誰だって 同じことを考えたはずだ。
『着てみたい』
帰宅後、 床に袋を置き、 ソファに座った俺は じっとソレを見つめる。
目の前にはメイド服 そして 咎めるものが居ない時間
少しくらい 良いじゃないだろうか
そう考える……はずだ。
俺だけじゃない
きっと誰だってコレに 袖を通してみたくなるはず。
男のロマン、メイド服。
ほんの少しの 好奇心に負けて
俺はそろそろと 袋から取り出した。
当たり前だがソレは 校門で見たときと変わらず 実に手が込んでいた。
とやさんのクラスの喫茶店で 皆が着ていたものと比べると その違いは歴然である。
スタンダードな 所謂メイド服というやつの 形をしている。
袖は膨らみ ふわりとスカートのフレアが 広がる。
慌ててハンガーを取りに行き そっと ドアの上枠に引っ掛ける。
かなり丈の長い ロングスカート だということが 唯一の救いだろうか。
目を引くのは 大きな胸元のリボン。
羽が普通に結ぶものと違い 4枚ある。
すごいボリュームだ。
真ん中には 紅い樹脂で作られた ブローチが光っている。
袖口とエプロンの ふわふわの フリルとレースは
よく見ると 細かいビーズ刺繍がされていて キラキラしている。
手作業で付けたと思うと 途方も無い努力が窺える。
伏見ガク
断っておきながら 着ることを考えてしまう。
袋にはまだ なにか入っていた。
そっと取り出すと ホワイトブリム…とか いうやつが出てきた。
確かヘッドドレスとも 言うと思う。 とにかく頭に付けるやつ。
軽いが たくさんの装飾の付いた それは とても美しかった。
まるで芸術品。
白い羽や花のモチーフが 綺麗に並び、それを囲うように 刺繍で飾られたレースのひだが 縫われている。
こんなものは多分 ミシンでは縫えないから 手作業で作ったものだろう。
恐ろしい手間。 かけられた時間は 一体どれだけなのか。
あまりにも美しい衣装に、 俺はため息を吐くばかり。
伏見ガク
ハンガーに掛け直し、 途方に暮れる。
1度、着てみるか。
伏見ガク
でもなぁ。
そう考えているうちに
俺は
袖を通していた。
脱げなくなって 後でとやさんに 変な目で見られるとも知らず。
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
もくもくの
コメント
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がっくんんんんんんん😭😭😭😭😭
うわわわわあ😇
( ◜▿◝ )いいねぇ〜