鈴蘭
ん…っ
目を開けるとそこは桜くんの部屋だった
朝桜くんを見送った後 少し倒れてしまったらしい
鈴蘭
…部屋、いかなきゃ
ちょうど着いた頃 誰かから電話がかかってきた
鈴蘭
もしもし…?
桐生
うわ〜、案外やばそう?
鈴蘭
桐生…?
鈴蘭
どうしたの
桐生
いや、今日来てなかったから
桐生
何かあったのかなって
鈴蘭
心配してくれたの…?
桐生
そりゃ心配するよ
桐生
桜ちゃん達がずっと鈴の話してたんだから
鈴蘭
…ぽいなぁ
桐生
大丈夫?結構話す速さゆっくりだけど
鈴蘭
ん…
桐生
今頭回ってないでしょ
鈴蘭
へへ……
桐生
何か欲しいものあれば持ってそっち行くよ?
鈴蘭
欲しいもの……
鈴蘭
…りんご…食べたい…
桐生
わかった
桐生
じゃあ、ちゃんと体温測って
桐生
冷やすものあったらそれ額に当てて寝てるんだよ
鈴蘭
うん…ありがと…
桐生
じゃあ、またあとでね
鈴蘭
うん
桐生
も〜、桜ちゃんたらなんで自分で電話かけないの〜?
桜
俺がかけたら向こうも嫌かもしれないだろ
桐生
そうかな〜
桐生
そんなこと考えられないくらい熱ありそうだったから
桐生
とりあえず早く行ってあげようか
桜
…だな
桐生
お邪魔しまーす
桐生
おぉ〜、綺麗だね
桜
置くようなものもねぇしな
桐生
鈴の部屋は?
桜
そこだ
桐生
鈴起きてる…?
鈴蘭
…あ…桐生?
鈴蘭
それに、桜くんまで…
鈴蘭
…なんで
桜
梅宮に言われただけだ
桜
気にすんな
鈴蘭
そっか
桐生
熱は?測った?
鈴蘭
測ってない…気がする
桜
測らなくてももう高そうだな
桐生
まぁ念の為に、ね?
桐生
桜ちゃん、りんご切ってきてくれる?
桜
わかった
桐生
……ー
桐生
…ず
桐生
鈴!
鈴蘭
うわっ!?
鈴蘭
なに…急に大きな声出さないでよ
桐生
だってめっちゃ寝ちゃってたんだもん
桐生
でもよかった、熱下がってそうだね
鈴蘭
そういえばそうだね
桐生
一旦熱測ってくれる?
桐生
おお〜平熱じゃん
鈴蘭
ほんと?
桐生
ほんとほんと!
鈴蘭
よかった〜
桐生
熱下がったからって、誰かと喧嘩したりはしちゃダメだよ
桐生
今日は安静にしとく!いい?
鈴蘭
…はーい
桜
りんご、切ってきたぞ
桐生
おっ、ありがとね桜ちゃん
鈴蘭
すご〜、切れるんだね
桜
馬鹿にしてんのか
鈴蘭
いやいや、そんなことないって
桐生
でもなんかわかるかも
鈴蘭
ね
桐生
ね〜
桜
おい
桐生
じゃあ、また明日ね
鈴蘭
またね
桜
またな
鈴蘭
桜くん、色々とありがとうね
桜
はっ…!?
桜
な、なんで感謝なんか…!
鈴蘭
これで赤くなるんだ
桜
うっせぇ!
鈴蘭
でも本当に、色々迷惑かけちゃったから
桜
…別に迷惑なんかじゃねぇよ
桜
いいか
桜
お前は人に頼ることを覚えろ
鈴蘭
…!
桜
人に頼らねぇと、お前が崩れる
桜
だから嫌でも俺たちに頼れ
桜
そしたら絶対、俺たちが助けてやる
鈴蘭
…ありがと
桜
っ〜〜〜!!!
桜
だから!!!
桜
…!
鈴の笑顔は いつもよりも少し嬉しそうだった
桜
…いつでも言えよ
鈴蘭
わかってるよ
いるだけでいい
隣にいてくれたら、それでいい
君たちには それ以上も、以下も望んでいなかったはず
なのに、私は願ってしまった
鈴蘭
……ごめん…っ
鈴蘭
今だけでいいから
「ずっと一緒にいて」