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季節の変わり目 ちくりとする寒さも乗り越え暖かい桜の季節がやってきた
季節を入れ替えると同時に、環境や物、 人までを入れ替える4月が俺は嫌いだ
慣れれば石ころなんてどうってことない。 中学も最初は傷ついて沢山挫けた
でも慣れてからは相手にされなくなった 反応の悪いおもちゃはいらないんだって
そんなの、こっちからお断りなんだけどな
中学とは違って、高校は流石に皆幼稚な事はしないらしい。陰こそこそ言うだけで行動にはしない。多少賢くなったと思う
先日入学式を終えた俺たちはクラス内での役割決めしていた
話し合いで決まった学級委員も、隣の席の人も、先生も、当然話を振らないから俺は余り物の図書委員になった。
対してこれをやりたいなどという欲は無かったから1人図書委員になった。これも想定内
俺みたいな「化け物」と一緒の委員会なんて無理。 そんな小言を耳にしながら時が経つのを静かに待っていた
両隣のクラスに遅れ俺らのクラスも休み時間になり話し声で溢れる
今教室を出ると廊下で雑談に花を咲かせている人達の視線の的になってしまう
極力悪目立ちをするのは避けたい。 特に廊下に出る用もないしこのまま外をぼうっと眺めていたらあっという間に時間はすぎる
はず、だったのに
普通の人間とかけ離れた見た目を持つ俺に興味を持ったのか、他クラスの女子達が声高らかに俺の名前を呼ぶ
興味というだけでこんなにも人間を馬鹿にしてしまうものなのか。はたまたこの女子達が元から脳が詰まってないのか 答えは言われるまでもなく後者だ
俺も昔より生きるのが上手くなった
人と関わる時は常に笑顔でいること。
ただそれだけで周りからの印象は少し変わる 単純だよね、単純すぎる
もっとはやく知ってたなら俺だって最初からそうしたってのに
俺はこの女子2人に見覚えがあった。 いや、聞き覚えがあると言った方が正しいか、
入学式が終わったあと人気のない場所で俺の外見のことを話していた
顔を見ていないけれど俺は聴覚がいい。だから先日俺を馬鹿にしていた彼女と断定出来た
俺は変わらず笑顔を顔に貼り付けた
俺を呼び出したのはやはり見た目のこと
正直分かりきってた。それ以外呼び出す理由がない
でも彼女らの行動は昨日の言動とは異なって俺の耳と尻尾が気になっているらしい
ほんの少しだけだから触らせて欲しい!と懇願された
陰で言っといてこれか…と呆れが出るがこんなの初めてじゃないから笑顔でやんわり断りを入れた
どうしても気になるのかやたら俺の腕や肩に触れるようになった
正直香水の匂いがきつい。てかそれ以前にべたべたと触れる人間性を疑うレベルで気色が悪い
それでも笑顔を貼り付けた
女子達をどうしようかと頭の隅で考えていると1人の男の子に自然と目がいった
俺とは正反対な艶のかかった黒髪、 同じフロアにいることから同い年だと踏んだ
正直目立つような容姿でも無いし入学式でいたか、と聞かれてもはい。とは言えないと思う
俺よりは多分低いけど長身でスラッとしていて、眼鏡を掛けて大人っぽい顔立ちで、本当に同い年かと疑いそうなくらい
でも凄く目を惹かれたんだ
そんな彼を目にして最初に浮かんだのは言葉は「変な人」
失礼なことだと思ってるけど、別に口にしたわけじゃないから許してくれ。と決して誰にも届かないところで勝手に謝る
だけど本当に変な人だと思った。
俺が廊下に出てきてから皆の視線を独り占めしている。 数人で固まってる人達は口元を隠しながら嫌味、すれ違う人はずっと視線を向けたまま
なのに彼は邪悪な目を向けるわけでも俺を邪険にするわけでもなかった
人間は自分が知らない未確認に興味が湧いて少なからず視線で追ってしまうもの
普通の見た目じゃない俺をまるでどこにでもいる人間のように扱った、
今まで出会ってきた周囲の人達とは違う。俺の、俺の外見に興味を持ち近づいてきた奴らとは違う。
彼は、俺の存在を『どこにでもいる男の子』と扱ってくれた。
それが、心の底からうれしかった
こんなの、初めてだった
いつもは視線に追われる側の俺が、誰をこの目で捉えて追ったのは久々だった
周りにいる女子のことも忘れて隣の3組に入っていく彼の姿を見納め、我に返り真っ白な嘘を吐いてその場を後にした
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それにしても夢の内容、
今から大体1年前のこと、俺が彼のことを気になった日
彼の名前はもふ、と言うらしい。 俺は口にして呼んだことはないけどね
幸運なのか、彼はクラスで学級委員を務めているらしくすぐ名前がわかった
俺が勝手に気に留めていただけで1mmも関わりがなかった。分かったところで意味は著しくないと言えた
俺みたいな見た目が普通じゃないやつから話しかけたら怖がられるかもしれないし、もし普通に対応されたとしても彼にまで風評被害が行くかもしれない
だから変に干渉せず、この関係がずっと続くと思っていた
変に今の関係、生活が変わるのは俺としても嫌だったから、まぁ別にこのままでいいか。と思ってた
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俺がいた中学ではクラス替えなんてものがなく3年間変わらない担任、見飽きたクラスメイト達に囲まれ卒業を迎えた
春休み前に言われたのを今でも覚えている 聞き慣れた言葉じゃなかったから脳裏に留まっていたのだろう
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ここ1年で書き慣れた"1年2組"というものも全て変わってしまうらしい
クラスが変わるなんて機会が無かったから少し寂しさを覚えてしまう
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ここ1年で友達もいなければろくにクラスメイトと話したことがなかった
普通の人みたいに「親友と別れるのだけは嫌だ」とか「また同じになれるといいね」だとか
そんな風に言い合える友達がいたら…俺も違ってたか
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最初から期待はしなければ傷つかない。 とっくの昔にそう割り切ってるはずなのに、朝からなんだか変な感じ
もやもやする気持ちを紛らわすように貼られているクラス名簿を目に通す
すると、3組の欄に今朝夢に出てきた彼の名前を見つけた
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口にして呼ぶ彼の名は初めてとは思えないくらい呼び慣れたような感覚がした
朝早いこの時間はいつもなら人の姿は滅多に見ない。
多方クラス替えが楽しみで落ち着かなくて早く来てしまった、が理由だろう
人気も多くなってきたので早々と教室へは逃げ込んだ
中へ入ると既に1人自分の席に着いていた
よく見なくとも分かった。先にいたのはもふくんだった
"俺だった" からか、驚きが隠せていない様子で先程から俺から目を離さない
驚きの視線に俺も困惑して咄嗟に挨拶をした
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mf
苦し紛れに出たおはようも笑顔を出せた、けど
やっぱ挨拶しなきゃ良かった。と後悔した
笑顔で挨拶したはいいけどやはり普通の見た目をしていない奴から急に挨拶されたら怖いだろう、逃げたくなるだろう
1番は視線に耐え声をかけず静かに自分の席に座ることだったと思う
でも彼の反応は思ってたのとは全く違った
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キョトンとした顔で俺がした挨拶を返してくれ、そして再び手元の教材に視線を戻した
俺は白昼夢を見ているかのようにぼうっとしながら自分の席を確認し席に着いた
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かれこれ3年以上は人に挨拶をしていない しても返されないから
挨拶を返してくれるだけでこんなにうれしいものなの?
自分の頬に熱が籠ってくるのが分かる
挨拶を返されただけでこんな喜んで馬鹿みたい…
そうだ、俺の席は窓側。 7時半の今太陽は完全に昇りきってる
だからきっと太陽に照らされて熱を持ったんだ。 そうに違いない
dn
普通じゃない俺を普通にしてくれる君は
dn
変な人
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