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ドラケン
息を切らして駆けつけたドラケン、三ツ谷、場地、千冬の目に飛び込んできたのは、最悪の光景だった。
数人の「業火」のメンバーに囲まれた広場の中央。
業火の総長に羽交い締めにされているボロボロのタケミチの姿があった。
そして、その首筋には、冷たく光るサバイバルナイフがピタリと押し当てられている。
業火の総長
業火の総長
業火の総長
ギリッ、とドラケンが奥歯を噛み締める。
距離にして約十メートル。
ドラケンや場地たちのスピードなら数秒で詰められるが、相手の指先が少し動くだけでタケミチの命が危ない。
手出しができない、最悪の距離感だった。
場地
場地
業火の総長
業火の総長
業火の総長
狂気に満ちた総長の要求に、 三ツ谷の額に青筋が浮かぶ。
武道
武道
業火の総長
ナイフの刃がタケミチの首に少しだけ食い込み、ツーッと一筋の血が流れる。
ドラケンたちは拳を血が滲むほど握りしめ、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
その時である。
——パリッ。シャリシャリ……。
業火の総長
業火の総長が怪訝な顔で音のした方—— 森の更に奥の暗がりへ視線を向けた瞬間。
闇の中から、真っ赤なりんご飴を二つ持った、甚平姿の小柄な少年がゆっくりと歩み出てきた。
マイキー
マイキー
マイキー
右手のりんご飴を美味しそうに齧りながら現れたのは、東京卍會総長・佐野万次郎。
その瞳には、一切の感情が宿っていなかった。深淵のように真っ黒で、冷たい瞳。
業火の総長
業火の総長
シュッ!!! ——ドゴォォォォォンッ!!!!!
サバイバルナイフを持つ男の顎を、下からカチ上げるような完璧な軌道の飛び蹴り。
骨が砕ける鈍い音と共に、業火の総長の巨体が、まるで重力に逆らうように数メートル上方へと打ち上げられ、そのまま白目を剥いて地面に叩きつけられた。
即死レベルの、完全なるワンパン。
「「「…………え?」」」
業火のメンバーはもちろん、ドラケンや場地たちでさえ、あまりの理不尽な暴力と、その理由(デートの邪魔をされたから)のシュールさに、完全に唖然として固まっていた。
マイキー
地面に倒れた大男を一瞥もせず、マイキーはタケミチの首筋の傷を心配そうに見つめ、持っていたもう一つのりんご飴をヒョイッと差し出した。
マイキー
武道
ドラケンはこめかみを押さえながら
ドラケン
ドラケン
気絶した業火のメンバーたちを縛り上げている最中、三ツ谷が広場の奥に隠されていた大量の不審な筒と導火線を発見した。
三ツ谷
三ツ谷
三ツ谷の指差す先には、神社が用意していた大型の打ち上げ花火の筒があった。
業火の連中は、それを夜空ではなく、祭りの会場に向けて発射し、火の海にするつもりだったのだ。
場地
マイキーは手元のりんご飴をじっと見つめ、それからタケミチの方を振り返った。先程までの冷たい瞳は消え、またいつもの無邪気な子供のような笑顔に戻っている。
マイキー
三ツ谷
ドラケン
——数十分後。
祭りの会場から少し離れた、高台の公園。
エマと日向は、屋台で買ったベビーカステラを食べながら、夜空を見上げていた。その後ろには、腕を組んだドラケンや、笑顔の三ツ谷たちの姿がある。
エマ
ヒュルルルルル……!
ドーン!!!!!
暗い夜空に、巨大な光の華が咲き乱れた。赤、青、金。色とりどりの火花が、 夏の夜を眩しく照らし出す。
日向
ドラケン
三ツ谷
ドラケンは夜空を見上げながら、呆れたように、けれどどこか優しく笑った。
ドーーーーン!!!
︎︎
武道
武道
武道は、目をキラキラと輝かせながら夜空を見上げている。
花火の光が、彼の横顔を明るく、そして暗く、チカチカと染め上げていた。
マイキー
タケミチがふと視線を横に向けると、マイキーは夜空の花火ではなく、頬杖をつきながら、じっとタケミチの横顔を見つめていた。
武道
武道
マイキー
武道
︎︎
武道
武道
武道
タケミチが苦笑いしながら息を吐き出すと、マイキーは少しだけ目を伏せ、手に持っていたりんご飴の棒をくるくると回した。
マイキー
武道
マイキー
マイキー
マイキー
マイキーの手がそっと伸びてきて、タケミチの首筋についた浅い切り傷を、親指で優しく、壊れ物を扱うようになぞった。
少し冷たいマイキーの指先に、タケミチはビクッと肩を揺らす。
武道
武道
武道
マイキー
そして、自分の隣に転がっている、泥だらけになった特大のクマのぬいぐるみを指差す。
マイキー
マイキー
マイキー
マイキーがぬいぐるみに手を伸ばそうとした瞬間、タケミチは慌ててそのクマを両手で抱え込んだ。
武道
マイキー
武道
武道
泥のついたクマをギュッと抱きしめながら、タケミチは少し照れくさそうに笑う。
武道
武道
武道
その言葉を聞いたマイキーは、目を丸くして、ほんの数秒だけ瞬きを忘れたように固まった。
そして、何かを堪えるようにフッと息を吐くと、突然タケミチの肩にコテンと頭を乗せてきた。
武道
マイキー
武道
マイキー
マイキー
マイキー
マイキー
︎︎
甘えるような、少し鼻にかかった声。その重みと体温に、タケミチは何も言えなくなり、ただ花火の音だけが二人の間を埋めていく。
ドォォォン!!!!
マイキー
マイキーはタケミチの肩に頭を乗せたまま、自分の持っていたりんご飴をタケミチの口元に差し出した。
マイキー
武道
武道
タケミチが真っ赤になりながらパリッと飴を齧ると、マイキーは満足そうに微笑み、今度は自分がその隣の赤い飴を齧り取った。
シャリッ、と甘い音が響く。
マイキー
マイキー
マイキー
マイキー
マイキー
マイキー
花火の光に照らされたマイキーの横顔は、東卍のトップとしての威圧感は全くなく、ただの等身大の、寂しがり屋の少年の顔だった。
武道
マイキー
武道
マイキー
マイキー
ドーン!!
今日一番の大きな爆発音が鳴り響き、夜空を眩いほどの白銀の光が埋め尽くす。
タケミチは、肩に乗るマイキーの確かな重みを感じながら、これ以上ないほどの満面の笑みで頷いた。
武道
武道
武道
マイキー
武道
夜空に咲く大輪の花火の下、二人の他愛のない笑い声が、夏の夜風に溶けていった。
泥まみれのテディベアは、そんな二人の様子を、すぐ傍で優しく見守っているようだった。