sha side
生きてて良いと思った事はたくさんある。 嫌だった事だって良い事と同じぐらい、それ以上あるかもしれない。
今、自分の生きてきた事を全て悪と勝手に捉えて可哀想な脳味噌で、可哀想だって自分を守っている事だって嫌な事。 自分が誰かから消えるのが怖くっていつも疲れるのだって嫌な事。 一週間に二度でいいから、お菓子食べながら中身のない話を永遠として。メッセージを三年、五年返さなくたってずっと友達にしてくれるだけでいいから。
だけでいいからって言って結局は全部わがままだった。 だけで、じゃ済まない程の苦労を、迷惑をかけていることなんて知ってる。知っているからそのままがいいんだ。何も知らないままがいいんだ。
何かを知りたいと思う欲望があったって、結局は勝手に知っては後悔して腹を立てて、自分が惨めだと感じる。自分をどれだけ下に下げたって自分の事は一番好き、優先順位の一位はいつも自分。
そろそろ殿堂入りでもして舞台からずり下ろしてもいいんじゃないか?
そろそろ可哀想な自分が嫌になった頃だろう?
…違った。
もう少し、可哀想になりたい。
シャオロン
sha side
手首にすぅっ、と水面に線を引くようにカッターの刃を滑らせた。線を引いた所は一瞬ぷっくりと風船の様に膨らみ、ぱっと潰れて血が手首より下へ垂れた
俺はパッと見て数えられる程に減ってしまった絆創膏を一枚取り出し、ミミズみたいにぽっこりと浮き出る傷跡に被せるように切り傷が付けられた手首に絆創膏を貼った。
このペースで絆創膏を消費していたら明明後日にはもう無るな、と思った俺はは近くの店に買いに行く事にした。
怠さを感じる身体を引きずり玄関へ。 靴箱の上に置かれた割れて使い物にならなくなった鏡をちらりと覗いた。鏡には掻きむしってボサボサになったボブカットに、隈は薄いものの疲労を表すようにいつもよりずっと下を見つめる俺が写っていた。
俺はもう癖になってしまった溜め息を吐き、かかとを潰してスニーカーを履いて外へ出た。
ドラッグストアへ着き、俺は目当ての絆創膏をカゴに入れ、他に何が売っているのかを見に回った。
風邪薬などが売っているコーナーでふと足を止めた。薬で自傷をする事もあると聞いて三箱も買った風邪薬が家にある事を思い出したから。結局、後から怖くなって使ってはないけど。
他の化粧品を見て周り、もう一度風邪薬が売っているコーナーの近くへ行くと、俺の友達を見つけた。鬱先生…大先生だ。最近、風邪気味やねんって言っていたので多分だが風邪薬を買いに来たのだろう。いつも通りに接せる自信は無いから避ける一択だけど。
手首を切った後はイマイチテンションが上がらない。矛盾してしまうけれど、これからも生きていたい癖して死にたくなる。これからも俺は無駄に長生きする、したいなんて思ってても死にたくなる。本当意味わからん。
俺は踵を返してレジの方へ行き、無事会計をすませて帰宅した。
あとがき
あおいかみかざり
あおいかみかざり
あおいかみかざり
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