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あの夏が飽和する

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あの夏が飽和する

1 - あの夏が飽和する

♥

50

2019年05月31日

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いじめっ子

おら死ねよ!

さき

やめて...やめてよ...!

いじめっ子

あ?なんて言ってんだよ!

さき

(痛い...痛い...!)

さき

やめてってば!!

さき

.........!?!?

この物語は僕と、君の最後の思い出のお話。

ゆうき

さきー!

ゆうき

一緒に帰ろう!

さき

......

ゆうき

...?

ゆうき

どうしたの?

さき

っ!?

さき

ねぇゆうき...ちょっと来て...

ゆうき

(...今日はいつもとだいぶ違う...)

ゆうき

(どうしたんだろう...)

屋上

さき

あの...さ

さき

昨日ね...人を殺したの

唐突だった。

僕はびっくりして唖然とする

ゆうき

いや...え?

さき

理解出来ないのも分かる...けど

さき

聞いてほしいの

さき

あのね、殺したのは、私の隣の席に座っているいじめっ子...

さき

ゆうきは私がいじめられているのを知ってるよね...?

「知っているよね...?」

その一言で胸に殴られたような痛みが走った

いじめられていても助けられなかった自分を憎んだ

ゆうき

...う...ん

さき

昨日ちょうどいじめられてるときに、我慢できなくなって

さき

肩を押して...花壇の角に頭を...

ゆうき

そうなの............

ゆうき

さきはこれからどうするの...?

さき

そうだね...もうここら辺に住んでいたら家族に迷惑かかるし、

さき

どっか遠いところで死のうかなって思ってる

ゆうき

えっ...悪いのはいじめっ子なのに!さきが死ななくてもいいじゃん!

ゆうき

僕さきが死んだらやだよ!?

さき

ううん...もう決めちゃったことだから

さき

たしかにいじめられてたのは事実だけどそれ以上に人殺しはだめだから...

さき

償わなくちゃ...

ゆうき

...さきが決めたのならもういいよ

さき

...うん、じゃあ私行くね

さき

また会えたら...

ゆうき

待って

ゆうき

僕も行く

ゆうき

連れて行って

さき

...だめだよ

ゆうき

ううん...僕だっていじめっ子をこもままにしてたんだ

ゆうき

さきのいじめを止められていれば...

ゆうき

こんなことは起きなかった

ゆうき

だから僕も行く必要がある

さき

...本当におせっかいなんだから

ゆうき

...あはは...

さき

じゃあ家に帰って準備しよう

ゆうき

そうだね

僕らは走って家に帰った

普通は、怖い、だとか不安があるはずなのに今の僕の心は、わくわくしていたんだ

ゆうき

じゃあ...財布と......

ゆうき

ナイフも一応持っていこう

さき

そ、そんなんいらないよ!

さき

危ないし!

ゆうき

さきを守るためならなんでもいいよ

ゆうき

僕だって死んでもいい

さき

......ありがとう

さき

それでさ、それでさ、この部屋のこと荒らそう!?

さき

思い出のもの全部壊していこうよ

さき

あの写真も!

さき

引き出しに入ってる私とゆうきが書いた日記も...!!!

ゆうき

...そうだね

そして僕らは逃げ出した

さき

どこに行けばいいんだろう...

ゆうき

こうやって考えたら世界って狭いんだね

さき

そうだね

さき

...お母さんお父さんに悪いことしちゃった...私悪いこだ...

ゆうき

そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!

ゆうき

ほら!こんな時でも笑おう!

さき

あはは...ゆうき泣きながら笑ってるー!

ゆうき

お父さんとお母さんなんていいよ

ゆうき

2人だけで逃げよう

ゆうき

でさ、誰もいなくて、静かなとこで2人で死のう!!

さき

うん!

ゆうき

ていうかさ...この世界に価値なんてないよね

さき

なんで?

ゆうき

嫌だってさ、人殺しなんてそこら辺にいるじゃん

さき

...そうだねぇ

さき

世界って物騒だ

ゆうき

だからさ、人殺した自分だけが悪いなんて思わないで!

ゆうき

分かった!?

さき

分かったよ!

ゆうき

あのさ...僕たちって誰にも愛されなことなんてなかったね

さき

いやそれいいすぎ!

ゆうき

それもそうだけど...

ゆうき

僕は家族に愛されていなくて、

ゆうき

さきは友達から愛されてない...

さき

友達から愛されてないってなにー

その時

さきの目から涙が出てきた

さき

なにこれ...っ!な...んでっ

この時の様子から、人生で相当辛かったのが分かる

ゆうき

大丈夫...!大丈夫...!!

ゆうき

だから泣かないで

いつの間にか僕も泣いていた

そして、さきが言葉を紡ぐ

さき

ねぇ...私たちが漫画とか、アニメとかで見てきたさ、

さき

正義のヒロイン達ならこんなんになった私たちもきちんと救ってくれたのかな...!?

ゆうき

そんなんもうどうでもいいよ

ゆうき

この世界に「いいやつ」

ゆうき

なんていないんだから!

ゆうき

そして僕達...いやこの世界になんてシアワセの4文字なんてないんだから!

ゆうき

それはいままでの人生で分かるでしょ...!?

さき

...自分は悪くないって思ってもいいのかな!?

さき

この世界に良い奴なんていないんだよね!?

さき

なら自分が悪くないって思ってる人もいんんじゃないの...?

ゆうき

...うん...!

さき

ならその人と同じようにさ、私もそうやって思ってもいいかな...

ゆうき

いいんだよ!きっと大丈夫!

金を盗んで

2人で逃げて

どこでも行ける気がしたんだ

でも、そんな夢は一瞬で砕け散った

ゆうき

はぁ...はぁ...

さき

ゆうき...水もうない?

ゆうき

...うん

視界がぐにゃぐにゃしている

僕たちの耳にセミの鳴き声が響く

そんな時、おじさん達の怒りの声が聞こえた

さき

ひっ!

ゆうき

走って...!走って!

さき

もうだめ...

さき

私はもういいからゆうき逃げて!

ゆうき

そんなんできるわけないでしょ!?

さき

あっそぅぅぅだ!!

さき

ゆうき!ナイフかしてぇ!

ゆうき

こんな時に何に使うんだよ!

ゆうき

はい!

さき

結局貸してくれるのね

さき

ゆうき、先いって

ゆうき

なんで!

さき

いいから!私は大丈夫!すぐ行くから!

ゆうき

...約束だよ

さき

...やっと行ってくれた

さき

ゆうき...ここ見ないでね...!

心配で、木に隠れてさきを見る。すると、急に振り向いた

さき

...ゆうき!大好き!!!

さき

ゆうきがこれまで一緒にいてくれたからここまでこれたの

さき

迷惑いっぱいかけた

さき

だから、死ぬのは私だけでいいよ

ゆうき

え!?

ゆうき

ちょっとまっ...

ザクッ

ゆうき

え...?

目の前には思いもよらない光景が

さきが首を切った

それは、白昼夢を見ている気がした

気づいたら僕は捕まっていた

そして、さきはいなくなった

3年後

ゆうき

3年たった今でもさきのこと...忘れないでいるよ...

お墓の前に立ち、線香をあげる

ゆうき

家族もさ...クラスの人もいるのに...なんでさきだけいないんだろう、ってずっと考えてるよ

ゆうき

あの夏は君と僕の最後の思い出...だね

ゆうき

もしもさきが生きていたら...言いたかったことがあるんだ

ゆうき

まぁ今言うことじゃないんだけど、あの時、ささえるためにいっておけだよかったね

ゆうき

じゃあ、言うね

ゆうき

「さき、さきは何も悪くない」

ゆうき

「悪くないから、もう頑張るのはやめよう」

ゆうき

「この生活を...投げ出してしまおう」

ゆうき

そう言って欲しかったんだろう?

ゆうき

なぁ...?

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