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夢の中の男

おや?

夢の中の男

ここは何処だろうか?

夢の中の男

いや、勝手に失礼しておいてこの言葉はないだろう

夢の中の男

しかし、私はしっかり確認した上で入ったが…

夢の中の男

私の推察に委ねるなら、私の力がこの主に負けたと言うだろう

百合園セイア

夢の中の男

だがやはり証言が必要だ

百合園セイア

やはり、物語の結末は変えられないな…先生

夢の中の男

こんにちは、狐さん

百合園セイア

…ふむ、こう見えても私は人間の1人だ

夢の中の男

これは失敬

夢の中の男

あなたの特徴的な耳から人に化けた狐かと

百合園セイア

勝手に人の夢に入っておいて、やけに礼儀さを持ち合わせているな

夢の中の男

おや、分かっていましたか

百合園セイア

自分の物は己で管理しなければな

百合園セイア

それはさておき、君は何者だ?

夢の中の男

予言者…といいましょうか?

百合園セイア

ほう?君は何を予言するおつもりだい?

夢の中の男

私もそうしたいのは山々ですが…生憎、意味がないようで

百合園セイア

都合がいいね、君は

百合園セイア

別に私は預言者でありたいと思っていないがね

夢の中の男

ですが、予言者が預言者の夢に現れる…なんて不思議なことでしょう

百合園セイア

そうだね…君は私の何処まで知っているのかい?

夢の中の男

わざわざ私が、あなたについて紹介して何の意味があると?

百合園セイア

ちょっとした暇つぶしさ

夢の中の男

残念がならそのような能力は持っていません

夢の中の男

ですが、「波長を感じた」といいましょうか

百合園セイア

…適当な言葉も時には的を得ることがあろう

夢の中の男

どうやら間違ってはいないようですね

 

夢の中の男

少し座りたい気分だ

夢の中の男

それに丁度よく、君の座っているベンチの隣…空いてますね

百合園セイア

好きにして構わないよ

夢の中の男

読まれてしまったか…流石は預言者

百合園セイア

揶揄うのはいいが、度を超えないように

夢の中の男

では…

夢の中の男

しかしこの夢…ありきたりな夢にしては現実的で…具体的だ

夢の中の男

ゲームでもあるように、視る者の視界外は簡易的に形を変えたり、姿を消したりするが…

夢の中の男

かと言って、現実と言っても、空想的、雲のような感覚だ

夢の中の男

それに、現実だったら私は存在できない

百合園セイア

さっきから呟いている様だが、何かあるのか?

夢の中の男

私は考え事が口から漏れ出してしまう癖があるのさ

百合園セイア

密かにしている事を公に出してしまっては意味がないだろう?

夢の中の男

秘密にしたい事なんてありませんよ

夢の中の男

もとい、私の話を聞きたがる人なんていないです

百合園セイア

人とは何事にも興味を持ってしまう歯車の様な生き物だ

百合園セイア

実際、私は君の話に興味がある

夢の中の男

人間は物好きですね

百合園セイア

…これは誰でもないこの場所が視る夢だ

夢の中の男

これはまた面白い事を

夢の中の男

ですが、ここにはあなたがいる…でしたらこれはあなたの夢では?

百合園セイア

あくまでも私はその権限を持っているに過ぎない

百合園セイア

結局、人間の夢はこんな具体性は無いのだからな

百合園セイア

でも、そうだな

百合園セイア

確かにこれは私の夢だ

百合園セイア

私だけが許され、私だけが好きに扱える

百合園セイア

私はこれを予知夢として扱わせてもらってるよ

夢の中の男

ではこれは君の世界の未来ですか?

百合園セイア

いや、私の説明不足だな

百合園セイア

これは夢、予知夢でありながら、時には現実世界を反映させる…

百合園セイア

謂わば、モニターの様な概念だ

夢の中の男

だから、私が存在できるのですね

百合園セイア

そうか、君は夢の中でしか存在できないのか?

夢の中の男

あくまで、そう言われてるだけです

百合園セイア

ならばその誤解を解かせば良いのでは無いか?

夢の中の男

ネタバレするのは好きではないです

百合園セイア

そうか…

百合園セイア

流石に景色が変わらないのは少し飽きてしまうか

百合園セイア

では…

夢の中の男

何処へ?

百合園セイア

散歩だよ

百合園セイア

折角だから、君も同行するかい?

夢の中の男

ええ、私は少しこの世界に興味を持ってしまったので

ドガァァン!

夢の中の男

おっと、危ない危ない

百合園セイア

ここは夢の中だぞ

百合園セイア

幾ら現実世界とリンクしているとはいえ、現実からは干渉できないからな

夢の中の男

そうでした、まるで映画の4dxみたいだったからね

夢の中の男

にしても、何処もかしこも争いが巻き起こっていますね

百合園セイア

結論から言えばこれは人が作った地獄だ

百合園セイア

個人個人の誤解が混じり合い、いつかは物語すら変えてしまう渦を形成し

百合園セイア

それらから憎しみと恐怖と混乱が溢れ出た結果だ

夢の中の男

やはり人間はとても複雑ですね

百合園セイア

そうだね、実際古則にこう書かれている

百合園セイア

「理解できないものを通じて、私たちは理解を得ることができるのか」

百合園セイア

これに当て嵌めるなら

百合園セイア

「他人の感情と言う理解できないものは、本当に理解できるか」

百合園セイア

と解釈できる

夢の中の男

そこまで探求されているのなら、理解し得ることもないでしょうか

百合園セイア

もう少し届きそうな所で達成できない事だってそう少なくないさ

百合園セイア

ほら、目の前のあの子たちもだ

夢の中の男

あの子たちも、あなたのように天輪が付いてますね

百合園セイア

これは、私達には欠かせないものだよ

百合園セイア

意識の表れであり、命の紋章でもある

百合園セイア

もし天輪が砕けてしまう事態が起きてしまうのはある意味禁忌とされている

夢の中の男

大体察せますね

夢の中の男

しかし、楽に逝けないのも、中々苦しそうではないですか?

百合園セイア

まさか、誰も死にたいとは思わないさ

百合園セイア

尤も、死とは無縁な世界だったからね

夢の中の男

此処は?

百合園セイア

私の学校さ

百合園セイア

いつもは此処で景色を眺めているね

夢の中の男

ふむ、此処からの景色もいいですね

夢の中の男

ですが、あの惨状もはっきり見えるんですね

百合園セイア

そうだな、夢に入るたびにこの予知夢を見てしまっては良い気分にはなれなかったな

夢の中の男

予知夢と言っていますが、どうしてあなたは未来を変えようとしないのですか?

百合園セイア

百合園セイア

私に変えられると思っていないさ

百合園セイア

そうさ、こんな能力を持っていたとしても

百合園セイア

決められた未来は変えられない…

夢の中の男

うーん、私が予言者として現れた夢の主は、皆変えようと努力していましたよ?

百合園セイア

君の言う予言と私の言う預言とは違うだろう?

夢の中の男

確かに、私の予言は前もって未来の起こる事態を語るだけ

夢の中の男

そして、あなたの預言は何かしらの力により発現するものでしょう

夢の中の男

しかし、預言という不可解な概念を変えられない運命だと決めるにはあまりにも早く、小さなものではないでしょうか?

夢の中の男

未来というのは、過去の時点でそう決められたとしても、その時点に到達するまでわからないものです

百合園セイア

では、君は変えようと思うのかい?

夢の中の男

私は、世界が滅ぼうなどどうでもいいですが

夢の中の男

今まで会ってきた人のうちの1人はそう言っていました

百合園セイア

はぁ…

百合園セイア

それを考えた上で人は苦労するものだよ

 

夢の中の男

ふむ、どうやら来客のようです

百合園セイア

来客?あ

先生

百合園セイア

先生か…

百合園セイア

運命に抗おうとした結果、ここへ辿り着いてしまったらしいね

夢の中の男

まるで此処が死後の世界のような発言ですね

百合園セイア

実際そうだろう、お互い瀕死の私と先生しかいないのだからな

夢の中の男

それも一興ですね

夢の中の男

ですがこのような事態は果たして予測できたでしょうか?

百合園セイア

どういう事?

夢の中の男

あなたはこちらの先生が此処へ来訪する事は予知夢で知り得なかった事です

夢の中の男

つまり、物語が変化しているのですよ

百合園セイア

変化?

夢の中の男

私にとって変化は、何かの始まりであり、何かの終わり

夢の中の男

もしかしたら、苦痛は此処で終わり、新たに幸福が訪れる‥なんてことがあるかもしれません

百合園セイア

夢の中の男

ですがこの考えもあくまで部外者の考えです

夢の中の男

1番分かっているのはあなたですから

夢の中の男

どう捉えようが構いません

百合園セイア

そうか…感謝するよ

夢の中の男

では、此処でお暇させて頂こう

夢の中の男

これから何か大事な話が始まりそうなのでね

百合園セイア

おっと、言われなくても分かってしまったか

夢の中の男

それでは、ご縁がありましたら

夢の中の男

またいつか

その言葉と共に、突然現れた男はお辞儀をし、ドアから出ていった。

百合園セイア

百合園セイア

変化か…

百合園セイア

もしかしたら、私の予想もつかない奇跡が起こるだろうね…

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