テラーノベル
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剣持刀也は布団の中で何回目だかわからない寝返りを打った。
明りを消して、目がさえてしまうだろうとスマホも遠ざけて、何時間も経ったのに。
普段なら眠くなりそうなヒーリングミュージックも今日は耳障りに感じて消してしまった。
knmc
諦めて手にしたスマホから、LINEに一言、つぶやいた。
「話したい」でも「会いたい」でもない。 「寂しい」でも「苦しい」でもなかった。
既読がつかなくても別に良かった。 でも、返事が来た。
kid
数十分後、
kid
のメッセージ。 玄関を出て降りていくと、甲斐田くんの車が見えた。 駆け寄り、助手席を覗き込む。
kid
僕が助手席に滑り込むと、甲斐田くんは車を発進させた。
甲斐田くんの車は深夜の街を抜けて、高架の道路へ上がっていく。
湾岸を走り抜ける車窓には高層マンションやコンビナートが作る灯の群れが流れていく。
僕も甲斐田くんも何も話さず、車内BGMもない。
車の走行音だけがずっと聞こえていた。
甲斐田くんはしばらく車を走らせた後、人もまばらな深夜のPAに車を停め、 自動販売機で買ったホットカフェオレの缶を僕に手渡してくれた。
kid
knmc
kid
心地よい沈黙が、コンビナートの灯に吸い込まれていく。
kid
knmc
kid
knmc
kid
kid
ただずっと僕の味方でいてくれる君の優しさが好きだよ。
届かなくていい、いまはまだ。このままで。
- 完 -
コメント
2件
イチャイチャ甘々ももちろんいいんだけど、自然体でいられる距離感とか空気感っていいですよね。 いつもコメントありがとうございます。 ほんとうに励みになります! あまりにもポエムすぎて誰もついてこれないかなぁ…と不安に思ったりもしていましたが、これからも上げさせていただきたいと思います。
なんか絶妙な距離感の2人、いつまでも見ていられますね... 次回作も読みます...!