煌びやかな音楽が鳴り響く中、4人はそれぞれの役割を胸に動きだしていた
パーティーは華やかで、笑顔と乾杯の声が飛び交っている
だがその裏では、彼らの目がひとつの目的だけを捉えている――アーベント社と裏社会の接触者
K
……少し、落ち着いて行動してねぺいんと

P
落ち着いてるって!超自然体!

K
その自然体がいちばん怪しいんだって

P
うわ!いったぁ

P
テーブルに足ぶつけたぁ

T
おい!大声出すなって

P
わざとじゃないって!

P
テーブルが勝手に来たんだよ

T
テーブルは動かねぇよ

S
ぺいんとさん、目立ちすぎですよ

S
あとで自然体講座でも開きましょうか?

P
笑笑

P
いらねぇよ笑

場の空気が一瞬緩んだが、クロノアは視線を鋭くしていた。
K
(――怪しい。さっきから、壁際に立って誰とでも話さずにいる男)

K
(見るとただの来賓に見えるが、時折ポッケットの中を触っている仕草が気になる)

K
しにがみくん

K
右奥の壁際、グレーのスーツの男。身元照会できる?

S
少々お待ちを

S
出ました

S
名前は烏丸 煉。表向きは投資家ですが、裏では武器密輸の仲介をしている人物です

K
やっぱりな

K
あいつ、狙い目だ

P
なんだって?

K
もうちゃんと聞いといてよ

K
怪しいヤツを見つけた

K
多分こっちの本命と繋がってる

P
おっしゃ!じゃあ話しかけるか

T
いや、やめとけ

P
なんでだよ!

T
お前が話しかけたら怪しいヤツより怪しく見えるからだよ!

P
失礼な!

K
おっ、

K
……動いたな

P
追いましょう

P
おわっっ

通りすがりのウェイターと激突してしまった。
手にしていたグラスが宙を舞い、シャンパンが見事烏丸の背中に直撃した
P
…………………………

烏丸 煉
……貴様、何者だ?

P
えっ、あの、その……酔ってて手が滑ってしまって……

烏丸 煉
酔ってるだと?パーティーに見ない顔だな

T
おい!ぺいんと引け!

S
まずいです

S
ぺいんとさんのせいで警備が動き出しました

P
あ、あのすみませんでした

P
行かなくちゃいけないのですみません

烏丸 煉
……

P
はぁはぁ終わったかと思ったわ

P
てかぺいんとさんのせいって言うな!

S
だって事実ですよ

P
うるせぇ!

慌てて会場を離れようとするぺいんととクロノア。しかし既に数人のスーツ姿の男だちが2人を囲んでいた
P
あ〜あ。やっちまったな

K
今更遅いよ

S
作戦変更です

S
ここで引き下がると怪しまれるので、正規の客として堂々と通してください

S
トラゾーさん、サーバーへの侵入準備は?

T
こっちもギリギリ

T
だけどあと数分あればデーターが抜ける

S
了解

S
全員時間を稼ぎましょう

K
先程は失礼しました

K
実は少しお話したいことがあるんです

烏丸 煉
……ほう?

一触即発の空気の中、任務は予想もしていなかった方向へと進み出していた