本性を知っている
徠梦
朱侑梨
朱侑梨は静かに椅子を引き、徠梦の隣に座った
香り立つ紅茶のような気品を纏いながら、声を潜めて告げる
朱侑梨
徠梦の瞳が大きく揺れた
徠梦
朱侑梨
図書館の奥では、他の生徒たちが静かに読書をしている
だが、この小さなテーブルの上だけは、裏社会の緊張が漂っていた
徠梦
朱侑梨
朱侑梨は微笑を崩さずにそう言った
その笑顔は、昼の優雅さと夜の冷酷さを同時に宿していた
徠梦は本を閉じ、静かに息を吐い
逃げ道はない
だが、どこかで心が叫んでいた
この人となら、戦えるかもしれない
徠梦
朱侑梨
夕暮れが近づき、窓から差す光が二人の横顔を照らす
図書館の静寂の中、二つの影は静かに重なり始めていた
続く