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叶
叶
葛葉
叶
葛葉
叶
それだけ残して、叶は俺の前から消えた
葛葉
俺はいつもこいつの運命を変えることができない
叶のことを見つけるのが苦なわけではない
ただ、叶がいない日々が辛い
水をやらないと枯れてしまう花のように
俺にとって叶はいなくてはならない存在だから
葛葉
俺の何回目かの旅が始まった
葛葉
それは突然だった
信号が変わるのを待っていた時
横断歩道の向こう側に毎日想い続けていた姿が見えた
どうする、どうすればいい
悩んでる間にも信号の赤いバーは着実に減っていく
あと一本
どうすればいいんだよ
少ししてから、さっきまでうるさいほど目の前を走っていた車の動きが止まり、横からたくさんの人が歩き始める
叶もどんどん近づいてくる
葛葉
叶
叶
そりゃ驚くよな
いきなり腕掴まれて引っ張られてたら
葛葉
叶
ここまで来ればゆっくり話せるだろう
叶の白い腕を掴んだまま、住宅街にある小さな公園に来た
叶
葛葉
「何も考えずに連れてきてしまった」
なんて言ってもきもいだけだし
「会いたかった」
なんて言ってもきもいだけだし
、、何言ってもきもいな
葛葉
それだけ言って叶を抱きしめる
叶
抱きしめられてるんだけどなに?
なんで僕初対面の人に抱きしめられてんの?
叶
「何してるんですか」
そう言いかけてやめた
僕に抱きついてる人から鼻をすする声が聞こえたから
わからない
この人が誰なのかも
この人の匂いを懐かしいと感じるのも
僕の頬を伝う涙も
何も分からない
葛葉
僕が泣いてるのに気付いたのだろう
はっとしたように僕の体から離れる
叶
叶
叶
何を知ってるのか
叶のことは知りすぎなくらい知っている
好きな食べ物も、仕事中の真面目な顔も、夜のえっちな顔も、何もかも
葛葉
葛葉
葛葉
葛葉
叶
葛葉
葛葉
葛葉
葛葉
恥など一切なかった
土下座でも何でもする
また叶の隣にいれるなら
また叶の笑顔を見れるなら
叶
叶
叶
叶
叶
そう言って微笑む叶
久しぶりに見た叶の笑顔がとても綺麗で
葛葉
叶の戸惑う声が聞こえたが、
聞こえないふりをする
叶の小さな口から声と唾液が漏れる
叶
葛葉
葛葉
葛葉
「運命」には逆らえない
良くも悪くも、ね
叶
照れる叶を家に連れていき、久しぶりの体温に溺れた