一覧ページ

LINE429

第1話 - あ

2023年03月22日

#恋愛

結城真矢

ミサキ

101号室の女性、排泄介助し忘れちゃったから、よろしくね～

ミサキ

ハマさん、今日歌ったわよ

ミサキ

資料を作成する字が汚いわ

ミサキ

聞いたところによると、巡回する通路に幽霊でるらしいよ…

クレハ

お疲れ様です。

クレハ

あの、ミサキさん。いい加減にしてください。

ミサキ

あら、クレハちゃん、お疲れ様～！

ミサキ

なに、どうしたの？

クレハ

とぼけるのもいい加減にしてください!

ミサキ

なによなになに！そんな落ち着いてって～

クレハ

なんなんですか！

クレハ

毎日、週4くらいのペースで、夜中にライン送るのやめていただけません？

ミサキ

引き継ぎの連絡よ？

ミサキ

何か問題あるー？

クレハ

大ありです！

クレハ

忘れてしまったことを申し出る内容はまだいいんですが…

クレハ

夜中12時から4時の間に、わざわざ送る内容じゃないですよね！？

ミサキ

いいじゃなーい

ミサキ

古参である、ハマさんとの貴重なトーク情報じゃない♡

クレハ

そういう、雑談の様な内容は、日誌に書いていただけませんか？

クレハ

夜中に報告する内容でもないですよね？

ミサキ

若いんだから、その時間起きてるでしょう？

クレハ

起きてる起きてないとか、そういう問題じゃないです！

クレハ

仕事さぼってません？

ミサキ

うるさいわね～

ミサキ

私とあなたとの、一つのコミュニケーションじゃない？

クレハ

コミュニケーションですか…

ミサキ

そうよ～

ミサキ

ひとまわりも私たち離れてるんだから、これくらいねぇ？

クレハ

そうですね…

クレハ

って、納得するはずないじゃないですか！

ミサキ

あらあら、駄目だったかー

クレハ

流されませんよ？

ミサキ

真面目ねー

クレハ

仕事は真面目に行うものです。

クレハ

それに、私が休みの時とか、早朝出勤で忙しいときとか、

クレハ

構わず連絡事項っていう内容で送信してますよね？

ミサキ

ええ、そうよ？

ミサキ

要介護者に必要なケアをしきれなかったら、次の番の方に引き継ぐための

ミサキ

重要な連絡をしているつもりよー。

クレハ

それは、私と交代する時や、日誌に書いていただければいい話ですよね？

クレハ

わざわざ間髪入れずに、夜中にラインはどうかっていう話です！

ミサキ

迷惑かけてたなら、ごめんなさーい。

クレハ

本当に反省してます？

ミサキ

でも、私思ったこととか、すぐ連絡しないと忘れちゃうからさー？

ミサキ

日誌記入するまでなんて、いちいち覚えてられないのよー。

クレハ

そういう業務ですから、そこは何とか頑張ってください。

ミサキ

クレハちゃん、ヘルパーっていう立場なんだからさ。

ミサキ

もう少し、口の利き方には注意してちょうだい？

ミサキ

それとあのね？私一応クレハちゃんの上司っていう立場なんだからね？

ミサキ

そこは、忘れないでよ？

～別のトークにて～

クレハ

お疲れ様です。

クレハ

施設長に相談があるんですが…

コウ

おつかれ。クレハじゃないか、どうした？

クレハ

今、ケアマネをしていただいてるミサキさんとラインしてるんです。

コウ

おうおう、ミサキさんねー。

コウ

君たち、ラインまでする仲だったのか？

クレハ

違うんです。

クレハ

時間構わず、私に引き継ぎ連絡と称したよくわからない内容を送ってきて…

クレハ

迷惑ですって話してるんですが…

コウ

なんだ、困ってる感じか？

クレハ

はい…

コウ

まぁ、ミサキは、よくわからんところあるしなぁ。

コウ

そんな深刻に受け止めないで、適当に流しておけよ～

クレハ

流して終えれるほどの状態じゃあ、ないんですって。

コウ

深く考えすぎだろ～？

クレハ

え、なんか軽くないですか？

コウ

あの人は、前からそういうところあるからさ！

コウ

ちょっと、こう、絡みづらいところあるかもだけど。

クレハ

ちょ、ちょっと！話を聞く気ゼロですよね？

コウ

お互い、同じ同僚として、

コウ

仲間として仲良くしていってね、ベイビーフェイスちゃん。

クレハ

は？

クレハ

ちょ、施設長！？

～ミサキとのラインに戻る～

ミサキ

あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかしら？

クレハ

あ、はい。どうかされました？

ミサキ

ハマさん、これまで実はボケてたふりしてたの、あなた知ってたんじゃない？

クレハ

え？

クレハ

ハマさん、ボケてなかったんですか！？

ミサキ

そうなの。

ミサキ

それでね、あなた、あまり気に入られてないっぽいよ？ｗ

クレハ

どういうことですか？

ミサキ

私に言ってきたの。

ミサキ

クレハちゃん、どうにかやめてくれないかな～って。

クレハ

私、そんなに嫌われてたんですか…

クレハ

なにかしたのかな…

ミサキ

ドンマイだわね～

ミサキ

いつも情緒不安定で、暴れること多かったけど、それも演技だったみたい。

クレハ

そ、そうだったんですか…

クレハ

でも、どうして演技してたんですか？

ミサキ

そこまでは、私にもわからないんだけどね…

ミサキ

それと、ハマさん、あなたのことなんか疑ってるみたいなんだけど。

ミサキ

なんか、隠してることある？

クレハ

隠し事なんて、そんなことしてませんよ～？

ミサキ

ほんとかしら…？

～数日後～

ミサキ

ちょっと？

ミサキ

最近ちんたら行動してない？

ミサキ

やれることはさっさと済ませておいてねって、指導したばっかよね？

ミサキ

若いのに、行動力がないし遅い！

ミサキ

周りの介護士の方なんて、あなたのいくつ上だと思ってる？

クレハ

すみません！

クレハ

ちょっと資料作成に時間がかかってしまって…

ミサキ

言い訳はいらないわ！

ミサキ

言われたことが、すぐにできないだなんて、ヘルパーとして失格だわ。

クレハ

すみません…

クレハ

でも、ちょっと確認したいことがあるんですけど…

ミサキ

なんなの？言い訳をしたいの？

クレハ

そういうことではなくて。

クレハ

ミサキさん、日誌なんですけど、改ざんしてないですか？

ミサキ

はー？

ミサキ

改ざんとか、そんなバカげたことする余裕なんてないわ？

クレハ

いや、でも最近おかしいんですよ。

クレハ

きっちりメモ書きしてたことを日誌に入力して、残しておいたのに

クレハ

全部違った内容になってるんです。

ミサキ

なにそれ？自分で入力したことも覚えてないの？

クレハ

そんなはずはないんですよ。

クレハ

毎回、上書き保存もしっかりして、指差し呼称をしてまでして、

クレハ

パソコンをシャットダウンさせてるんです。

ミサキ

指差し呼称って…工場じゃあないんだから、やめてよね。

ミサキ

なに、もしかして、私を疑ってるとか？

クレハ

はい、ミサキさんなのではと思ってます。

ミサキ

ははｗ馬鹿正直な真面目ちゃんなのね？

ミサキ

証拠はあるのかしら？

クレハ

証拠まではないですが、今週の日誌のページを開いているのは

クレハ

私とミサキさんだけです。

ミサキ

なにそれww証拠ないのに私って決めつける気？ｗ

ミサキ

いい加減にしな、生意気が！

クレハ

勝手な憶測なことはわかっています。

クレハ

ですが、以前と比べ私に対しての接し方が、変わりましたよね？

ミサキ

深い意味はないわ？

ミサキ

ただ、少しでも早くあなたに一人前って言えるぐらいのヘルパーにしたいだけ。

クレハ

そう、でしたか…。

クレハ

それは、本当にありがとうございます。

クレハ

でも、最近なにかとシフトが忙しいんですけど…

ミサキ

なに、まだ文句があるわけ？

クレハ

分刻みになってますよね？

ミサキ

あなたに、少しでも多くの業務を覚えてほしいからよ？

ミサキ

みんな初めはそんなものなの。

ミサキ

これくらいでわーわー騒いでたら、いつまでたっても研修生止まりね？

クレハ

それと最後にもう一ついいですか？

ミサキ

なに？ほんとしつこいのね？

クレハ

ハマさんなんですが、私のことを辞めさせようと自供したことありましたよね？

ミサキ

あー、あったねそんなこと。

ミサキ

それがなに？

クレハ

その内容、ハマさんが言ってたっていうの、嘘ですよね？

ミサキ

は？何を言い出すかと思えばｗ

ミサキ

じゃあ、誰の発言だっていうの？ｗ

クレハ

ミサキさん、あなたの本心じゃないんですか？

ミサキ

私？どうしたら、そう結びつくわけ？

クレハ

先日、私ハマさんとお話をさせていただきました。

クレハ

そしたら、教えてくださいました。

クレハ

ミサキさんは、あなたを辞めさせようと必死だから、気を付けてねって。

ミサキ

は？

ミサキ

ハマさんがそんなことを？

クレハ

はい。

クレハ

それと、実は私、親会社から派遣で送られた、調査員だからです。

ミサキ

へ？

ミサキ

ちょ、調査員ってどういうこと！

クレハ

ここ数年の間、ヘルパーの退職者が続出してますよね？

クレハ

その原因が何なのかという、シンプルな理由です。

クレハ

調査すると、あなたのパワハラが原因ということに繋がりました。

ミサキ

私がパワハラ？どういったことがよ？

クレハ

まず一つは、必要以上に業務を押し付ける点です。

クレハ

過酷なシフト作成をしているといういうことに、判断いたしました。

ミサキ

あの程度は、どこの会社も同じようなもんよ！

クレハ

二つ目は日誌についてですね。

クレハ

これは、これまでのヘルパーさんたちにやっていたことだと思うんですが

クレハ

やっていた業務を改ざんし、すべて自分の手柄にしようとする点です。

ミサキ

そんなでたらめが、通用するとでも？

クレハ

調査中にもわかったことが他にもあります。

ミサキ

は？まだあるわけ？

クレハ

私以外のヘルパーさんのシフトを、故意に間違っていたときありましたよね？

ミサキ

そ、そんなことあったかしら…？

クレハ

私が一人忙しく対応できないときに限って、ハマさんがご飯をまき散らしたり、

クレハ

共用部で粗相したりして、益々激務状態なこともありました。

ミサキ

それだけ聞くと、ただしょうがないだけじゃあ？

クレハ

いいえ？すべて計算されて故意に仕掛けたんだと、私は確信しています。

ミサキ

な、なんでそんなに自信あるのかしら？

クレハ

先ほども申しましたが、ハマさんからすべて聞いています。

クレハ

これまでのヘルパーにしてきた行為を、いつもハマさんは見てきたと。

クレハ

事細かく説明してくださりました。

ミサキ

あんのばばぁ！

ミサキ

よくも勝手なことを！

クレハ

本心がやっと現れましたね。

クレハ

最後にもう一つ、分かったことがあったのですが…

ミサキ

なんなのよ！

クレハ

ミサキさんと施設長のコウさんは、長年不倫関係のようですね？

ミサキ

そ、そのことも…！？

クレハ

施設長にはお子さんがいると聞いていたんですが、それはご存じでした？

ミサキ

そ、それは…！

ミサキ

う、嘘でしょ！？初めて聞いたわ…

ミサキ

じゃ、じゃあ…私の方が…

クレハ

偶然見かけてしまいまして…

クレハ

残業になってしまった時、事務室の明かりがあったので覗いたら

クレハ

夜な夜な至っていて…

ミサキ

そんな場面まで…

ミサキ

あんたと、コウが最近親しいのが気に食わなかったのよ…

ミサキ

横恋慕してるんじゃないかって焦って…

クレハ

これまでのヘルパーの若い方にも、同様に嫌がらせをして、施設長に共謀させ、

クレハ

退職をさせていた。

クレハ

ミサキさんが横恋慕していたようですね…

ミサキ

う、嘘だと言ってちょうだい…

～後日談～

クレハ

その後、施設長であるコウさんの妻から、多額の慰謝料請求をされたらしい。

クレハ

これまでの好意があるからか、コウに結婚を迫るも

クレハ

20代のピチピチならまだしも、お前はいらん。

クレハ

と、けろっと断れ捨てられる羽目に。

クレハ

そのうえ、会社ではフランチャイズ制となっていて、当然ながら役職は降格。

クレハ

一方、施設長のコウさんも事実上の解雇となる。

クレハ

医者である妻から多額の慰謝料請求をされ、離婚。

クレハ

借金で一括払いしたものの、その後は不明となる実態。

クレハ

私はというと、親会社に戻り、視察長に任命されることに。

クレハ

各地にある施設に飛び回り、入居者から菓子などをもらったりして歓迎されました。

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE429

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE429

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧