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主
事故現場の夜明け。
救出が終わり、街は静けさを取り戻していた。
えとは息を整えながら、瓦礫の隙間から昇る朝日を見つめていた。
ゆあん
赤い瞳が真剣に揺れる。
ゆあんがそっと声をかける。
えと
えとは少し素っ気なく答えたが、心の奥がざわつく。
ゆあん
ゆあんの声は柔らかく、それでいて強く、えとの胸に響く。
えとは鎌を抱え直し、視線を逸らす。
えと
ゆあん
ゆあん言葉を止め、えとの目をじっと見つめた。
ゆあん
ゆあん
えと
思わずえとは顔を背ける。
胸の奥が熱く、動悸が早まるのを抑えられなかった。
ゆあん
ゆあんの赤い瞳が揺れる。
真っ直ぐで、迷いのない光。
えとはその視線から逃げたくなるのに、足は自然と彼の方へ向いていた。
えと
吐き出した言葉は震えていた。
普段は冷静で、サバサバしているえとが見せる、唯一の弱さだった。
ゆあんは微笑むと、そっと彼女の手に触れた。
ゆあん
朝日が二人の影を長く伸ばす。
死神と天使——禁じられた存在同士の心は、今、互いに確かめ合った。
世界の掟も、二人の気持ちには、もう届かないかのようだった。