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君色キャンパス

1 - 君色キャンパス

♥

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2020年01月10日

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寧々

…おはよ

おはよ。

白い息が口元を濁らせる

マフラーが恋しい季節

寧々

つかにぃ、今日は朝練ないんだ?

まぁなー…

今日だけは

クシャッと目尻に シワを作る笑い方

10年前とずっと変わってないなぁ

昔から家が近くて ずっと二人で遊んでたっけ

寧々

……そっか。

ちょっと嬉しかったのは内緒

この気持ちも10年前から ずっと変わってないからさ

人気のない通学路はいつも なんだか寂しい感じがあるのに

君がいるだけで

特別な道を歩いているみたいだった

寧々

雪降らないかなぁー!

子供か

寧々

まだ未成年ですーっ

ハイハイ、14歳のお子様でしたね

寧々

子供扱いすんなし。

未成年なんだろ?

寧々

うっ……

自分だって未成年のくせに

2つ年上だけど…!!

そっちは?

美術部のコンクール近いんじゃないの

寧々

うん、そうだよー?

余裕そうだな

寧々

そりゃぁ…

寧々

つかにぃの絵と比べたら…ねぇ?

煽るようにつかにぃを覗き見ると

拗ねたみたいに 顔を背けるつかにぃ

そんなちょっと子供っぽいとこも

変わんなくて ずっとずっと

好きだよ、つかにぃ

じゃあ、俺は駅だから

寧々

んー、じゃーね!

思いっきり手を振ると 優しく笑って返してくれた

後輩くん

先輩、

寧々

んー?

放課後の部活時間

いつもの美術室

後輩くん

今日…

後輩くん

一緒に帰りませんか?

寧々

え?

不意の一言で咄嗟に出た言葉

後輩くん

あ…いや、ダメだったら全然

寧々

ううん、そういうことじゃないの

無意識に威圧的になってしまった かもしれない

そんなことを胸の内で懺悔しつつ

寧々

全然いいよ

寧々

昇降口で、待ってるね

そっと笑って絵に戻った

学校の登下校はいつも一人だ

友達とは家が真反対だし

つかにぃは私より遅いから

今日の下校は ちょっぴり楽しみかも。

つかにぃが居てくれたら もっと楽しいんだろうけどな。

後輩くん

それで、うちの猫が──

寧々

なにそれ可愛いっ!

後輩くん

本当に猫が好きなんですね

笑いながら話す後輩くん

猫を飼っているらしく 猫好きな私は気分が上がった

寧々

そういう奏四くんだって

寧々

ニヤけながら話してるじゃん!

後輩くん

え、本当ですか?!

慌てて顔を覆う後輩くんに 笑いが込み上げてくる

寧々

愛猫ちゃん、大事にしてね

後輩くん

もちろんですよ!

その顔は自信に満ち溢れていて

寧々

いいなぁ、うちも飼いたい

後輩くん

え?

寧々

私のお父さんがアレルギー持ちでさ

寧々

早くひとり暮らししたいなぁー!!

その言葉と同時に伸びをする

凝り固まった背中が音を鳴らした

後輩くん

ずっと座って絵描いてると凝りますね〜

寧々

恥ずかし…

ばつが悪くなって目を逸らすと 反対の歩道につかにぃが見えた

寧々

あ、つかに…

後輩くん

寧々先輩?

後輩くん

知り合いですか?

寧々

……うん

後輩くんもつかにぃの方を見る

つかにぃの隣には 同じ制服を着た女の人がいた

誰だろう、あの女の人

彼女…かな

寧々

ただの、幼馴染だよ

寧々

さ、帰ろ!

絵の具が滲んでいくみたいに 悲しい想いが胸に広がる

滲んだ視界もタイミング悪いな

丁度、つかにぃ こっちに気づいちゃったじゃん

後輩くん

ちょっと、先輩?!

背後から聞こえる 後輩くんの声

つかにぃが、彼女持ちだなんて 確定したわけじゃないのにな

後輩くん

先輩っ!!

後輩くんに回り込まれたことで 行く手が塞がれた

それと同時に、我に返る

寧々

……ごめんね

寧々

せっかく、一緒に帰ってもらってたのに

後輩くん

…いえ

後輩くん

それより

寧々

ん?

ふとつま先を見る後輩くん

後輩くん

僕じゃ、ダメですか?

寧々

え?

後輩くん

あの幼馴染よりも、僕を…

後輩くん

僕を選ぶことは出来ませんか?!

パッと顔を上げた後輩くんは 水泡が弾けたみたいに

紅色に染まって儚い

寧々

奏四くん…?

覚えて間もない名前を呼んだら

後輩くん

せんぱ…

お前ら、何してんの?

寧々

つかにぃ?!

背後から、聞き慣れた つかにぃの声がした

暖かくて、優しくて 安心する声

寧々

つかにぃ、彼女さんは…?

彼女?誰が?

寧々

さっき一緒にいた女の人

あれはマネージャー。

あいつ彼氏いるから、大丈夫だよ

私を安心させるようにそう言って 頭を撫でてくれるつかにぃ

やっぱり、大好きだなぁ つかにぃ。

だーかーら、

君にはこの子渡せないんだ

後輩くん

っ…

何処か不満気な後輩くん

でも、納得したように

後輩くん

お幸せに、二人とも。

後輩くん

帰り道が違うので、失礼します。

清々しい顔で踵を返して行った

俺らも帰るぞ

寧々

うん。

後輩くんとは反対方向に つま先を向けて歩きだした

朝より冷え込んで 手が冷たい

寧々

寒くない?今日。

耐えろ

寧々

やだよー!

寧々

つかにぃだって頬が赤いじゃん

幻覚だ

寧々

何それ!

渾身のツッコミを入れて 体当たりすると

その拍子に手のひらを掴まれた

これで、暖かくなれよ

寧々

へぇー?気が利く所もあるんだね?

…うっさい

目、反らしたから照れたね

耳まで真っ赤なのは 私だけの秘密。

ね、別の意味で 頬が赤いのは私だけ?

これからもこんな他愛ない会話が続きますように

この淡い恋が 色濃く愛になるまでさ。

寧々

寧々

好きだよっ

え?

この作品はいかがでしたか?

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コメント

59

ユーザー

うわー!! めっちゃキュンとしました😫✨ 司くんが寧々ちゃんを渡せないって言うところはにやけまくりました笑 後輩くんも可愛いしいい子ですね。 登場人物全員好きになりますね☺️

ユーザー

司くんと寧々ちゃんが永遠に幸せでいられることをほんとに心から祈っちゃいますね(-人-)

ユーザー

すみません、不具合等ありまして全然コメント出来ませんでした💦 彼女、いるの…😭 って思ったら、マネージャーで、しかも彼氏いて なんか、こっちまでほっとしました🤭 最後の、好きっていうのが もう、想像しただけでにやけちゃいました😍 (いやキモイ)

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