操り人形

母さんは女の子が欲しかったらしい 一緒に可愛い洋服を買ったり メイクしたり そんなのに憧れてたんだって だから男の俺に女の子のような 扱いをする 母さんはいつも俺のことを 「私のもの」と言う 俺は嫌でもこの人のものらしい

昼休み

あまり友達を作るなと言われて 育ってきた 母さん以外は悪い人ばかりだと 言われて 育てられてきた だから俺には友達と呼べる人が 居ない

中学生から同じ学校の ゆうすけ？って人 ず〜っとこんな感じで 絡んでくる 最初は からかわれてるんやろな〜って 思ってたけど最近は 流石に違うってことは分かっている 俺はこの人を友達と 呼んでいいのだろうか？ 俺はこの人の名前を一度も 呼んだことない そんなの俺には資格が ないと思うから

放課後

早よ帰らんな… 母さんに怒られる 心配かけてしまう

家に休まる場所は無い 自分の部屋でさえも… ていうかあまり自分の部屋に居ない 母さんが寂しいらしい だから俺が部屋にいるのは寝る時位

だから何でなの？！

ｶﾞﾁｬ

数日後

自由を願っている？ 俺はこれが一番幸せだと思っている ていうかこれ以外のことを知らない

数ヶ月後 昼休み

なんだか今までで一番美味しい 昼ご飯だった なんだか心が温かい

数日後

今日は昼までの授業 昼ご飯は帰って食べることにした そんなことより急いで帰らないと

ｶﾞﾁｬ

俺の周りには小さい頃からの 小さな糸があった その糸は俺のことを勝手に 動かしてきた 右に行きたくてもその糸が左に 行くと俺は左にいかなくちゃ いけなかった 例え友達に近づこうとしても 糸が離れるから俺も離れなくちゃ 行けなかった

俺はこの糸が切りたかった 自由になりたかった

…でも実際俺はこの生まれてきて 何十年感 数え切れない時間を糸に操られて 暮らしてきていたから 分からなくなった 普段どうして動いてたっけ？ 分からない…俺はこうなりたかったから自由を求めたの？ …こうなりたかったから糸を 切ったの？

プツンッ

ｶﾞﾁｬ

数年後

今、俺は人形じゃない 人として楽しい人生を送っている